今の日経平均株価は割安か割高か
12月に入り、日経平均株価は2万4,000円台をつけました。ここから、2020年はさらに上昇していくのか、もう天井なのか、どう見たらよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか?
今の日経平均株価が安いのか、高いのかを判断する一つの基準として、私は、業績から見た時に割安か、割高かを見ています。具体的にどのように見ているのか、お伝えしていきます。
日経平均株価と、日経平均を構成する銘柄の業績動向(予想EPS[1株あたり利益])の推移を見てみましょう。
日経平均株価と予想EPSの推移(1)
(2013年1月1日~2019年12月20日)

ここから、日経平均株価は予想EPSの推移とほぼパラレルに動いていることが見て取れます。全体としては、2013年のアベノミクス相場以降、企業利益は増え、株価も上昇してきていますが、2015年秋~2016年夏、2018年秋~2019年夏にかけての下落局面では、予想EPSは下がっていることが分かります。
チェック(1):現在の利益水準は、大不況後の低水準?好景気の高水準?
→高水準
利益水準は2013年初頭と比較して2倍になっています。リーマンショック後のような利益水準が低い状態であれば、大幅増益も期待しやすいですが、現状、すでに高水準で、売上高についても大幅に増える状況にはないので、これからの大幅増益は期待しにくいとみています。
チェック(2):来期・再来期調整予想EPSは上向き?下向き?
→横ばいから若干上向き
基本として、上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンド、横ばいはトレンド転換の可能性有と判断します。
チェック(3):来期・再来期調整予想EPSを基にしたPERは?
→16.2倍(中心値より高い状態)
2013年1月からの来期・再来期調整予想EPSを基にしたPER(株価収益率)は、12.5~17.5倍の推移で、中心値は15.0倍となっています。現状は中心値よりも高い状態となっています。
次に、今期、来期、再来期、それぞれの予想EPSの推移を見ていきましょう。
日経平均株価と予想EPSの推移(2)
(2013年1月1日~2019年12月20日)

チェック(4):今期、来期、再来期の予想EPSは、上向き?下向き?
→今期:下向き
来期:若干下向き
再来期:横ばい
この向きが、今期・来期調整予想EPS、来期・再来期調整予想EPSの向きに左右してきます。今期、来期、再来期の予想EPSがいずれも上向きであれば、相当強い上昇トレンドとなり、いずれも横ばいの場合でも、今期・来期調整予想EPS、来期・再来期調整予想EPSは上向きとなり、上昇トレンドとなります。
足元では、今期予想EPSが下向き、来期予想EPSが若干下向きの結果、今期・来期調整予想EPSは若干下向きに、来期予想EPSが若干下向き、再来期予想EPSが横ばいの結果、来期・再来期調整予想EPSは若干上向きとなっています。
チェック(5):来期、再来期の増益率は?その達成の可能性は?
→来期増益率:8.2%
再来期増益率:8.5%
達成の可能性:小
チェック(1)で、利益水準は高水準にあり、大幅増益は期待しにくい状況であること、チェック(4)で来期予想EPSが若干下向きになっていることから、今期のEPSの着地がどの水準になるかにもよりますが、8%台の増益見通しの達成は難しい(来期、再来期のEPSの見通しは下がってくる)とみています。
チェック(1)~(5)を総合すると、現在の日経平均株価は「割高」
チェック(1)~(5)を総合すると、(1)利益水準はすでに高水準で、大幅増益が難しい状況にあり、(4)来期予想EPSも若干下向きになっており、(5)来期・再来期ともに8%台の増益が予想されているが、その達成の可能性は小さい(来期、再来期のEPSの見通しは下がってくる)とみられます。また、それにもかかわらず、(3)PERは平均以上に買われ、業績が伸びることを前提にした株価になっているとみられます。
以上のことから、あくまでも業績からのみの判断ですが、現在の日経平均株価は「割高」と判断しています。
皆さまはどう見ていますか?
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