今週の予想

今週も米中通商協議での早期合意が高まるかどうかに注目

 先週始めは、米中通商協議で両首脳が「第1段階」の合意に前向きな姿勢を示したことで、買い優勢となるものの、その後トランプ米大統領の署名によって香港人権民主主義法案が成立したことで、中国側の反発思惑から合意が不透明となり、週後半は反落となりました。

 今週は、中国側の反発がどの程度になるかによって、相場の動きが変わってきます。中国側の反発がそれほどでもなければ、早期合意への期待は高まって2万3,500円を超えて年初来高値を更新する上昇となり、逆に何らかの報復措置があれば、合意が不透明となって売り優勢となります。

 そして、今月は主要経済指標の発表が多いことにも要注意です。しかし、これらの指数が堅調であれば、日経平均株価は下げても下値は限定的でしょう。

 また、12月15日にトランプ米政権は幅広い中国製品1,600億ドル(約17兆5,000億円)分に15%の制裁関税を課す方針ですので、米中協議でこの制裁が発動されるかどうかも注目点です。

(今週の指標)日経平均株価

 今週は、米中貿易協議の早期合意に向けての動向が注目となります。そのポイントは、香港人権民主主義法案の成立に対して、中国側の反発がどの程度のものになるかです。中国側の反発がそれほどでなければ、市場心理は改善し2万3,500円を突破し、年初来高値を更新する可能性があります。一方で中国側が反発して報復措置をすれば売り優勢となってきます。そうはいっても12月に入って主要経済指標の発表が多く、これらの指数が順調であれば日経平均は下げても限定的となります。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週も米中協議の動向が最大の注目点となり、米中首脳会談の日程が具体化するまでは早期合意は不透明のままで様子見姿勢が続くことになります。ただ、月初めで経済指標が多く発表されることで、内容に左右される場面があるかもしれませんが、基本は最高値圏でのもみ合いが続くことになりそうです。

(今週の指標)ドル/円

 今週は、ドルは底堅い動きが想定されます。FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ打ち止め観測が広がっており、また、主要経済指標の改善を受けて景気底入れが意識され、ドル買い優勢の面があります。一方で米中通商協議の合意の先行きが不透明なため、中国側の反発によってはリスク回避の円買いの面もありますが、今週発表予定の経済指標が良ければ、ドル買いが支援されそうです。1ドル=108.5~110円のレンジを想定しています。

先週の結果

先週の日経平均は、ザラ場では2万3,500円を超す場面もありましたが、終値では突破できず

 週前半は米中首脳が共に「合意は近い」と発言したことで、米株式の主要3指標がそろって3日続伸で史上最高値を更新。これにより日経平均は一時ザラ場で2万3,608円まで上昇しました。

 しかし、週後半になると米国市場の休場もあって2万3,273円まで下げ、終値は2万3,293円と2万3,500円以内で収まりました。ザラ場では2日間2万3,500円を超える場面もありましたが、終値では2万3,500円を超えることはできませんでした。

11月25日(月):前週末の米株式が米中首脳の「合意は近い」発言を受けて3指標そろって反発したことで、日経平均も+179円の2万3,292円で寄り付きました。その後、香港の選挙での民主党の優勢見通しを受け、2万3,347円まで上昇し、終値は+179円の2万3,292円と続伸しました。 

26日(火):前場は、前日の米国株が3指標そろって史上最高値更新となったことで、+158円の2万3,451円で寄り付き、一時+315円の2万3,608円とザラ場で年初来高値を更新する動きとなりました。ただし、この上昇は一部報道の「米中双方が中心的問題を協議し、解決してコンセンサスに達した」というのを受け、アルゴリズム取引が反応して急伸した結果でした。実体がなかったため、利益確定売りで前引けは上げ幅を縮小し+138円の2万3,431円で引け、さらに後場引けは+80円の2万3,373円で引けました。出来高は16億円超え、売買代金3兆1,584億円と大商いでしたが、MSCI指数の銘柄入替えに伴う売買の結果でした。 

27日(水):前日の米国市場が3日連続の続伸で史上最高値を更新したことを受け+79円の2万3,452円で寄り付き、一時+139円の2万3,507円まで上昇しましたが、買い先行も引けにかけて伸び悩むものの、上海株の上昇や配当再投資の買い観測が見られ、+64円の2万3,437円と4日続伸となりました。 

28日(木):前日の米国市場は、強い経済指標を受け3指標は4日続伸の最高値更新となりましたが、香港人権民主主義法案がトランプ大統領の署名によって成立したことで、今後の中国の反発から米中通商協議への影響が懸念され、▲70円の2万3,367円まで下落。終値は▲28円の2万3,409円と5日ぶりの反落でした。この日の米国市場は感謝祭で休場のため、出来高9.2億株、売買代金1兆5,982億円と薄商いとなりました。

29日(金):前日の米国市場は休場で材料不足でしたが、朝方は為替相場が落ち着いていたことで+88円の2万3,497円で寄り付きましたが、米中関係が不透明となったことで利益確定売りのマイナスに転じ、後場には一時▲135円の2万3,273円まで下押しし、▲115円の2万3,293円と続落しました。

 引け後の米国市場は、午後1時までの短縮取引となる中、香港人権民主主義法案の成立から終日軟調となり、エネルギー、半導体関連中心に下落し、NYダウは▲112ドルの2万8,051ドル、ナスダック総合指数は▲39ポイントの8,665 ポイント、S&P500種指数は▲12ポイントの3,140ポイントと3指標下落となりました。シカゴの日経先物は為替が109円台半ばの円安のため、+40円の2万3,330円としっかりでした。