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国内企業は、かつては事業の育成は自社で行い、合併・買収(『M&A』)などによる事業再編には慎重でした。ところが昨年に大きく加速した日本企業の『M&A』は今年も高水準を維持し、規模の拡大、海外開拓、新技術などを狙い社運をかけた大型買収や合併に踏み切る事例がみられました。こうした動きへの株式市場の関心も高まっています。ここでは、特に強いインパクトを与えた事例を振り返ってみたいと思います。
【ポイント1】日本企業は大型『M&A』が加速
昨年に大きく加速した日本企業の『M&A』は今年も医薬品、食料品、化学などを中心に高水準を維持し、社運をかけた大型買収や合併に踏み切る事例がみられました。背景には経済の高成長が期待できないことや海外企業との競争が激化したこと、技術革新により商品のライフサイクルが短期化したこと、物言う株主など投資家からの企業価値向上に対する要求が強まったことなどがあります。
【ポイント2】アサヒなどが大型買収実施
7月19日、アサヒグループホールディングスはビール世界最大手、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)からオーストラリア事業を買い取ると発表しました。「日欧豪の3極でビール事業の基盤を構築する」との戦略にそった買収で、価格は1.2兆円と同社にとって過去最大となります。今回の買収で事業利益(国際会計基準)の約半分を海外で稼ぐ体制の確立を目指します。
総合化学メーカーの昭和電工は、12月18日に親子上場の解消を進める日立製作所のグループ子会社である日立化成をTOB(株式公開買い付け)を通じて2020年3月までに全株式を買い取ると発表しました。買収総額は9,600億円超になる見通しで、買収額は同社の連結売上高(約9,900億円)に近い額となり社運をかけた買収になります。次世代通信規格「5G」や電気自動車の普及を踏まえて、TOBにより素材にとどまらない部品やサービスまで幅広い領域を手掛ける企業を目指す方針です。
【今後の展開】今後も『M&A』は増加の方向
株式市場の『M&A』への関心は高く、本業との補完効果はあるか、買収後は投資に見合う利益を長期にわたり生み出せるか、買収価格は適正かなどに注目しています。過去の企業買収をみると必ずしも成功確率が高いとは言えませんが、海外企業が『M&A』などを通じて企業規模を拡大していく中、対抗していく手段として踏み切る企業は今後とも増加すると考えられます。
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