投資信託の資金流入ランキング! 

 2019年、資金流入が目立った上位10ファンドは下表の通りです。

2019年、資金流入上位10ファンド

順位 ファンド 運用
会社
2019/11末
純資産
(億円)
年初来
資金流出入
(億円)
1 ピクテ・グローバル ・インカム株式ファンド
(毎月分配型)
ピクテ 9,273 3,692
2 グローバル3倍3分法ファンド
(1年決算型)
日興 3,145 2,929
3 東京海上・円資産バランスファンド
(毎月決算型)
東京海上 7,026 2,022
4 グローバル3倍3分法ファンド
(隔月分配型)
日興 1,662 1,585
5 次世代通信関連 世界株式戦略ファンド 三井住友
TAM
4,365 1,580
6 東京海上・円資産バランスファンド
(年1回決算型)
東京海上 2,633 1,367
7 ダイワJ-REITオープン
(毎月分配型)
大和 3,248 1,225
8 アライアンス・バーンスタイン
・米国成長株投信Dコース毎月決算型
(為替ヘッジなし)予想分配金提示型
アライアンス 3,516 650
9 ニッセイ世界リートオープン
(毎月決算型)
ニッセイ 877 642
10 サイバーセキュリティ株式オープン
(為替ヘッジなし)
三菱UFJ
国際
1,316 555
※2019年11月末時点(楽天証券取扱の全銘柄を対象)

 1位の「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」は、世界の公益株に投資するファンド。2019年は不安定な市場環境ということもあり、景気に左右されにくい公益株に投資する同ファンドの成績が底堅く推移したことが流入の背景です。

 毎月のキャッシュフローニーズのある投資家には以前から根強い人気がありますが、組み入れ銘柄の配当利回りに対する毎月の分配金額は高い傾向にあり、中長期的には元本の取り崩しに注意したほうが良いでしょう。

 2位の「グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)」は、レバレッジ型バランスファンド(通称レババラ型)。運用資金のおよそ80%で現物の外国株式やREIT(上場不動産投資信託)に投資し、残り20%の資金(証拠金)で国内株式や先進国債券の先物にレバレッジを利かせて(220%)投資。100%の資金で実質300%に投資するという複雑な仕組みのファンドです。2019年は、国内や欧州の債券市場がマイナス金利になるまで金利が低下したことを背景に、先進国債券にレバレッジを利かせて投資していたことが奏功し、不安定な市場環境下でも底堅い実績を残しました。

投資信託の資金流出ランキング! 

 2019年、資金流出が目立った上位10ファンドは下表の通りです。

2019年:資金流出上位10ファンド

順位 ファンド 運用
会社
2019/11末
純資産
(億円)
年初来
資金流出入
(億円)
1 グローバル・ロボティクス株式ファンド
(1年決算型)
日興 3,404 ▲1,520
2 グローバル・ロボティクス株式ファンド
(年2回決算型)
日興 3,841 ▲1,305
3 ロボット・テクノロジー関連株ファンド
-ロボテック-
大和 2,791 ▲1,182
4 グローバルAIファンド 三井住友DS 2,142 ▲1,052
5 日経225ノーロードオープン AMOne 1,506 ▲804
6 グローバル・フィンテック株式ファンド 日興 1,814 ▲543
7 フューチャー・バイオテック 三井住友DS 1,406 ▲538
8 ひふみプラス レオス・キャピタルワークス 5,881 ▲526
9 新光 US-REIT オープン AMOne 5,791 ▲472
10 GSグローバル・ビッグデータ投資戦略
Bコース(為替ヘッジなし)
ゴールドマン 1,877 ▲472
※2019年11月末時点(楽天証券取扱の全銘柄を対象)

 1位「グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)」から4位「グローバルAIファンド」までのファンドは、ロボット産業や人工知能(AI)などに関連した株式に投資するテーマ型ファンドです。2016年から2018年前半までは、好調な世界経済を背景にこうしたテーマ型ファンドが人気を集めましたが、これらのテーマ型ファンドはいわゆる景気敏感株に集中投資する傾向が見られます。

 2018年後半以降、不安定な動きを見せた株式市場の影響により、これらのファンドの値動きも大きく変動したことから、利益確定売りやろうばい売りが発生したものと思われます。

 8位「ひふみプラス」は、主に国内株式に投資するファンド。設定来、好調な運用実績に加え、2017年にテレビ番組で取り上げられたことで人気が爆発し、2018年1月にかけて資金流入のピークを迎えました。しかし、2018年以降、国内株式市場が軟調に推移したことから、資金流入のピークで購入した投資家に含み損が発生。足元、国内株式市場が回復し、含み益が解消したところで「やれやれ売り(戻り売り)」が発生している模様です。2019年の同ファンドの成績は分類平均を上回っており、好調を維持していますが、今後、利益確定売りなどによる資金流出が大きく加速すると運用に与える影響も懸念されます。今後の資金流出入の動向が注目されます。

基本8分類の2019年初来の騰落率! 

