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2019年8月に米国債市場で、長期金利の指標となる10年国債利回りが2年国債利回りを下回り、長短金利が逆転する『逆イールド』が発生しました。10年と2年の国債利回りの『逆イールド』は、1990年以降で過去3回あった景気後退局面の全てで、おおむね2年前に発生していることから、景気後退の予兆として注目されます。今年は、12年ぶりに『逆イールド』が生じ、米景気後退への警戒感が広がった年となりました。
【ポイント1】8月に12年ぶりの『逆イールド』が発生
米株式市場は『逆イールド』を嫌気して下落、為替は円高が進行
米国債市場では、8月に10年国債利回りが2年国債利回りを下回る『逆イールド』が起きました。市場の注目度が高い10年と2年の国債利回りの『逆イールド』は2007年以来12年ぶりのことです。米国は1990年以降、3度の景気後退局面を経験していますが、そのいずれにおいても、景気後退局面を迎えるおおむね2年前に、『逆イールド』が発生しています。
『逆イールド』は一般に、先行きの景気後退の予兆とされることから、市場ではリスク回避的な動きが強まりました。景気後退懸念の高まりで、企業収益などへの影響が避けられないとの見方が広がり、8月のダウ工業株30種平均は前月比400ドル超下落し、円は対ドルで2円50銭程度上昇しました。
【ポイント2】『逆イールド』は短期で解消
景気後退論は鳴りを潜める
ただし、世界的な金融緩和などで残存期間の長い債券の利回りが人為的に抑制されている環境下、景気予測の指標としての『逆イールド』の有効性については、懐疑的な意見もみられます。
なお、8月に発生した10年と2年の米国債利回りの『逆イールド』は、短期間で解消しました。さらに、米中通商協議の進展期待が高まり、米国の経済指標が改善するにつれ、イールドカーブ(利回り曲線)は順イールドに戻り、長短金利差が拡大しました。足元では景気後退論はすっかり鳴りを潜めています。
【今後の展開】2020年は順イールドが定着
12月に米中が通商交渉の部分合意に達したことで、2020年の世界経済は持ち直すことが期待されます。これに伴って、米長期金利は徐々に上昇に向かうと見込まれます。一方、低インフレが継続するため、FRB(米連邦準備制度理事会)は金融政策を維持するとみられます。このように2020年は長短金利差に拡大圧力がかかりやすく、順イールドが定着すると思われます。
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