気になるあの本をチェック!
資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資 余命宣告を受けた「バリュー投資家」の人生最後の教え
答えてくれた人
パンローリング編集 磯﨑公亜さん
著者ってどんな人?
石川臨太郎さん
今年で20周年を迎えた、有料メルマガ『億の近道』の執筆人。自身でもブログを作成し、主に中長期狙いのバリュー投資のことについての情報発信をしていました。
その投資スタイルは企業の解散価値に注目したもの。具体的には、「現・預金」「上場された有価証券(国債や株など)」「所有する不動産の現在価値」をバランスシートからはじき出して、その企業の純資産の価値を推定して、中長期目線で保有するものです。
ほかにも、事業価値を計算するために定性分析も用いたりなど、手軽ではあるけど、精緻な分析をベースに資産を増やしてこられました。
パンローリングでは、漫画も含め、何冊も本(代表作:『年収300万円の私を月収300万円の私に変えた投資戦略』)を出していただきました。
2018年末、久しぶりに臨太郎さん(※いつもこのように呼ばせてもらっていました)から「新しく本を作りたい」との連絡が……。「原稿はできあがっているのですか?」と尋ねたところ、「実は末期がんで余命宣告を受けているので、仮原稿を一式渡すからまとめてほしい」と告げられました。この時点で、余命2~6カ月とのことでした。
それを受けて、今回の本のテーマは「遺す」にしました。「資産を作る」という意味での株式投資の本は、世の中にたくさん生まれていますが、「資産を遺す」というところに焦点を当てた本は見たことがありませんでした。しかも、臨太郎さんの状況を考慮すると、その説得力は十分すぎるほどでした。
本書の中では、今まで臨太郎さんが実践されてきた「資産を作るための方法」に加え、「資産を上手に家族に遺す方法」も述べています。
どんな人にオススメ?
まず、お勧めしたいのが、これから資産を作りたいと考えているサラリーマン(若い人)、もしくは、すでに資産運用を始めているサラリーマン投資家です。
というのも、本書の中で、ストレスを軽減して資産を作るスタイルとして、「サラリーマンを続けながら(もしくは株式投資とは別の財布を持ちながら)、株式投資すること」を、臨太郎さんが推奨しているからです。
「会社生活を早く辞めたいから」という理由で、株式投資をされている人も多いと思います。そういう方にこそ、今一度、本書で紹介している臨太郎さんのアドバイスを噛みしめてほしいと思います。なぜなら、株式投資だけで生活するのは、想像以上にストレスも溜まり、一筋縄ではいかないという、自身の経験を通しての教えだと考えているからです。
次に、家族のために上手に資産を遺したいと考えている投資家です。いつか、この世を去るときが必ずやってきます。でも、“そのとき”の準備をしている人、どれだけいるでしょうか?
“そのとき”が近づいてから遺すことを考えたのでは間に合わない可能性があります。最悪の場合、愛する家族が迷います。著者の臨太郎さんは身をもって、その経験をされました。そこには、「死」を直前に迎えたが故の、真剣に考えられたアドバイスがあります。
この本の、ここが読みどころ!
本書のポイントは大きく分けると4つあります。
1つ目は、株式投資を実践していくうえでの基礎知識です。「株価とは何を示したものか」や「目指すべきは絶対不敗の株式投資」など、土台となる考え方を解説しています。
2つ目は、安定的にストレスなく資産を作る方法としての「中長期狙いのバリュー投資のやり方」です。先述したように、解散価値に注目した、現金をたくさん持っている企業を狙っていく手順について解説しています。
3つ目は、「資産を遺す」ための株式投資のやり方です。家族が株式投資に精通していない場合も想定し、10年後まで持ち続けることのできる「世界トップ企業への投資」を推奨しています。世界トップであること以外にも、「業種のトップ企業であるか」なども参考にします。要するに、安心して投資できる企業を狙うものです。
また、「命を守るのも投資」との考え方から、保険についても言及しています。そして、遺言の書き方についても紹介しています。
4つ目は、これから株式投資家に贈る、臨太郎さんからの教え(アドバイス)です。ひとことでは語り尽くせません。まさに、臨太郎さんからの「遺言」というべき内容になっています。
編集者の制作秘話
すでにお察しのとおり、著者である石川臨太郎さんは、本書の完成(2019年7月)を待たずに旅立たれてしまいました。最後に電話でやりとりをしたのは、2019年2月20日でした。
著者が闘病中で密なやりとりができなかったため、作業は難航しましたが、著者の思いをくむためにも「この本は特にしっかり作らないといけない」と考え、メルマガ「億の近道」の関係者の協力を得ながら形にしました。
短期トレードは、確かに爆発力がありますが、その分、才能も必要です。でも、中長期投資なら、時間は掛かりますが、圧倒的な才能がなくても立ち回れます。本文の言葉を借りれば、「超二流」の力でも何とかなります。臨太郎さんは“このこと”を伝えたかったのではないかと思います。
そして……。言うまでもなく、「遺す」ための投資法についても、今から考えてほしいと思います。そのためのヒントは、本書はもちろん、臨太郎さんが生前書きためていたブログ(※)にも残っていますので、興味のある方はご覧ください。
※減らないお財布を持ってフィナンシャル・インディペンデンスをめざす仲間のコミュニティー
本書の最後の章には、株式投資を実践してきたなかでの、臨太郎さんの珠玉の言葉が詰まっています。勉強になる話ばかりです。
もしも、本書を読んでいただき、“今後”のことについての意識改革になれば、本書を出したかいがあったといえます。
石川臨太郎さんの「生きた証」として作ったこの本が、少しでも多くの人の手に渡り、良い影響を与えてくれたら、ひとりの編集者として、うれしい限りです。
本の中身をちょっとだけチェック!
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