 次に、分散投資の基本となる国内・先進国・新興国の株式・債券・REITの基本8分類の騰落率を定点観測してみましょう。

※2019年11月末時点

2019年11月末を基準とした年初来の騰落率を見ると
国内REIT」、
海外REIT(含む北米)-為替ヘッジ無し」、
先進国株式(広域)-為替ヘッジ無し」、
国内株式
新興国株式(広域)-為替ヘッジ無し」、
新興国債券(広域・新興国通貨建)-為替ヘッジ無し」、
先進国債券(広域・高格付)-為替ヘッジ無し」、
国内債券」の順で
8分類すべてが上昇しました。

 代表的なインデックスファンドで年初来の動きを見ると、下図のように推移しています。

※計測期間:2018年12月28日~2019年11月29日
※計測期間:2018年12月28日~2019年11月29日

2019年初来の楽天証券分類平均リターンランキング

 続いて、投資対象市場や投資地域をさらに細かく分けて見てみましょう。

 楽天証券分類、およそ250分類の中から、値動きの傾向を把握しやすい分類を厳選し、上位・下位5分類の騰落率をまとめた結果がこちらです。

※2019年11月末時点

2019年初来の騰落率で大きく上昇した上位5分類は、
国内REIT」、
ロシア・東欧株式-為替ヘッジ無し」、
米国株式-為替ヘッジ無し
北米REIT-為替ヘッジ無し」、
海外REIT(含む北米)-為替ヘッジ無し」、
でした。

上昇した分類のなかで、目立った銘柄としては、
ロシア株式ファンド」が+39.33%
イノベーション・インデックス・AI」が+37.36%、
J-REIT・リサーチ・オープン(年2回決算型)」が+30.57%、
といずれも分類平均を上回る上昇を見せました。

※計測期間:2018年12月28日~2019年11月29日

一方、下落または上値が重かった下位5分類は、
MLP-為替ヘッジ無し
インドネシア株式-為替ヘッジ無し
ブラジル債券-為替ヘッジ無し
欧州債券-為替ヘッジ無し
国内債券
です。

目立った銘柄としては、
米国エネルギー・ハイインカム・ファンド」が▲8.29%、
イーストスプリング・インドネシア株式オープン」▲4.75%、
LM・ブラジル国債ファンド(年2回決算型)」が▲0.85%、
の下落でした。

※計測期間:2018年12月28日~2019年11月29日

 2018年後半にかけて大きく調整した後、2019年は年初から大半のリスク資産が反発しました。一年を通じて、米中貿易摩擦問題の進展がマーケットの焦点となり、月替わりで上昇・下落を繰り返すような不安定な市場環境ではありましたが、終わってみればほとんどの市場が上昇した一年となりました。

2019年、ファンド環境を振り返る!

 2019年は、年初から大きく反発したものの、米中貿易摩擦問題を背景に不安定な市場環境であったことから、ディフェンシブな公益株などに投資するファンドが人気を集めました。また、長引く低金利環境のなか、レバレッジを利かせて投資効率を高める運用手法を採用する「レババラ型」という新しいジャンルが登場しました。

 一方で、不安定な市場環境からこれまで人気のあった景気敏感株に投資するテーマ株ファンドからの流出が目立ちました。2000年代初めに、ITバブルの崩壊がありましたが、当時もインターネット関連株ファンドに飛びついた投資家が、数カ月で甚大な損失を被ることになりましたが、その後、IT関連株ファンドは基準価額が5倍に成長しました。ロボットやAIという投資テーマもインターネットと同様に、中長期で経済を変えていく壮大なテーマです。目先の値動きや人気で飛びつくのではなく、市場のバリュエーションを見ながら長期的なスタンスで投資することが大切だということを覚えておきましょう。