はじめに

 今回のアンケート調査は11月25日(月)~11月27日(水)の期間で行われました。

 2019年11月末の日経平均株価は2万3,293円で取引を終えました。前月末終値(2万2,927円)からの上昇幅は366円と決して大きくはなかったものの、月足ベースでは3カ月連続で上昇しています。

 あらためて11月相場を振り返ると、引き続き米中関係の動向によって相場のムードが左右される状況でした。両国の協議担当者による前向き・後ろ向きの発言が繰り返されたほか、香港情勢をめぐる動きなどの不安定さがくすぶっていた中でも、日経平均の株価水準は月間を通じておおむね節目の2万3,000円台乗せを維持する展開となりました。また、国内外の景況感や企業業績の底打ち感なども相場を支えた格好です。

 その一方で、取引時間中は年初来高値を更新しながら、引けにかけては上げ幅が縮小するという日が目立ち、上値が重たい状況も続きました。日経平均では2万3,500円が上値の抵抗として意識され、終値ベースでこの水準を上回ったのは11月12日の取引だけでした。

 このような中で行われた今回のアンケートですが、3,900名を超える個人投資家からの回答をいただきました。株式・為替の見通しDIの結果はともに大きな動きはなく、横ばいでしたが、急改善だった前回調査からの流れは継続し、株高・円安の見通しがやや優勢となっています。

 次回もぜひ、本アンケートにご協力をお願いいたします。

日経平均の見通し 

「DIは横ばい 目先の期待は織り込み済みか」

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之

 今回調査における日経平均の見通しDIの結果は、1カ月先が22.12で、3カ月先はマイナス3.84となりました。前回調査の結果がそれぞれ22.72、0.52だったことを踏まえると、1カ月先がほぼ横ばいで、そして3カ月先がマイナスに転じ、両者ともにDIの数値自体はわずかに悪化した格好になります。

 ただし、回答の内訳グラフを見ると、強気派が占める割合は小さくなっておらず、相場の見通しに対する楽観的な見方が大きく後退した印象にはなっていません。中立派が半分近くを占め、残りを強気派と弱気派で分け合っているように見えます。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 また、アンケート実施期間(11月25~27日)の日経平均の動きをたどると、取引時間中に年初来高値を更新する一方で2万3,500円が上値の壁となる状況が続いていました。相場が崩れにくいながらも積極的に上値を追っていくほどの決め手に欠けていたというのが、今回の横ばいに近い結果につながったと思われます。また、日経平均は8月下旬に底を打ってからの3カ月間で3,000円以上も上昇してきたピッチの速さが意識されている面もありそうです。

 2019年相場も12月に入り、いよいよ残りわずかとなりました。引き続き、米中協議に対する期待をはじめ、国内外製造業の業績後退の底打ち・回復期待見込み、そして各国中央銀行の緩和姿勢などの「合わせ技」による株価上昇が続くのかが焦点になります。

 しかし、12月のスタートは国内外の年末商戦の順調な滑り出しが好感されながらも、米中合意に対する楽観ムードがここに来て陰りを見せる状況になっています。

 いわゆる「第一段階の合意」成立に向けた具体的な進展がない中、米国で「香港人権・民主主義法案」が成立し、中国側が反発していることや、中国ウイグル族に対する人権抑圧問題が浮上したことなどによって、年内の合意が難しくなったのではとの観測が不透明感を強めています。

 それでも、12月15日の米国による対中制裁関税第4弾(2回目)の発動を間近に控えており、「近いうちに第一段階の合意はなされるだろう」という見方は根強く、市場の需給的な要因も相場が相場を支える可能性もあって、株式市場は今のところ値崩れしていません。日経平均は12月3日の取引終了時点で2万3,000円台を維持しています。

 何だかんだで、米中間の合意成立に向けた動きが再加速できれば株価は再び上昇していくと思われますが、その勢いは合意によって緩和・撤廃される関税や規制の度合い次第になります。「期待をかなり先取りしていた」なんてことも十分にあり得ます。

 また、「第二段階以降の合意」については、中国企業に対する米国の規制が焦点になってきます。通信機器のファーウェイをはじめ、監視カメラを手掛けるハイクビジョン、顔認証システムのメグビーなどの中国企業に対する取引制限は、ウイグル自治区や香港などの人権問題や、安全保障という米中で合意が得られにくい項目が理由となっているため、米中の対立は思っているほど改善しない可能性があります。

 11月にレンジ相場のもみ合いの動きを強めていた日経平均ですが、今後のさらなる株価上昇の「中段もちあい」なのか、それとも目先の「天井圏の形成」なのかを見極めようとしている局面に差し掛かっていると言えそうです。

今月の質問 「ふるさと納税してますか?」

楽天証券経済研究所 根岸 美知代

 2019年もあと1カ月を切り、年末調整や確定申告の準備など、税金について考えている方も多いと思います。そこで、今回は節税対策について聞いてみました。

【今月の質問1】利用している節税制度はありますか?(複数回答可)

