WTEとバイオマス発電、年内に補助金廃止計画を発表か

 中国政府が年内に新たな廃棄物エネルギー利用(WTE)政策を発表するとの観測が広がり、市場では関連銘柄に対する様子見ムードが高まっている。こうした中、BOCIは新たな政策シナリオを想定し、その上で業界に及ぼす影響を以下のように分析している。

 国家発展改革委員会(NDRC)はすでに、風力発電・太陽光発電への補助金廃止に向けたタイムテーブルを策定済み。これにより、WTEや農業バイオマスを含むバイオマス(化石資源を除く生物資源)発電は、補助金対象となる最後の再生可能エネルギー領域となった。ただ、WTEやバイオマスに関しても補助金廃止の流れは避けられず、NDRCが年末までに廃止計画を策定するというのが、大方の予想。BOCIは政府が補助金不足という問題に取り組むために、必要なステップであると受け止めている。

 BOCIによれば、バイオマスの補助金廃止計画も、風力・太陽光と同じ段階を踏む可能性が高い。WTEおよびバイオマス・プロジェクトが通常、工期15-18カ月を要することを考慮すれば、補助金対象となるプロジェクトの試運転の最終期日は20年末に設定される見込み(陸上風力と同じスケジュール)。補助金の上乗せゼロとなる21年年明け以降のプロジェクトは基本の電気料金収入に限定されることになり、発電会社側は一定のIRR(内部収益率)を確保するため、地方政府に対して廃棄物処理費用の引き上げを求めざるを得ない可能性がある。BOCIの分析では、IRRを現行水準に維持するのであれば、電気料金が0.01元低下するたびに、廃棄物処理費用を1トン当たり1.4-1.8元引き下げる必要があるという。各地方当局が廃棄物処理費用の引き上げに応じられるかについては、ケースバイケースとしている。

 大手のWTE事業者は未着工の事業計画を大量に抱えているが、BOCIは20年以降、プロジェクトの新規着工ペースが減速するとの見方だ。補助金が消え、「グリッドパリティ」(再生可能エネルギーの発電コストが既存の電力と同等か割安となる)の実現が求められる時代においては、プロジェクトの収益性を精査することが不可欠となるためで、これが20年以降の業績悪化や関連銘柄のバリューの低下を招く可能性がある。ただ、20年末までの新規設備の拡大と21年以降の設備投資の縮小で、フリーキャッシュフロー(FCF)は大きく改善する見込み。配当性向の引き上げが期待できるとしている。

 BOCIは政策面の不確実性はすでに、カバー銘柄3社、中国光大国際(00257)、緑色動力環保(01330)、粤豊環保電力(01381)の株価にほぼ反映済みとの見方。電気料金の低下を織り込む半面、FCFの改善見通しは反映されていないと指摘し、3社すべての株価の先行きに対して強気見通しを継続した(トップピックは中国光大国際)。また、実際に政策が発表されれば、リスク・リワードの数量化につながり、投資家が改めて環境セクターのバリュエーションを検討することが可能になると指摘している。