2020年の大イベント・米大統領選挙
2020年は米大統領選挙の年です。
過去の経験則では、現職の大統領(=現在は共和党のドナルド・トランプ大統領)が勝つシナリオでは、S&P500種指数は平均して+10%上昇していました。今回は米国株式市場も好調で、米国経済も堅調なので、ジンクス通りであれば現職の大統領が有利です。従って2020年も+10%前後の上昇を見込んでいいと思います。
株式市場のバリュエーションは、やや割高ですが、我慢できる水準です。こう考える理由は次の3つの理由によります。
(1)市中金利が低い
(2)企業収益の変化率がV字型回復することが見込まれている
(3)FRB(米連邦準備制度理事会)は「1995年型」の予防的利下げを完了し余裕を見せている
投資先としては米国のネット株(大型+小型)が良いと思います。その半面、景気敏感、資源、新興国は魅力に乏しいと思います。
大統領選挙のジンクスとは?
普通、米国経済が好調なときは現職大統領が有利に選挙戦を進めることが知られています。2019年は株式市場も好調で、米国経済もしっかりでした。
米国のGDP(前期比)
このことから順当に進めば、トランプ米大統領が再選されると思われます。
では、過去の大統領選挙の年、株式市場がどのようなパフォーマンスだったのか振り返ってみましょう。
大統領選挙の年のS&P500種指数(1944~2016年)
現職大統領が勝利した年は、平均してS&P500種指数は+10.23%でした。したがって2020年もそのくらいのパフォーマンスが期待できると考えられます。
米国株式市場のバリュエーション
S&P500種指数採用銘柄の向こう12カ月の予想EPS (1株当たり利益)に基づいた現在のPER(株価収益率)は17.6倍です。過去5年の平均は16.6倍だったので、これは少し割高ですが、我慢できる水準と言えます。その理由は一つには金利が低いことが挙げられます。
長期金利
米国10年債利回りは下のチャートのように推移しています。
米国10年債利回り
市中金利と株式バリュエーションは「シーソーの関係」にあり、市中金利が下がると株式の理論バリュエーションは上昇します。これが安心できる第一の理由です。
加えて、企業業績の変化率も再加速すると見られています。
S&P500種指数採用のEPS変化率
下はS&P500種指数採用銘柄の四半期EPSの前年同期比変化率のチャートです。
S&P500種指数四半期EPS成長率(前年比、ボトムアップ方式)
見ての通り、2020年からV字回復することが予想されています。その理由なのですが、そもそも2018年のEPSが「トランプ減税」で押し上げられたので、2019年は前年比較が苦しかったということが指摘できます。
しかし、2020年は前年比較が容易になるので、尻上がりにEPSの成長率が改善するというわけです。当然、これは株式にとって支援的な材料です。
「1995年型」の予防的利下げを完了したFRB
2019年中、FRBは3回にわたる小刻みな利下げで米国の政策金利であるFF(フェデラルファンズ)レートを2.5%から1.75%に下げてきました。そして「当面、利下げはこれで打ち止めとし、様子を見る」ことをシグナルしました。
ジェローム・パウエルFRB議長は「今回の利下げは1995年のケースと同じだ」ということを繰り返し強調しています。あの時はアラン・グリーンスパン議長が采配(さいはい)を振るっており、機先を制した利下げにより経済のソフトランディングが演出されました。
その当時の株式市場のパフォーマンスを示したのが、下のチャートです。
1990年代後半のS&P500種指数の年間パフォーマンス
つまり、1995年は株を買うタイミングとしてはとても良い時期だったのです。パウエル議長が主張しているように「今回は1995年と経済の置かれた環境が似ている」のであれば、株式に弱気になってはいけない気がします。
2020年の米国投資戦略
1995年は、いわゆる「パックス・アメリカーナ」、すなわち米国の経済的覇権の起点になる年でした。その年、初のインターネット企業のIPO(新規株式公開)としてネットスケープが登場したことが思い出されます。
別の表現では「米国の一人勝ち」と言われました。
現在の状況が当時と同じかどうかは議論の余地があると思いますが、米国経済が他の先進国や新興国に比べて安定感を持っていることは無視できない気がします。
従って、2020年は新興国などに投資するより、波に乗っている米国株式を中心のポートフォリオを組みたいと思います。
銘柄のアイデアとしては売上成長率が高いにも関わらず、比較的低いバリュエーションに甘んじているフェイスブック(FB)、「ディズニー・プラス」というサブスクリプション・モデルの事業へ経営の軸足を移しつつあるウォルト・ディズニー(DIS)、インターネット・セキュリティーの分野で抜きん出た存在であるクラウドストライク(CRWD)、ビデオ・カンファレンス・サービスのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)、クラウドでアイデンティティを管理するオクタ(OKTA)などに妙味があると思います。
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