投資の初心者がいざ投資をしようとするとき、ハードルになるのが「何に投資するか」です。

 実は、誰でも自分の目的と希望に合った、初心者向けの投資方法や商品をかんたんに選ぶ方法があります。今回は、「どれに投資したらいいか、誰か教えて」という人も、「投資と言えば、株式?」と漠然と思っている人も、納得できるはじめての投資商品の選び方のコツ、そして投資にかかるコストについて、紹介します。

投資初心者のはじめかた

 投資初心者には、「企業の株を買う株式投資」と「プロが運用してくれる投資信託」をおすすめしています。その他にも多くの金融商品はありますが、株式投資や投資信託よりも複雑な商品です。「株式投資」と「投資信託」が、なぜ投資初心者におすすめできるのか、その理由を順番に説明します。

株式投資と投資信託の特徴

 まず、株式投資と投資信託の特徴を簡単に紹介します。「株式投資」は、上場している企業の中から自分で選び、企業の株式に直接投資することができます。

「投資信託」は、商品の中から自分で選び、ファンドマネージャーという投資の専門家にお金を預け運用を任せます。

 株式投資と投資信託の特徴を分かりやすくまとめたのが、次の表です。

株式投資と投資信託の比較

  株式投資 投資信託
投資先 自分で決める ファンドマネージャーに任せる
投資スタイル 好きなタイミングで投資 ファンドマネージャーが投資
つみたてができる
分散投資がカンタンにできる
手数料 売買額にあわせて増加 購入手数料0~4% 
信託報酬 0.1〜3% ※1
信託財産留保額 0~3.5% ※2
投資金額 約1,000円~
ポイントで投資も可能※3
100円~
ポイントで投資も可能※3
利益 株価の差額
株主優待・配当金がもらえる企業も
基準価額の差額
分配金がもらえる商品も
出所:楽天証券のデータを基に株式会社マネネが作成。
※1 信託報酬とは、保有している間に保有残高に応じて算出され、引かれる手数料
※2 信託財産留保額とは、投資信託を売却する際に投資家が支払う手数料
※3 各証券会社によって異なるが、楽天証券では、楽天ポイントで購入可能

 自分で分析をして、投資先を決めたい方や、大きな利益を狙いたい方は、株式投資が向いています。『投資初心者のギモン:投資でお金は増えるの?』で紹介したように、1年でも株価が大きく上昇する可能性があります。また、企業によっては株主優待制度で優待品がもらえたり、企業の利益を株主に分配する配当金が年に1、2回出ることがあります。

 一方で、分析して投資先を決める自信がない、投資先を選んだり分析するのに時間をかけたくないという人は投資信託が向いています。現に、投資未経験者の約70%は初めて投資をする際に投資信託を選択しています。

 投資信託は、ファンドマネージャーという運用のプロが購入者のお金を預かって適切に運用してくれるため、基本はほったらかしでOK。売買は運用のプロに任せてしまいたいということであれば、投資信託の方がよいと思います。
※2019年1~10月 楽天証券口座開設者かつ投資未経験のデビュー商品

気になる手数料はどれくらい?

 投資には費用がかかります。そして、株式投資、投資信託それぞれに投資最低額が決まっています。

株式投資の手数料

 株式投資は、投資の売買額によって手数料が増えていく方式が多いです。

 手数料が安いネット証券なら、売買額が1回10万円以内であれば、無料または消費税込みで100円前後という手数料が一般的です。ただし、売買額が1回100万円でも、手数料は消費税込みで500円程度と売買額の0.5%程度。消費税より低く、「高い」と感じるほどの手数料ではないと思います。

投資信託の手数料

 投資信託は、約6,000本ありますが、1,300本ほどは、購入手数料がかかりません。ただし、信託報酬はすべての投資信託にかかります。

 信託報酬は、安いものは投資信託保有額の年0.2%前後。例えば10万円分保有していたとすれば、200円。ですから、こちらもほとんど気にならない程度だと言えるかもしれません。

 株式投資でも投資信託でも、手数料という観点ではどちらも大きな差はないようです。

気になる投資金額の設定は?

