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『半導体サイクル』とは、半導体業界に特有の構造的な循環のことで、一般的に約4年周期で好不況を繰り返すと言われています。市場が拡大し需要が追い付かない好況期には半導体メーカーが一斉に生産設備を増強しますが、生産が軌道に乗るのは1年半から2年後になるため、市場に大量に供給された商品の値崩れが起き調整局面に入ると考えられています。

【ポイント1】調整が続いていた『半導体サイクル』

反動減が一巡か

 2018年初め頃から調整していた『半導体サイクル』は、反動減が一巡し、底入れしてきています。

 今回の『半導体サイクル』の調整は、2016年後半から2017年後半にかけて仮想通貨向けのコンピュータ電子部品の需要が強かったことや新型iPhoneの部品需要が強かったことなどの反動減によるものです。また、米中の貿易摩擦による世界景気の減速懸念が製造業の生産活動を抑制したことが背景にあります。

【ポイント2】『半導体サイクル』に回復の兆し

米国株上昇をけん引

 10月のグローバル製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.8と、景気の好不況の境目とされる50を小幅に下回っているものの3カ月連続で改善しています。製造業セクターが底入れに向かっていることを示唆しています。また、半導体売上にも底打ちが見られます。

 世界の半導体販売額の伸びと高い連動性があるといわれているフィラデルフィア半導体株(SOX)指数は11月15日に過去最高値をつけるなど好調に推移しているほか、S&P500種指数では半導体セクターが上昇をけん引しています。

【今後の展開】米中問題に左右されるが半導体需要は拡大が続く

『半導体サイクル』の循環的な調整や、米中貿易摩擦を巡る不確実性がもたらした設備投資などへの下押し圧力は、既に多くが顕在化していると考えられるため、米中貿易摩擦の極端な激化が避けられればグローバルの製造業セクターへの下押し圧力は徐々に和らぐと見られます。来春から本格運用が始まる「5G」関連の需要増等が見込まれ、世界の半導体生産をけん引する台湾の半導体大手では、「5G」関連への設備投資を大幅に上方修正する動きが見られること等から、『半導体サイクル』は来年にかけて持ち直しが続くと期待されます。