19年7-9月期に58%減益と予想下押し、10-12月には持ち直しへ

現地コード 銘柄名
00857

中国石油天然気

(ペトロチャイナ)

株価 情報種類

 3.85HKD
(11/1現在)

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 ペトロチャイナの19年7-9月期決算(国際会計基準)の純利益は前年同期比で58%減、前期比では51%減の88億元にとどまり、BOCIの予想を40%下回った。4事業部門のうち、石油精製・化学を除く3部門(探査・生産、天然ガスおよびパイプライン、石油販売)の利益が予想から下振れした。BOCIはこれを受け、19-21年の予想純利益を13.9%、6.6%、6.2%の幅で減額修正したが、続く10-12月期に関しては業績回復を見込み、同社が高配当という形で株主還元を行う可能性を指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIは10-12月期について、前期比で40%の増益を予想している。天然ガスおよびパイプライン部門の利益貢献が持ち直すとの見方が背景。北部地域の暖房需要期(通常11月半ばから3月半ばまで)を迎え、天然ガスの販売量の大幅増と販売価格の上昇が見込まれるという。

 同社株価のバリュエーションはかなりの低水準にあるが、その一因は、油ガス輸送パイプラインの運営を手掛ける新たな国有企業、「国家油気管網公司」に対する投資家の警戒感。中国政府が近く設立するこの新会社が、ペトロチャイナから採算事業の天然ガスパイプライン事業を奪い、赤字の天然ガス輸入事業だけが残されるとの懸念が理由だ。ペトロチャイナのガス輸入事業は国内のガス供給を確保するために赤字を余儀なくされており、これまではパイプライン事業の黒字でこの分を埋め合わせてきた経緯があった。ただ、ペトロチャイナは「国家油気管網公司」の設立と絡み、赤字のガス輸入契約に対する補償金支給を求めており、BOCIは市場が懸念するより有利な結果となる可能性もあるとしている。

 一方、同社は石油・ガス資源の探査・開発の強化を通じた埋蔵量の引き上げや、生産量の拡大、コストダウンにより、収益成長を持続させる方針。こうした計画が成果を挙げる前に、同社は高配当という形で株主への利益還元を行う意向という。

 BOCIは探査・生産部門の減価償却費の増大観測を反映させる形で利益見通しを減額しながらも、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく1株当たり予想NAV(純資産価値)を7.08HKドルから7.22HKドルに上方修正。同社H株の目標株価を引き上げた。目標株価の対NAVのディスカウント率(32.5%)については、引き続き16年初めに原油相場が底入れして以来のヒストリカル平均値を採用している。一方、A株に関してはAH価格差の3カ月平均値(8月後半の80%から71%に縮小)をベースに、目標株価を小幅に引き下げた。

 レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、原油急落リスクのほか、「国家油気管網公司」の新設による打撃が予想を上回る可能性を挙げている。