12月に入り、ふるさと納税の駆け込みも増えてくる頃です。確定申告不要のワンストップ特例を使えばラクラク税控除が受けられます。ただし注意点もいくつかあるので気を付けてください。

ふるさと納税で税控除を受けるには確定申告が基本

 すっかり市民権を得た「ふるさと納税」制度。自己負担額最低2,000円で、好きな自治体に寄付できるというものです。ふるさと納税により受け取ることのできる返礼品の価値を考慮すると、実質的には自己負担額以上のメリットを享受することができます。

 ただし、自治体に寄付をするだけでは税控除を受けることができません。確定申告をすることにより、所得税や住民税が軽減される結果、実質的に少額の自己負担により自治体への寄付ができることになっています。

ワンストップ特例を使えば確定申告が不要に!

 ただ、「確定申告の手続きがよく分からないのでちゅうちょしてしまう」という声もあります。

 そんな方に朗報です!「ワンストップ特例」という制度を使えば、確定申告をしなくてもふるさと納税の税控除を受けられます。

 この制度は、寄付をした年の翌年1月10日までに、寄付をした自治体に対して「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」にマイナンバーカードの写しなど本人確認書類を郵送するだけで、確定申告をしなくても自己負担額(最低2,000円)を超えた分を住民税から控除してもらえるというものです。

ワンストップ特例が使える条件とは?

 しかし、だれでもワンストップ特例が使えるわけではなく、条件があります。上記のように申請書を期日内に自治体へ郵送していることのほか、

●確定申告をする必要のない方であること(会社員など)
●1年間に寄付した自治体が5カ所以内であること

 という条件があります。

 例えば2カ所以上から給料をもらっている場合、事業所得や不動産所得がある場合、副業等で20万円超の雑所得がある場合、医療費控除を受ける場合など、確定申告をする必要がある方は、ワンストップ特例は使えません。

 なお、1年間に同じ自治体に2回以上寄付をしても、あくまでも自治体の数により判定しますから1つとして数えます。ただし、寄付の都度申請書を自治体に郵送する必要があります。

 また、住所等が変更になった場合は、翌年1月10日までに寄付先の自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を提出する必要があります。

ワンストップのQ&A

 ワンストップ特例に関するよくある疑問に回答していきます。

●5カ所を超える自治体に寄付をした場合、5カ所まではワンストップ特例を使えるのか

 5カ所を超える自治体に寄付をした場合は、そのすべてにつき確定申告をしなければ税控除を受けることができません。

●ワンストップ特例の対象となる人は、必ずワンストップ特例を使わないといけないのか

 ワンストップ特例はあくまで特例であり、確定申告をすれば税控除を受けることができます。

ワンストップ特例の申請書を出すのを1カ所だけ忘れてしまった!確定申告するのはこの1カ所だけでいいのか

 確定申告をしなければ特例申請書を出し忘れた1カ所については税控除を受けられませんが、確定申告することによりワンストップ特例自体が使えなくなります。そのため全ての自治体への寄付に対し確定申告にて税控除を受ける必要があります。

医療費控除やiDeCoとの併用はどうなる?

 ふるさと納税は「寄付金控除」「寄附金税額控除」として、自己負担額を超えた寄付金に対し所得税や住民税を減額してもらえるものです。

 人によっては、ふるさと納税以外に、例えば医療費控除や、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金につき小規模企業共済等掛金控除を使うケースもあると思います。

 これらについては併用が可能ですので、ふるさと納税で寄付金控除を使うと他の控除が受けられない、ということはありません。

 ただし、併用することにより、自己負担額2,000円でふるさと納税ができる限度額が小さくなる可能性があります。事前にシミュレーションを行い、ご自身のふるさと納税の限度額がどのくらいになるかを確認したうえで実行するようにしましょう。

◆関連記事
iDeCoとふるさと納税を併用すると損…それって本当?>>