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『日銀短観』とは、日本銀行が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う経済調査のことです。『日銀短観』では、企業の景況感に加え、売上高、収益、設備投資の計画などが公表され、中でも大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が代表的な指標として注目されます。12月13日に発表された2019年12月の『日銀短観』では、大企業・製造業DIが4期連続悪化のゼロとなりました。

【ポイント1】大企業・製造業の景況感はゼロに悪化

大企業・非製造業はわずかな悪化にとどまる

 2019年12月の『日銀短観』は、大企業・製造業の景況感を示す業況判断DIがゼロと、市場予想の3を下回り、前回2019年9月調査の5から5ポイント悪化しました。悪化は4期連続で、2013年3月調査(マイナス8)以来の低水準となりました。米中貿易摩擦や海外景気の減速が製造業の景況感悪化の背景です。ただし、3カ月後の先行き同DIはゼロと、横ばいが見込まれています。

 大企業・非製造業の業況判断DIは20と、市場予想の16を上回り、前回調査から1ポイント悪化にとどまりました。非製造業の悪化は2期連続ですが、消費増税の影響は比較的軽微とみられ、好調な内需を背景に高めの水準を維持しています。先行きの同DIは、2ポイント悪化の18が見込まれています。

【ポイント2】設備投資計画は底堅い

2019年度想定為替レートは107.83円

 2019年度の設備投資計画は、全規模・全産業ベースで前年度比+3.3%と、前回から+0.8%上方修正されました。また、ソフトウエア投資は2019年度計画が同+10.1%と、積極的な省人化投資を反映しているとみられます。

 大企業・製造業の2019年度の想定為替レートは、1ドル=107.83円と、前回調査の108.68円からやや円高水準となりました。

【今後の展開】次回の金融政策決定会合は現状維持の見込み

 12月の『日銀短観』では、大企業の業況判断DIは、外需の弱さが重石となり、製造業の落ち込みが大きかった一方で、消費増税による悪影響は限定的で非製造業は底堅さを示しました。前回消費増税後の2014年6月調査と比較すると、同DIの変化は、前回が製造業・非製造業ともに▲5ポイントであったのに対し、今回は製造業が同じ悪化幅ですが、非製造業は政府の消費増税対策もあり、わずかな悪化にとどまりました。また、設備投資計画も引き続き底堅いことが示されました。12月の『日銀短観』は、おおむね日銀の景気見通しに沿った内容とみられるため、次回の金融政策決定会合では現状維持が見込まれます。