今週の予想

米中通商協議の新たな材料が出るまでは2万4,000円水準でもみ合いか

 今週の日本株式市場は、先週の米国市場で米中通商交渉の合意が高まり、12日(木)に大幅上昇。13日(金)は一服したことで国内外の経済動向をにらむ展開となりそうです。日経平均株価は1年2カ月ぶりに2万4,000円台にのせましたが、昨年10月2日につけたバブル後最高値の2万4,448円を試す動きになるのは、米国の一段高と為替の円安進行が必要となります。

 利益確定売りで、13日の米株の上昇が続かなかった要因としては、上述したように今回の合意期待の一部に不透明感が残っており、米下院司法委員会がトランプ米大統領の弾劾訴追案を賛成多数で可決したことなどがあります。

 また、長期化した米中貿易摩擦の影響で世界の経済活動には停滞感があり、今後発表される各種経済指標がさえなかった場合は、業績悪化懸念が強まる可能性もあります。 日本市場は、それらの要因を受けて米株式、為替がどうなるのかを様子見しながら動くことになります。

(今週の指標)日経平均株価

 先週は、週末に米中通商交渉の合意を受けて、米株式が最高値を更新したことを受け、日経平均も予想を超えた上昇で1年2カ月ぶりに2万4,000円台を回復しました。ここからの上昇は昨年の1月23日の2万4,129円、10月2日のバブル後の最高値2万4,448円があり、それを意識したもみ合いになる可能性があります。一段の上昇となるには、NYダウのさらなる上昇と円安進行が必要になり、そうなれば10月2日の2万4,448円が視野に入ってきます。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 目先は米中通商交渉の第1段階の合意に達したことで、先週末の株価は大きく上昇しており、そのまま上昇が続くというより、高値圏でもみ合いながら、次の第2段階の合意の材料をさぐる動きが出るのを待つということになる可能性があります。

 長期化した米中通商摩擦の影響で今後の経済指標がさえない内容であれば、業績悪化懸念が出てくる可能性もあります。ただし、チャート的には上放れしてきています。

(今週の指標)ドル/円

 今週は、先週末の米中通商交渉の第1段階の合意を好感したドル買い・円売り、15日発動の予定だった対中制裁関税の延期によるドル買い、英国選挙での保守党勝利によるEU(欧州連合)からの合意なき離脱の回避からのポンド買い・円売りなどでドル高・円安の進行を促す要因となっています。

 しかし、FRB(米連邦準備制度理事会)は長期間の金利据え置きを示唆しており、将来的な利下げの可能性もあることから、一方的なドル買い・円売りにはなりにくいといえます。チャートからも110円を超すとドルの上値は重くなる可能性があります。

先週の結果

先週は、2万3,400円をはさんでもみあったあと、週末に米中通商合意を受け2万4,000円台回復

 12日(木)にトランプ大統領が「中国との合意が近づいている」との発言、さらに15日に発動期限がくる対中関税を見送り、また、既に実施されている3,600億ドルの輸入品について最大50%の関税を撤廃するとの報道もあり、主要3指標そろって史上最高値更新となりました。そのため日経平均も15日を待たずに13日(金)は、為替が109円台後半の円安もあり、今年最大の上げ幅となって1年2カ月ぶりに+598円の2万4,023円と2万4,000円台のせとなりました。

12月9日(月):前週の米国で予想を大きく上回る11月雇用統計を受け、米株式が大幅続伸となっていたことで、+189円の2万3,544円と高寄りしましたが、利益確定売りから一時+5円の2万3,360円まで上げ幅を縮小しました。その後、値を戻すものの上値重く+76円の2万3,430円で引けました。 

10日(火):前日の米国がイベントを控え様子見から4日ぶりに反落したのを受け、▲58円の2万3,372円で寄り付き、▲93円の2万3,336円まで下げ、その後いったん+18円の2万3,449円とプラスに転じるものの終値は▲20円の2万3,410円と4日ぶりの小反落となりました。 

11日(水):引き続いて様子見が続き、+10円の2万3,421円で寄り付いて+28円の2万3,438円まで上昇後、マイナスに転じ一時▲76円の2万3,333円まで下落しましたが、終値は▲18円の2万3,391円と小幅続落となりました。 

12日(木):前日の米国市場が3日ぶりに反発したことを受け、日経平均も3日ぶりに反発して+57円の2万3,449円で寄り付き、その後、為替が108円台半ばの円高進行となっていることでマイナスに転じるものの、すぐに切り返し+76円の2万3,468円まで上昇して終値は+32円の2万3,424円と3日ぶりに反発しました。

 以上のように9日(月)~12日(木)までは、イベントを前に様子見から2万3,300~2万3,500円の狭いレンジでのもみあいとなっていました。 しかし、上述したように12日(木)の引け後の米国市場では、トランプ大統領の「中国との合意近い」との発言と15日の対中制裁関税の延期報道を受けて、米株3指標がそろって史上最高値を更新したことで、13日(金)の日経平均も連動し、円安や英国の離脱問題の選挙で保守党が勝利となったこともあり、+598円の2万4,023円と今年、最大の上昇幅で1年2カ月ぶりに2万4,000円台を回復しました。

13日(金):米国市場は、前日に主要3指標が大幅上昇となって最高値を更新したことで、この日は利益確定売り圧力が強まり売り買い交錯し、ほぼ変わらずで引けました。利益確定売り以外の要因としては、中国の購入額や対中関税の撤廃額がトランプ大統領の発表した数字を下回ったことや、合意についての署名の日時を決定する必要があることなど先行き不透明な部分も残っています。さらに米下院司法委員会がトランプ大統領の弾劾訴追案を可決したことも上値圧迫要因といえます。3指標そろってザラ場では史上最高値を更新しました。シカゴの日経先物は▲60円の2万3,900円でした。