先週1週間の値動きを確認し、今週1週間の値動きを考える参考材料を探しましょう。
ビットコイン、80万円を割って下落率1位
ビットコイン[暗号資産]は、先週、下落率1位になりました。週初から下落傾向が鮮明で、一時、節目となる80万円を割り込みました。80万円を割った後はやや反発したものの、上げ幅は限定的でした。
先週は、上昇した銘柄数が比較的多い週でした。ジャンルを問わず、株式、通貨、商品(コモディティ)において多くの銘柄が上昇しました。以下のグラフのとおり、合計22の銘柄のうち81.8%にあたる18の銘柄が上昇しました。
米中貿易戦争において、
(1)昨年の2017年春以降、引き上げ合戦を行ってきた関税について米国が一部を引き下げること
(2)米国が予定していた新たな関税引き上げを見送ること
(3)中国がまとまった量の米国産穀物を購入すること
などを盛り込んだ合意(第一段階の合意)がなされる、という期待が高まったことが要因と考えられます。
図:ジャンル横断・騰落率 12月9日(月)から12月13日(金)
※ビットコイン[暗号資産]の価格は楽天ウォレットの円建て価格を参照します。
先週の「ジャンル横断・騰落率」を受けた今週の見通し
先述のとおり、先週は米中が第1弾の合意に達する期待が高まり、ジャンルを問わず幅広い銘柄が上昇しました。米中貿易戦争が鎮静化に向かう期待が高まることで幅広い銘柄が上昇する、ということは、それだけ市場全体が米中貿易戦争を強く材料視していると言えます。
強く材料視しているからこそ、米中貿易戦争の懸念が強まれば市場全体のムードは悪化しやすくなり、逆に鎮静化に向かえば市場全体のムードは好転しやすくなるわけです。米中貿易戦争の動向が、主導的に市場全体のムードを変化させていると言えます。
実際に、12月13日(金)に米中両国は第一段階の合意に達しましたが、中国が農産物を購入することにおいて、両国の認識に隔たりがあるという報道もあり、まだ不安要素が残っています。
一方、トランプ米大統領は「第2弾の合意に速やかに着手する」としており、今後、米中貿易戦争がさらに鎮静化に向かう可能性もあります。米中貿易戦争に対する期待と不安が混在する中、中長期的に、市場全体のムードは両国の政治動向に影響を受け続けると考えられます。
このような状況の中、目先の、市場全体のムードの方向性を考える上で重要なことは、中長期的に影響を及ぼす両国の政治動向に加え、週次や月次、四半期ベースで公表される米中両国の経済指標だと考えられます。
来週、中国では12月16日(月)に11月の小売売上高と鉱工業生産が、米国では16日(月)に12月の製造業およびサービス部門のPMI(購買担当者景気指数)、20日(金)には7-9月期のGDP(国内総生産)確報値が公表されます。
目先の各種市場の動向考える上で、市場全体のムードを変化させる貿易戦争をめぐる米中両国の政治動向、そして米中に関わる経済指標の動向の、両方に注目することが重要だと筆者は考えています。
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