日経平均株価が年初来高値を更新。それに伴い、持ち株の株価も上昇していきます。そのときにどんな行動を取るかによって株式投資の成果が大きく変わってくるのです。

日本株上昇で持ち株の含み益も増加

 日経平均株価が年初来高値を更新しました。米国株に至っては史上最高値を更新するなど、世界的な株高局面が続いています。

 ご自身の持ち株も株価が上昇し、含み益が増加している株もあるかと思います。

 持ち株の株価が上昇するともちろんうれしい反面、それとは異なる気持ちも生じます。それは「恐怖心」です。

 実はこの恐怖心をコントロールすることが、株式投資で成功するための秘訣の1つなのです。

怖くて持ち株を保有し続けられない個人投資家

 例えば1,000円で購入した株の株価が順調に値上がりして、1,100円、1,200円と上昇を続けたとしましょう。

 このとき、多くの個人投資家の心境としては「利益が増えてうれしいなあ」という思いともう1つ、「そろそろ売っておかないと利益を取り損ねるかも」という思いが交錯するのです。

 この2つの気持ちが揺れ動く中、例えばネットで「そろそろ株価は天井を付ける。持ち株は売っておくべき!」というコメントを見つけると、「やっぱり利益があるうちに売らなければ!!」と思って持ち株を売ってしまいます。

 しかし、1,000円で購入した株を1,200円で売った後、さらに株価が1,500円、2,000円と上昇して悔しい思いをしてしまう場合も多いです。

持ち株の株価が2倍以上になってから売ったことありますか?

 筆者はセミナーの講師をするとき、参加されている個人投資家の方に「持ち株の株価が2倍以上になってから売ったことのある人は?」と質問することがよくあります。すると、ほとんどの人は手を挙げません。つまり、株の利益を大きく伸ばすことができず、売ってしまっている…ということです。

 10%や20%の利益で売却してしまうことが習慣となると、株式投資で大きく資産形成をすることは難しいと言わざるを得ません。

 買った株のすべてが上昇することはなく、ざっくり言えば半分は買った後値下がりします。そのため、どうしてもある程度の損切りは発生します。

 したがって、株価が上昇した株の利益で、値下がりして損切りした株の損失も賄う必要があるのです。

 仮に、損切りによる損失が5%、値上がりする銘柄と値下がりする銘柄が半々ずつとすると、10%の利益で持ち株を売却すれば差し引き5%の利益となります。

 ただ、実際は相場環境が悪い時は、値下がりする銘柄の方が圧倒的に多くなるので、10%の利益で持ち株を売却していると、おそらく投資成果はマイナスになると思います。これが20%であっても、少しプラスになる程度でしょう。

心理に打ち勝つために必要なのは「ルール」

 値上がりすると思って買った株も半分は値下がりする、相場環境が悪ければもっと多くの株が値下がりする…こうした状況の中、株式投資でしっかりと利益を得るためには、「値上がりした株の利益を伸ばす」ことが重要です。

 もし、持ち株を売却する際の利益が平均して50%だとしたら、トータルでそれなりの利益を得ることができます。バブル相場などで、株価がさらに大きく伸びたとしたら、大きな利益を獲得できる可能性も大いに高まります。

 ところが人間の心理として、少し株価が上昇した状況では、「今のうちに早く売っておかないと利益が減ってしまう!!」という思いが強くなり、結局は利益を伸ばせずに売ってしまうのです。

 こうした心理状態に打ち勝つには、利益を伸ばすための「ルール」を設けることが必要になってきます。

持ち株をいつ売るかという判断が投資成果を決めている

 筆者が設けているルールは非常にシンプルです。「株価が25日移動平均線を明確に割り込まない限りは持ち株の保有を続ける」というものです。

 このルールを守るだけで、持ち株の利益を50%超、時には2倍、3倍に膨らませてから売却することができます。

 もちろん、相場環境が良くなければ、買値から10%、20%程度株価が上昇したところで天井をつけてしまい、持ち続けた結果利益を得られなかった、ということも多々起こります。

 でも、10%や20%の株価上昇で持ち株をすぐ売ってしまう、ということをいつまでも繰り返していては、大きな利益を上げることはほぼ不可能と言わざるを得ません。

 株価は自分の思い通りには動きません。何をやっても損ばかり、ということもあれば、バブル相場や長期上昇相場のように、株を持ち続けるほど利益がどんどん伸びる、という時期もあります。

 ひどい時は誰もが利益を得られません。でも上昇相場では、いつ持ち株を売るかにより、大きく投資成果が異なってくるのです。

 せっかく株価が上昇を続けているのに、上昇の途中で売却してしまったら、その後の上昇を取りこぼしてしまいます。そうではなく、上昇している株価がピークアウトして移動平均線を割り込んでから売却しても決して遅くないですし、上昇途中で売却するよりも大きな利益を得られることも多いです。

 なかなか利益が伸ばせない…という方は、利益を伸ばすための売買ルールを設け、ぜひ実践してみてください。