12月相場入りとなった先週の国内株市場ですが、週末12月6日(金)の日経平均株価の終値は2万3,354円となりました。前週末終値(2万3,293円)比で61円ほどの小幅高、週足ベースでは2週連続の上昇です。

 先週の株式市場も米中協議に関するニュースや発言に振り回される動きが中心でしたが、「崩れないが上値も追えない」相場地合いが継続した格好です。

 その米中協議については、米国による対中制裁関税第4弾の2回目の発動がいよいよ12月15日(日)に予定されています。期限が迫っていることもあり、そろそろ次の動きが出てきそうな期待と警戒が強まっているほか、今週末の13日(金)が先物取引のメジャーSQ日でもあるため、需給的にも株価が動きやすくなっています。

 さらに、今週は米FOMC(連邦公開市場委員会)やECB(欧州中央銀行)理事会といった金融政策会合が相次ぐほか、英国で総選挙が行われるなど、とにかくイベントが多い週です。非常に読みにくくなっていますが、まずはいつもの通り足元の状況を日足チャートで確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年12月6日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

1カ月以上続く2万3,000~2万3,500円のレンジ

 あらためて先週の日経平均の動きを振り返ってみると、「上昇して始まり、その後下落に転じてしまったが、ある程度値を戻したところで様子見になる」という展開でした。

 ローソク足の並びに注目すると、2日(月)と3日(火)が大きめの陽線、翌4日(水)はやや下ヒゲの長い陰線、週末にかけての5日(木)と6日(金)は実体の短い陽線が続き、陽線の出現が多かったことが分かります。

 また、移動平均線や株価水準との絡みで見ていくと、以下のような流れになっています。

2日(月)…5日移動平均線をサポートにして終値で2万3,500円台乗せをトライ
3日(火)…下落したものの、25日移動平均線から5日移動平均線まで値を戻す動き
4日(水)…25日移動平均線を下抜けるが2万3,000円割れは回避
5日(木)…5日移動平均線と25日移動平均線のはざまでこう着
6日(金)…5日移動平均線を上抜けたところで小動き

 実は、先週と似たような動きが11月中旬から下旬にかけても出現しており、結果的にもみ合いが続いていることが分かります。具体的には2万3,000円から2万3,500円がその値幅になりますが、気がつけばこのレンジ相場が1カ月以上も続いています。

ブレイク待ちの平均。下値不安は少ない?

 そこで、このレンジ相場を短期的なトレンドの位置関係でも確認していきます。

■(図2)日経平均(日足)の動き(2019年12月6日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は、11月11日付のレポートでも紹介した日経平均の値幅予測を計算したものです。計算方法についての細かい説明はここでは省きますが、底を打った8月下旬から9月半ばの戻り高値までの値幅と、9月の戻り高値から10月上旬までの押し目までの値幅の2つを使って、V計算値(2万3,234円)、N計算値(2万3,358円)、そしてE計算値(2万4,337円)を算出しています。

 すると、V計算値とN計算値の株価が先ほどのレンジ相場の中心となっていることが分かります。

 つまり、足元のレンジ相場は再び上昇トレンドが継続する「中段保ち合い」なのか、それともトレンドが転換する「天井形成」なのかの答えがまもなく出そうな状況になっています。

 いわば「ブレイク待ち」というわけですが、上昇トレンドの継続であれば、2万4,000円台やE計算値(2万4,337円)までの上昇が見込まれることになります。反対に下落になった場合には、11月21日安値(2万2,726円)や11月1日安値(2万2,705円)あたりが目先の下値となりそうです。

 また、相場が多少荒れる場面があっても、8月の底打ちと10月の押し目を結んだトレンドラインを大きく下抜けなければ、相場の基調は維持されていると考えることができますので、短期的にはさほど慌てなくても良いかもしれません。

上昇後の一服で2万2,000円割れがあったとして、そこで拾える?

 また、中期的なトレンドについても見ていきたいと思います。下の図3は日経平均(週足)チャートですが、26週移動平均線を中心としたエンベロープです。

■(図3)日経平均(週足)とエンベロープ(26週移動平均線を基準)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 足元の株価水準はエンベロープのプラス6%の水準を超えているところに位置しています。つまり、半年間の値動きの中心線である26週移動平均線から見ると、やや過熱気味と考えることができます。こうした過熱感が維持されているということは、足元の株式市場が「少なくとも米中の第1段階の合意は成立するだろう」という前提で動いている可能性があります。

 しかし、だからといって「すぐに株価の修正が訪れる」というわけではありません。実際に、過去の状況を見ると、上向きのエンベロープの線に沿って株価が上値を追っていく場面が多くなっています。

 結局は15日(日)に発動される対中制裁関税第4弾の2回目の発動が回避されるのか、そして、前提となる米中の合意が成立し、制裁関税第1~3弾の領域まで踏み込めるのかどうかによります。

 いずれにせよ注意しておきたいのは、株価の上昇が終わって下落に転じた時です。上の図3ではマイナス6%を超えるところまで下落しているケースが多いことが分かります。ちなみに、先週末時点でのマイナス6%は2万1,879円です。目先に発生するかもしれないトレンドよりも、株価が下落した際の「押し目を拾う難しさ」が今後のポイントになるのかもしれません。