日経平均、年初来高値更新の主因は「買い戻し」

 日経平均株価は年初来高値を更新する局面となりました。その主因は、米中貿易交渉の部分的合意期待によってもたらされた「売り方の買い戻し」と解説されています。

 過去においても、急上昇は「買い戻し」によることがあったと認識している方も多いでしょう。売り方が急に買い戻しに動く時というのは、売り方はすでに含み損を抱えていて、この先さらにそれが増大しそう(株価が上昇しそう)という危機感から「成り行き」で買い戻されることが多くなります。ますます、買い戻しは株価上昇に勢いをつけることになります。

 その後、さらに高値に進む相場の中では当然のように「新規買い」が入り始めることが想定されます。これも過去の多くの局面で目にしてきたことです。株価が安値低迷から抜け出し、それが一定期間続きそうになると、どんどん株式市場に新規資金が流入してくるのです。現在続いている3月期決算企業の中間決算発表で「業績底打ち」を示す企業が増えれば増えるほど、新規買いは増えてくることでしょう。

「物色の流れ」に注目

 このような局面では「物色の流れ」について、これまで以上に敏感になっていきたいと思います。たくさんある銘柄の全てが同じように買われるわけではなく、必ずその時の「流れ」があります。典型的なパターンを並べてみましょう。

  • 大型株⇔中小型株
  • 景気敏感株⇔ディフェンシブ株
  • 外需株⇔内需株
  • グロース株⇔バリュー株
  • 製造業銘柄⇔非製造業銘柄
  • 値がさ株⇔中低位株
  • 高値を付けた銘柄⇔まだ高値を付けていない銘柄
  • そのセクターにおける主力銘柄⇔同2、3番手銘柄
  • 東証1部上場銘柄⇔新興市場上場銘柄

 おおむね株式市場で見られるパターンは網羅できていると思いますが、上のパターンが複合的に表れることもあります。

 他方、上のパターンで表現しきれていないことに「流動性」が指摘できます。これについては、時価近辺での売買ができないくらい流動性の低い銘柄が、流動性に富む銘柄よりも注目されることはまずないと考えていいでしょう。

 また、IPO(新規公開株)は、とくに上場直後はそのものが一つのセクター(=カテゴリー)のような捉え方をされており、上のパターンには当てはまらないものと認識できます(注:今のIPO銘柄はほとんどが内需の非製造業です)。

 ここでは足元、目立って物色が向かっている「外需系企業」の中から10万円で投資可能な5銘柄を参考として取り上げます。

今の流れを捉える外需系10万円株

 株価データは2019年11月6日終値ベース。 

藤倉化成(4620・東証1部)

 自動車向けアクリル樹脂派生製品のコーティング材、 建築用塗料、 電子材料、 機能材料の4事業が柱です。主力製品の顧客は日米欧の大手自動車メーカーです。

・藤倉化成の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

OKK(6205・東証1部)

 中小型マシニングセンターが主力の工作機械メーカーで、自動車業界向けが売り上げの多くを占めています。日本の自動車メーカーではホンダとの取引が多くなっています。

・OKKの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

ヤマハモーターロボティクスホールディングス(6274・東証1部)

 半導体製造装置の「新川」と「アピックヤマダ」を中核とする持株会社です。ワイヤボンダ(結線装置)など半導体後工程装置を専業としています。

・ヤマハモーターロボティクスホールディングスの日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

日立造船(7004・東証1部)

 造船から撤退し、ゴミ焼却設備の「環境装置・プラント」を主軸として、 洋上風力発電や次世代電池の全固体電池など新エネルギー分野に展開しています。

・日立造船の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

長野計器(7715・東証1部)

 圧力計・圧力センサーメーカーです。圧力計では世界御三家の一角です。圧力センサーは半導体・産業機械・建設機械向けの他、エンジンブレーキなど車載用にも展開しています。

・長野計器の日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)