今週の予想

米国株主要3指標そろって史上最高値更新。日経平均も年初来高値更新の動きへ

 日本市場が休場の4日(月)の米国市場では、史上最高値更新中のS&P500種株価指数、ナスダック総合指数に続き、NYダウ平均株価も史上最高値更新となりました。

 これは、11月中旬の米中通商協議に向け、トランプ米大統領と連絡を取り続けていると習近平中国国家主席が表明。米中合意に期待が高まったことが背景です。

 NYダウは何の抵抗もなく史上最高値を更新し、世界の株式市場も大幅上昇。先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利下げも実施されたことで、金余りの金融相場が続いているということです。

 米国株式が高値を試し終わるまで、日経平均も年初来高値を更新し続けることになりそうですが、相変わらず米中通商協議の行方が材料です。まずは、部分的合意に向かって上昇するものの、合意ができれば目先は材料出尽くし、またトランプ大統領の行き当たりばったりの政策で米中合意へのブレーキがかかれば悪材料となります。そうなっても世界的な金利引下げの動きで金融相場になっており、下値は限定的だと思われます。

 日経平均は、米株式の最高値更新で買い戻しが入り大きく上昇しており、このまま買い戻しが終わるまでは、上昇が続く可能性があります。2017年11月9日のザラ場高値2万3,382円を終値で抜けると、2万4,000円水準までは基本的に真空地帯と言えます。米国株から見ると日本株は割安感となっており、米国株に変調がなければ上昇期待が続くことになりそうです。

(今週の指標)日経平均株価

 全体相場というより東京株式市場はピークを迎える9月中間決算発表を踏まえ、今後の業績見通しが注目されそうです。

 海外情勢では、先週末、後退した米中通商協議が引き続き相場の材料となりそうです。もし合意が大きく前進してNYダウがさらに史上最高値更新の場面があれば、日経平均も2万3,000円台に乗せることになりますが、5日に大きく上昇、2万3,000円台に乗せて終わりました。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週は、先週末に米中通商交渉がやや後退。そのような状況の中でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議の開催国のチリが開催断念を表明したことで、米中協議をめぐる両首脳の合意署名実現が不透明となりました。次の場所が決まらなければ署名が長引くことになり、株式市場にとってはいい材料ではありません。引き続き決算発表に注目が集まることになります。

(今週の指標)ドル/円

 今週は、米中通商協議の行方を注視して、ドルはもみ合いとなりそうです。FOMCでの今後の利下げ停止観測を受け、追加利下げを想定したドル売りは後退する見通しです。ただし、具体的な手掛かりは乏しくドル/円の値動きは限定的となりそうです。

 一方で、米中通商協議の速やかな進展には不透明感があります。先週末にAPECの首脳会談の開催国のチリが開催を断念したことで、米中両首脳の署名実現が遅れることになります。今週は1ドル=107~109円のレンジを想定しています。

先週の結果

先週は、週前半、一時ザラ場で2万3,000円乗せとなるが週後半はもみ合いへ

 先週前半は好調な動きとなり、10月29日(火)は前日の米国株高を受け、一時2万3,008円の高値をつけました。その後、上昇一服となり、30日(水)は8日ぶりの反落。31日(木)は+83円と反発するものの週末は再び▲76円の2万2,850円と反落して引けました。

 結局、いったん2万3,000円をザラ場でつけた後、もみ合いとなってしましました。

10月28日(月):前週末の米株高を受け、1ドル=108円台後半と為替の落ち着きもあって、+54円の2万2,854円で寄り付き、2万2,800円台でのもみ合いが続きましたが、後場に一時+96円の2万2,896円まで上昇。その後一服するも大引けにかけて2万2,800円台後半で推移し、+67円の2万2,867円と6日続伸で連日の年初来高値更新となりました。 

29日(火):28日の米株の上昇と為替の1ドル=109円台を好感し、+83円の2万2,950円で寄り付き、一時+141円の2万3,008円をつけました。その後、上値を抑えられる場面が目立ちましたが、下値は堅く小幅のもみ合いが続いて、+106円の2万2,974円と7日続伸かつ年初来高値更新が続きました。 

30日(水):29日の米株式が上昇一服となったことで、日経平均も8日ぶりの反落となり、▲20円の2万2,953円で寄り付くと、利益確定売り先行となり、後場には先物にまとまった売りが出て、一時▲146円の2万2,827円まで下落し、終値は▲131円の2万2,843円となりました。 この日はトピックスの浮動株比率の定期見直しに伴い、東証一部の売買代金は3兆3,795億円、出来高は17.9億株でした。特別、大きく下げる理由はありませんでしたが、短期的な過熱感から先物にまとまった売りが出たということでしょう。 引け後の米国市場では、FOMCで予想通り0.25%の金利引下げが行われ、FRB(米連邦準備制度理事会)議長が「今後インフレが強まらない限り再び利上げはない」と示唆したことで、NYダウは2万7,204ドルまで上昇し、史上最高値2万7,398ドルに接近し、+115ドルの2万7,186ドルで引けました。

31日(木):前日の米国市場を受け、日本市場は+66円の2万2,910円で寄り付き、一時+145円の2万2,988円まで上昇。しかし、やや円高の流れもあり、上げ幅を縮小し、終値は+83円の2万2,927円と反発しました。

11月1日(金):31日の米国市場で、米中貿易問題の先行き不透明さが再び高まったこと、10月シカゴPMI(購買担当者景気指数)が大きく悪化したことで、NYダウは▲140ドルの2万7,046ドルと反落し、これを受けて日経平均は一時▲221円の2万2,705円まで下落しました。しかし、売り一巡後は先物買いを支えに下げ渋り、上海株の上昇にも支えられ▲76円の2万2,850円で引けました。

 日本市場引け後の米国市場では、注目の10月米雇用統計は、予想を大きく上回る強い結果となりました。非農業部門雇用者数は、予想の8.9万人を大きく上回る12.8万人増となり、さらに9月分、8月分も上方修正されました。これを受けてNYダウは+301ドルの2万7,347ドルとなり、7月16日につけた史上最高値2万7,398ドルへ接近しました。ハイテク株全体のナスダックは3カ月ぶりに史上最高値を更新し、S&P500は2日ぶりに最高値を更新。シカゴの日経先物は為替が108円台前半の円高だったため+90円の2万2,940円とあまり伸びていません。