株式投資の投資金額

 株価は●●円と表現されていますが、これは1株の値段です。しかし、株式投資は100株以上が基本です。そのため、株価に100を掛けて投資する最低限必要な金額を出します。2019年10月24日時点では、投資額1万円以内で投資できる日本企業は、48社あります。意外と少ない資金でも大丈夫だと思いませんか? 

 ただし、この中に投資したい企業があるかどうかは別の話です。「1万円以内と安いから」「買えるから」だけを基準にしてはいけません。安い株式は人気がないわけですから、安いなりの理由がある場合もあるからです。投資に使える金額が多ければ多いほど、投資できる企業の選択肢も増えます。10万円以内であれば、1,459社の中から選ぶことが可能になります。

投資信託の投資金額

 投資信託は100円から購入可能。全世界の株に投資をしている投資信託を買えば、100円で全世界の株に投資をすることも可能です。

投資初心者の投資先はどれがいい?

人気の株式は?

 株式投資をしている人はどのような企業の株を買っているのでしょうか。

日本株と米国株の保有残高上位5銘柄(2019年11月1日時点)

日本株
順位 銘柄コード 銘柄名
1 9984 ソフトバンク
2 8411 みずほフィナンシャルG
3 2914 日本たばこ産業(JT)
4 7203 トヨタ自動車
5 8306 三菱UFJフィナンシャルG
出所:楽天証券のデータを基に株式会社マネネが作成
米国株
順位 ティッカー 銘柄名
1 AMZN アマゾン・ドット・コム
2 AAPL アップル
3 VT バンガード・トータル・ワールド・ストックETF
4 VTI バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
5 MSFT マイクロソフト
出所:楽天証券のデータを基に株式会社マネネが作成

 日本株はもちろん、米国の株式でも聞いたことのある会社が多いと思います。日本株を見ると、誰もが知っている大企業が上位にあります。

 日本たばこ産業(JT)は、配当や株主優待でも人気です。JTはたばこのイメージがあるかと思いますが、株主優待はご飯やカップ麺の詰め合わせをくれます。もしかしたら、配当金や株主優待で投資先を決めている人が多いのかもしれません。

 米国株では上位5銘柄のうち2銘柄はETF(上場投資信託)が入っています。米国株投資をする人の多くが、ETFを買って世界中の株式に分散投資をしていることが分かります。

人気の投資信託は?

 次に、投資信託のランキングです。

購入者が多い投資信託の上位5銘柄(2019年1~10月)

順位 商品名 買付手数料 信託報酬
1 楽天・全米株式インデックス・ファンド
(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))
なし 0.162%
2 eMAXIS Slim 先進国株式インデックス なし 0.10989%
3 ひふみプラス なし 1.078%
4 <購入・換金手数料なし>
ニッセイ 外国株式インデックスファンド
なし 0.10989%
5 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
(楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))
なし 0.222%
出所:楽天証券のデータを基に株式会社マネネが作成

 5つとも購入手数料がかからない投資信託です。多くの投資家が、購入手数料がかからないものを選ぶ傾向があるようです。投資先は国内外の株式や、米国または先進国の株式に人気が集まっています。これらの投資信託は株式には投資していますが、数銘柄に集中的に投資するわけではなく、それぞれが定めているインデックス(株価指数など)に連動するように運用しているので、投資先は幅広く分散されています。つまり、手軽に安く多くの株式に分散投資をするため、投資信託を選んでいると考えられますね。

ランキングはあくまで参考までに

 さて、日本株式、米国株式、投資信託のランキングをそれぞれ紹介しましたが、ずっと人気であるかは分かりません。一つの参考情報としましょう。

 毎日、新聞やニュースサイトなどで経済指標や為替相場、各産業の動向や企業の決算などの情報を収集しながら、値上がり、値下がりのランキングなども見るようにすると、情報と価格の変化に関係性が見えてきたりして、自分なりに投資のヒントを見つけることができるかもしれません。「昨日は円高になったけど、円高になるといつもこの株の株価は下がるなぁ」など、ささいなことを気付くことが投資、とくに株式投資ではとても重要です。

 次回は、具体的な投資術を紹介します。
投資初心者の投資信託選び「つみたて・分散・手数料」でかんたん投資 に続く