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 全体の86.3%の方が節税制度を利用していることが分かりました。皆さんはどの制度を利用しているのでしょうか。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 一番多かったのは「NISAまたはつみたてNISA」、その次が「ふるさと納税」、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」、「医療費控除」という結果になりました。

【今月の質問2】2019年は、ふるさと納税をいつしましたか、または、いつする予定ですか?(複数選択可)

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 ふるさと納税をする時期は「10~12月」が一番多く、次いで「4~6月」「7~9月」「1~3月」という順でした。

 [今月の質問3]  2019年にふるさと納税をする方にお伺いします。ふるさと納税の寄付金控除をどのような方法で行いますか。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

「確定申告をする」という方が50.1%、「確定申告はしない(ワンストップ特例制度を利用する)」35.2%、「寄付金控除は受けない」14.8%という結果となりました。

 これから、ふるさと納税をしてみたいと思っても、よく分からないという方は、こちらの動画を参考にしてみてください。

[動画で解説]ふるさと納税 最初の一歩

[動画で解説]ふるさと納税 失敗談

 今回もたくさんのご意見をありがとうございました。

為替DI:「円安見通し」今年最大級に強まる!

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 為替DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示しています。 

「12月のドル/円は円安、円高のどちらへ動くと思いますか?」楽天DIからのアンケートに回答いただいた3,906名のうち、1,203名(31%)が「円安」に動くと予想していることが分かりました。「円高」に動くは977名(25%)で最も少なく、「中立」は1,726(44%)でした。

 円安見通しから円高見通しを引いたDIは+5.79で、2カ月連続でプラスになりました。プラスのDIは円安見通しが円高見通しより強くなっていることを示します。

 2019年のDIは5月から5カ月間マイナス(円高見通し)が続き、9月にはリーマンショックが起きた2008年10月以来となる▲46.03まで下がりました。しかし、先月からDIがプラスに反転。投資家の相場観が円高から円安へと変化しています。円安見通しの強さは今年最大になっています。

 11月のドル/円は、米中貿易問題のニュースに一喜一憂しながら1.78円と比較的狭いレンジで上下した1カ月でした。最近、報道の見出しが「貿易戦争」より「貿易交渉」が多くなってきているのは、少なくとも良い方向に進んでいるサインともいえますが、合意はもうすぐ、もうすぐといわれながら、この1カ月間、表面上は全く進んでいません。トランプ米大統領が「香港人権法案」に署名して法律を成立させたことも、事情をやや複雑にさせています。それでもクリスマス前には合意するだろうとマーケットは楽観的に考えています。みんな年末はゆっくりしたいですからね。

 第1段階の交渉で焦点となるのは、中国が米国からどれだけたくさん大豆を買うか、ではなくて、米国が対中関税を撤廃するのかということ。知的財産権や構造改革など、より深刻な議題については第2段階に持ち越されます。とはいえ、第1段階でこれだけ揉めるなら、第2段階合意までにはどれだけ時間がかかるのでしょうか。その日は永遠にやってこないのかもしれません。

 貿易戦争のニュースに隠れてしまった感がありますが、FOMC(連邦公開市場委員会)は重要な政策決定を行いました。それは「利下げ休止」。FRB(米連邦準備制度理事会)は10月に今年3回目の利下げを実施しましたが、その直後から、パウエルFRB議長もブレイナード理事も、そして連銀総裁も、みんな申し合わせたように、「金利は適切。見通しに大幅な変更がない限り調整は必要ない」と繰り返し発言しています。マーケットにFOMCの考えを刷り込んでいるのです。

 気になるのは、どのようなときに「見通しに大幅な変更がある」のか、ということ。米中貿易戦争が再び火を噴いた時がそれにあたるという位は想像できます。

 とはいえ、長引く貿易戦争で米国経済も不況入りするという不安をよそに、第2四半期のGDPは予想を越える2.1%に拡大しています。そして失業率は過去50年間の最低水準。見通しの大幅な変更はしばらく必要なさそうです。

 そうであれば、利下げは「休止」というより実質的には「終了」。米製造業は早くも立ち直りの兆候が見えていて「アメリカ経済、やっぱり強い」これも12月のテーマとして注目したいと思います。

12月のドル/円はどうなる?

 11月のドル/円の安値は107.89円(11月1日)。高値は109.67円(11月30日)でした。ドル/円が107円台にいたのは、たった1日だけ。何度か108円前半まで下がることはあっても108円を抜けることはなく、1カ月間かけて178ポイント円安に進みました。

 12月のドル/円相場は、ドル高(円安)、ドル安(円高)のどちらへ動くでしょうか?

