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11月、欧州中央銀行(ECB)の新総裁にフランスのクリスティーヌ・『ラガルド』氏が就任します。『ラガルド』氏は2011年から国際通貨基金(IMF)専務理事として活躍してきた人物です。「ユーロを守るために何でもやる」との発言で知られるマリオ・ドラギ総裁の8年の任期が終了し、マイナス金利の深堀りや量的緩和のパッケージを託された『ラガルド』新総裁の動向が注目されます。
【ポイント1】「何でもやる」ドラギ総裁が退任、IMF『ラガルド』氏が次期総裁
11月、ECBの女性初となる新総裁に、フランス出身のクリスティーヌ・『ラガルド』氏が就任します。『ラガルド』氏はフランスの対外貿易担当相や農業・漁業相を歴任した後、2011年からはIMFの専務理事として活躍してきました。
退任するドラギECB総裁は、マイナス金利導入に至る積極的な利下げや量的金融緩和を行い、欧州債務危機への対応に取り組み、ギリシャやイタリアなど南欧諸国の金融危機を収めるなどの成果をあげました。緩和策を示唆しては市場を安心させるなど、その手腕は「マリオ・マジック」と評されました。欧州経済は徐々に回復に向かい、ECBは2018年12月に量的緩和策を終了し、非伝統的な金融政策から正常モードに戻りつつありました。
【ポイント2】ECBは9月に金融緩和を再開
緩和政策は長期化の見込み
しかし、米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題などから欧州経済は再び低迷し、およそ9カ月で再び金融緩和へ舵を切ることとなりました。
9月に入りECBはマイナス金利の深堀りや量的緩和のパッケージを決定、金融緩和を再開しました。見通しの不確実性が高まっていることなどから、金融緩和は長期化する見込みです。
【今後の展開】当面はドラギ路線を踏襲しながら、財政政策の拡充を模索か
ユーロ圏の景気は不確実性の下で弱さが目立っており、この状況は年後半も続くと見られています。『ラガルド』次期総裁は、下向きのリスクが高いユーロ圏景気と、目標の2%を大幅に下回る物価上昇率を回復させるべく、現行の大胆な金融緩和姿勢が当面必要との見解に同意すると述べています。
一方で、これまでの政策の副作用に注視する必要があると述べており、副作用や効果の点検、見直しなどを進めていくとしています。また、過度の金融政策依存を避けるため財政政策の重要性を指摘しており、今後、欧州各国に財政出動を求めると見られています。IMF専務理事の職などで培った、『ラガルド』次期総裁の政治的な調整能力が発揮されることが期待されます。
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