日経平均は一時2万3,000円を下回るも「崩れにくい」状況

 先週末11月22日(金)の日経平均株価終値は2万3,112円でした。前日の21日(木)の取引では節目の2万3,000円台を下回る場面があったものの、持ち直しを見せた格好です。とはいえ、週足ベースでは2週連続の下落、前週末終値(2万3,303円)からは191円の下げ幅でした。

 引き続き、米中関係の動向に左右されている状況ですが、日経平均は先週の「粘り腰」によって再び上昇基調を描くことができるのでしょうか?

 まずはいつものように、日足チャートで足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年11月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ってみると、やはり目立っているのは21日(木)の下ヒゲの長いローソク足の陰線です。

 いわゆるローソク足のヒゲは「ゆらいだ気持ち」を表すとされていますので、一時は株価の下落圧力に押されていたことになりますが、この日の安値(2万2,726円)は直近安値である11月1日の2万2,705円を下回らなかったことで、下値の切り上げ基調をなんとか維持することができました。さらに、この21日(木)の終値も25日移動平均線上まで戻すことができているため、相場の「崩れにくさ」を感じさせています。

 とはいえ、ローソク足と5日移動平均線との位置関係を見ていくと、前週に続いて「週初はサポート、週末は抵抗」という形になっている他、11月8日の高値(2万3,591円)からの上値切り下げ基調が継続していますので、買い上がりにくい状況でもあります。

今週は日経平均の値持ちの良さが焦点に

 また、前回紹介した平均足とMACDの組み合わせを見ると、前週に平均足の陰転とMACDのクロスによって短期的なトレンド転換のサインが出現しましたが、先週も下落傾向が続いていたことが分かります(下の図2)。

■(図2)日経平均(日足)の平均足とMACDの動き(2019年11月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 もっとも、この平均足とMACDの組み合わせを週足チャートで見てみると、まだ上昇トレンドが維持されているため、「相場のムードが一気に弱気に傾いた」というわけではなさそうです(下の図3)。

■(図3)日経平均(週足)の平均足とMACDの動き(2019年11月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 ただし、図3にもあるように先週の平均足の形が十字足となっています。より細かく見ていくと、始値が2万3,137円、終値が2万3,141円で微妙に陽線です。

 したがって、今週の平均足の始値は2万3,139円となり、今週の値動きの平均がこの値段を維持できないと、平均足が陰転してしまうことになります。今週は日経平均の値持ちの良さが焦点になりそうです。

 11月最終週となる今週は、週末の「ブラック・フライデー」から始まる年末商戦への期待や、配当金の再投資などの需給改善などもあり、比較的上昇しやすいとされています。さらに、先週の株価下落によって過熱感が後退したこと、11月最終週で株価が下落したのは2000年以降で1度だけというアノマリーもあり、米中関係の動向が水を差さない限り、どちらかと言えば相場は上方向を目指しやすいというのがメインシナリオになります。

今週の値動きを中期トレンドと合わせて確認

 となると、今週の値動きを中期トレンドにおける位置関係や方向性と比べながらウォッチしていくことが重要になってきます。ここでいう中期トレンドとは2019年8月下旬に底打ちしてからの動きになりますが、別のチャートで確認していきたいと思います。

■(図4)日経平均(日足)の動きとギャン・アングル(2019年11月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図4は日経平均の日足チャートに、先ほどの株価が底打ちした8月26日を起点に「ギャン・アングル」を描いたものです。

 ギャン・アングルの細かい説明はここでは省きますが、8月下旬からの最初の上昇が「1×8」のライン、10月の押し目からの上昇が「1×4」のラインに沿っていたことが分かります。となると、次の上昇は「1×3」のラインに沿っていくのではないかというのがざっくりとした上昇基調の見方です。勢いがつけば「1×4」のラインを試す展開もありそうです。

 もっとも、最初と2番目の上昇の合間に相場が調整する場面がありました。当時は「1×8」から「1×3」のラインまで株価が下がったわけですが、今回も調整があった場合には「1×2」のラインまで株価が下げる可能性があることは意識しておいた方が良いかもしれません。

 現時点で日経平均が再び2万3,000円を下抜けた場合は、2万2,000円台の前半ぐらいに「1×2」のラインが位置していますので、かなり下落してしまうイメージですが、実際にはここで下げ止まれれば想定の範囲内と考えることができそうです。