 ピボットとなる109.01円を基準レベルとして、ドル/円が109.01円より上昇するならばドル高(強気)、下落するならばドル安(弱気)の勢いが強いと考えます。

 ドル/円が109円台をしっかりとキープするなら、5月23日以来ご無沙汰している110円台に挑戦する権利を手に入れます。ただし節目とされる110円はその手前から強い売りも予想され、簡単には突破できないでしょう。110円に乗せることができたら、次のターゲットは110.70円(5月3日高値)、そして111円。ちなみに今年のこれまでの高値は112.40円です。

 反対に、ドル/円が109円台を守れず下落した場合、最初の注目レベルは今年の中心値(高値と安値の50%)にあたる108.20円、その下は11月の安値107.89円。この108円前後の買いゾーンを通り抜けたら、次は10月安値の106.48円がターゲットになります。今年のこれまでの安値は1月3日につけた104.01円。

 12月の相場は、クリスマスまでは、米中貿易協議合意期待と米経済の楽観見通しのなかで緩やかなドル高/円安を予想。しかし、クリスマスが過ぎると欧米のトレーダーのモードは一気に新年度に切り替わります。日本人が年末年始を迎えて気が緩む時期を狙って、ドル/円の売りを仕掛けてくることも考えられます。リメンバー・ザ・フラッシュ・クラッシュ。

今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」、「外国株式」と回答したお客様の割合に注目します。

 当該設問は複数回答可で、選択肢は、国内株式、外国株式のほか、投資信託、ETF(上場投資信託)、REIT(リート:不動産投資信託)、国内債券、海外債券、FX(外国為替証拠金取引)、金やプラチナ地金、金先物取引、原油先物取引、その他の商品先物、特になしの13個です。

図:設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」、「外国株式」を選択した人の割合 (2009年1~11月)

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 2016年6月ごろから、徐々に外国株式を選択する人の割合が上昇し始め、逆に国内株式を選択する人の割合が低下し始めました。2016年6月と言えば、英国でEU(欧州連合)を離脱することを問う国民投票が行われた月でした。

 外国株式の割合の上昇と国内株式の割合の低下の背景について、以前の「老後2,000万円問題!みんな準備してる?:楽天DI 2019年7月」の回で、考察を述べましたので、ご参照ください。

 今回は、外国株式と国内株式を選択した人の年代について書きます。以下の表は、2019年11月の調査で外国株式と国内株式を選択した人達が、同じ楽天DIの調査内の年代を問う設問で回答した結果をまとめたものです。

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 緑と赤のマスがありますが、緑は比較的割合が高いことを、赤は比較的割合が低いことを、色の濃さはその度合いを示しています。緑が濃ければ濃いほど、表内で割合がより高いことを、赤が濃ければ濃いほど、表内で割合がより低いことを示しています。

 全体的には外国・国内ともに40代と50代の方の割合が高いのですが、30代と60代になると、状況は異なってきます。

 30代は国内株式よりも外国株式を選択した方の割合が高く、逆に、60代は外国株式よりも国内株式を選択した人の割合が高いことが分かります。また、60代と同じ傾向が70代でも言えます。

 外国株式と国内株式、年代によって「今後、投資をしてみたいと思う」度合いは異なるようです。昨今、人気度が上昇している外国株式に、比較的若い方たちが関心を示していると言えそうです。

 引き続き、設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」・「外国株式」と回答した人の割合と年代に注目していきたいと思います。

表:今後、投資してみたい金融商品 2019年11月調査時点 (複数回答可)

投資対象 割合 前回比
国内株式 55.61% + 0.57%
外国株式 38.02% ▲ 14.18%
投資信託 34.82% ▲ 1.66%
ETF 23.35% ▲ 8.37%
REIT 16.03% ▲ 2.90%
国内債券 5.84% ▲ 0.21%
海外債券 7.76% ▲ 0.47%
FX(外国為替証拠金取引) 8.83% ▲ 1.50%
金やプラチナ地金 11.73% ▲ 1.18%
金先物取引 1.72% ▲ 0.79%
原油先物取引 1.13% ▲ 0.20%
その他の商品先物 1.28% ▲ 0.16%
特になし 9.29% + 3.61%
出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2019年11月調査時点 (複数回答可)

国名 割合 前回比
日本 33.31% ▲ 1.92%
アメリカ 52.07% ▲ 10.04%
ユーロ圏 3.79% ▲ 1.08%
オセアニア 3.84% ▲ 1.10%
中国 8.29% ▲ 0.71%
ブラジル 3.58% ▲ 2.17%
ロシア 2.20% ▲ 1.41%
インド 28.06% ▲ 2.96%
東南アジア 24.81% + 1.57%
中南米(ブラジル除く) 2.48% ▲ 0.17%
東欧 1.77% ▲ 0.52%
アフリカ 7.50% ▲ 1.39%
特になし 10.24% + 3.12%
出所:楽天DIのデータより筆者作成