大統領選挙年のNYダウのシーズナリーサイクルの特徴は「8月高と年末高」

 米大統領選挙前年の米国株は上昇する割合が高く、アノマリー投資では最も注目されている現象だ。1950年以降の米大統領選挙前年の米国株の推移を見ると、NYダウ平均株価が17回中16回上昇している。

 今年2019年は米大統領選挙前年の年だったが、まさにアノマリー通りの動きとなった。

大統領選挙前年のNYダウのシーズナリーチャート

出所:エクイティクロック 

 さて、来年2020年は米大統領選挙年である。大統領選挙年のNYダウのシーズナリーサイクルは「8月高と年末高」という特徴を持っているが、過去のNYダウの平均的なシーズナリーサイクルよりパフォーマンスが悪く、年前半はあまり期待できないというのが大統領選挙年のアノマリーである。

大統領選挙年のNYダウのシーズナリーチャート

出所:エクイティクロック

 以下のチャートは大統領選挙翌年と中間選挙年のNYダウのシーズナリーチャートである。中間選挙年や大統領選挙年の株価のパフォーマンスは平均より良くないという点に注意したい。

大統領選挙翌年のNYダウのシーズナリーチャート

出所:エクイティクロック

 中間選挙年のNYダウのシーズナリーチャート

出所:エクイティクロック

NYダウ・日経平均・ドル/円相場の大局観

 この時期、「来年の相場見通しはどうか?」とよく聞かれるが、筆者の大局観は「月足の次のトレンド待ち」である。NYダウや日経平均のADXや標準偏差ボラティリティの動きを見ていると、相場はトレンドの分岐点に差し掛かっているようだ。

NYダウ(月足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:14カ月ADX(赤)・26か月標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21カ月ボリンジャーバンド
出所:石原順

日経平均(月足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:14カ月ADX(赤)・26か月標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21カ月ボリンジャーバンド
出所:石原順

 ドル/円相場は4年にわたる三角もちあいを上下どちらかにブレイクしない限りはらちが明かないだろう。

ドル/円(月足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:14カ月ADX(赤)・26か月標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21カ月ボリンジャーバンド    
出所:石原順

シーズナリーサイクル・スマホと5Gの動向・注目のSONY・ジャスダック市場上昇の理由

 12月11日(水)のラジオNIKKEI『楽天証券PRESENTS先取りマーケットレビュー』は、ゲストに楽天証券経済研究所チーフアナリスト今中能夫氏と、楽天証券経済研究所シニアマーケットアナリスト土信田雅之氏をお招きして、「大統領選挙年の投資アノマリー・スマホと5Gの動向・注目のSONY・ジャスダック市場上昇の理由」テーマで話をしてみた。

NZドル/円(日足)8月安・12月高のニュージーランドドル

上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ
中段:14日ADX(黄)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:トレンドサイドバー:売りトレンド(黄)・買いトレンド(赤)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 今中能夫氏の注目銘柄はSONYである。「なぜ、いまSONYなのか!」、ぜひ、番組をご覧いただきたい。また、番組ウェブサイトから今中能夫氏と筆者の資料がダウンロード出来るので、投資の参考にしていただきたい。

SONY(日足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ    
出所:石原順

12月11日(水): 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー

出所:YouTube

 12月11日(水)のラジオNIKKEI『楽天証券PRESENTS先取りマーケットレビューで紹介した「ラリー・ウィリアムズ投資アノマリーカレンダー2020」をリスナーの方10名様にプレゼントいたします。番組のご感想を必ずお書きの上、ご応募ください。

>>ご応募は番組ウェブサイトから!

ラリー・ウィリアムズの日米株式市場予測

 ラリー・ウィリアムズは日米の株式市場に対して弱気転換した。「雇用統計を受けて米株式市場は先週金曜日に上昇したが、これはダマシになると思う」と述べている。

「日経平均はアメリカの株式市場を先行していますが、ここではそれほど強くありません。このままで三度、上げてきています。シーズナルは下降と示しています。他市場をもとにしたフォーキャストラインは下降と示しています」と、日本の株式市場についても弱気なようだ。

ラリー・ウィリアムズのS&P先物予測

出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2019年12月9日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。有料レポートのため、チャートおよび文章の一部を隠しています。

ラリー・ウィリアムズの日経平均予測

出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2019年12月9日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。有料レポートのため、チャートおよび文章の一部を隠しています。

トランプ大統領は再び全てを危険にさらすのか?仮に12月15日の関税が始まったら何が起こるのか…

 トランプ米大統領は、約1,600億ドルの中国製品に対する追加関税を15日に発動するかを巡り、通商・経済顧問らと12日に協議する可能性が高い。事情に詳しい関係筋2人が明らかにした。協議にはライトハイザー通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官、カドロー国家経済会議(NEC)委員長、ナバロ大統領補佐官(通商製造政策局長)が出席する見通しという。この関係筋は「15日に関税が引き上げられると予想している」と述べ、「政権はそれがいかに正しい措置であるかを示す論拠を用意している。(米経済に)痛みは生じないというのがメッセージだ」と指摘した。
(2019年12月12日 ロイター『トランプ氏、15日の関税発動巡り12日に協議 最終判断へ』)

 もし12月15日の関税が始まったら何が起こるのかについては、アナリストの見方もぶれまくっているが、関税が引き上げられて株が下がれば、FRB(米連邦準備制度理事会)のQE(量的緩和)が強化されるだろうというのが結論のようだ。金利が上がれば大変だが、株が下がっても当局はQEで対処するだろう。

「S&Pは3,150から降下を始め、FRBはQE4に積極的に関与しており、トランプ大統領は今回、中国をより強力に関与させるためにはるかに多くの余裕があるため、関税を再び先延ばしにする代わりに、12月15日、中国からの輸入1,600億ドルに対して15%の関税を課すかもしれない」、「首脳会談の設定に関するロジスティクスを考えると、今年中に合意がなされるには時間が足りない。せめてもの慰めとなるのは、世界の中央銀行が緩和政策を実施し、流動性を注入し、投資家が懸念していた景気後退を先延ばしたことである」
(2019年12月3日のゼロヘッジの記事『"It Would Be A Huge Shock To The Market" ― What Happens If The Dec 15 Tariffs Kick In「それは市場に大きな衝撃になるだろう」 ―もし12月15日の関税が始まったら何が起こるのか』)