「漁夫の利」を得るベトナム
まず下のチャートを見てください。これは米国の輸入が、2019年と2018年でどう増減したか? を前年比(%)で示したものです。期間は2019年の1~9月を去年の同期と比べています。
このチャートから明らかに言えることは、米中貿易戦争でベトナムは明らかに「漁夫の利」を得ているということです。
そこで今日はベトナム経済について詳しく見ることにします。
GDP
ベトナムは高いGDP(国内総生産)成長率を安定的に維持しています。
ベトナムは製造業に向く比較的若くて教育を受けた勤勉な労働力に恵まれており、中国に代わる製造業の立地拠点として世界から注目されています。
経常収支
ベトナムにはすでに製造業のしっかりとした基盤ができあがりつつあり、好調な輸出を背景に経常収支は黒字となっています。
直接投資
米中貿易戦争が激化して以来、ベトナムは代替生産拠点として注目を浴びており、海外からの直接投資も安定的に増えています。
インフレ
歴史的にベトナムの「泣き所」として景気が加速するとインフレになりやすいことが指摘できました。しかし近年は保守的な経済政策によりインフレは極めて安定的に推移しています。
失業率
好調な経済を反映して、失業率も極めて低いです。
外貨準備高
このように優等生のベトナムなのですが、あえて問題点を指摘するなら、外貨準備高が少ないということです。
普通、外貨準備は最低でも輸入の3カ月分は欲しいところです。しかしベトナムの場合はずっとその重要な水準を下回っています。これが意味するところは海外の投資家のセンチメントに急激な変化があった場合、投資資金の逃げ足が速くなるということです。
ベトナム投資ができる銘柄名
■ETF
ベトナムに投資するには次のようなETF(上場型株式投信)が存在します。
・ヴァンエック・ベクトル・ベトナムETF(銘柄コード:VNM、米国上場)
・XトラッカーズFTSEベトナム・スワップUCITS ETF(銘柄コード:DFVT、シンガポール上場)
・Xtrackers FTSE Vietnam Swap UCITS ETF(銘柄コード03087、香港上場)
■投資信託
ベトナムに投資する投資信託には次のような銘柄が存在します。
・ベトナム成長株インカムファンド (委託会社:キャピタルAM)
ベトナムだけに投資するファンドではありませんが、ベトナムが含まれている投資信託としては下の銘柄があります。
・三井住友アジア4大成長国オープン(委託会社:三井住友DS)
まとめ
ベトナムは米中貿易戦争で「漁夫の利」を得ています。GDP成長率は高く、経常収支は安定的に黒字で、直接投資も着実に増えています。同国の弱点と思われてきたインフレも過熱していません。失業率も極めて低いです。唯一の懸念点は外貨準備高が貧弱な点です。
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