7-9月の 油ガス生産量が予想以上の2桁増、天候や新規事業が寄与

現地コード 銘柄名
00883

中国海洋石油

(CNOOC)

株価 情報種類

 12.06HKD
(10/25現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 CNOOCの19年7-9月の石油・ガス生産量は前年同期比10%増の1億2,480万BOE(石油換算バレル)と、予想外の力強い伸びを示した。新規プロジェクトの貢献や、台風による南シナ海事業への悪影響を回避できたことが背景。BOCIは19年の石油生産量が経営陣の予想の上限、あるいはそれ以上に達するとみて、通期の利益見通しを上方修正。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 7-9月の生産量の2桁増に貢献したのは、ナイジェリアのエジナ(Egina)油田や米アポマトックスなどの新規プロジェクト。また、南シナ海では台風による操業への影響がほぼゼロという幸運に見舞われ、このエリアにおける7-9月の石油・ガス生産量は前年同期比約20%の伸びを達成した。

 1-9月の石油・ガス生産量はこれで、前年同期比5%増の3億6,780万BOE。9月末時点で経営陣が示した通期生産見通し(4億8,000万~4億9,000万BOE)の75.1~76.8%をクリアした。BOCIは実際の通期生産量が予想レンジの上限に達するとの見方。予想を超える可能性もあるとみている。石油および天然ガスの実勢販売価格は7-9月にそれぞれ前年同期比15%下落、9%下落したが、生産量が伸びたため、石油・ガス販売収入は同1%増の483億元。1-9月では3%増の1,426億元だった。

 7-9月には探査活動においても成果を上げ、中国オフショアで新規の油ガス田3カ所を発見。油ガス層評価における成功例は18カ所を数えた。海外では、ガイアナのオフショアにあるスターブルーク鉱区(同社が権益25%を保有)のトリプルテールで新たな油田を発見した。これは同鉱区における14番目の発見事例であり、可採埋蔵量は計60億BOEを超える水準に達した。

 同社は9月下旬に米ドル社債の発行で15億米ドルを調達した。内訳は10年物(表面利率2.875%)が10億米ドル、30年物(同3.3%)が5億米ドル。BOCIはこうした低コストでの長期資金の調達が、資本構成のさらなる改善につながるとみる。

 親会社からの中聯煤層氣有限責任公司(CUCBM)の買収もこのほど完了した。買収額は53億元。CUCBMは長期的に、中国のオンショアでの天然ガス生産の拡大に寄与する見込み。ただ、現時点では生産規模が小さく、短期的な貢献は限定的とみられる。

 BOCIは予想を上回る生産量の伸びや最近の起債による影響、さらに為替相場の変動見通しなどを反映させ、19年、20年の予想純利益を2.5%、0.3%増額修正、21年に関しては0.5%減額修正した。一方でSOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく1株当たり予想NAV(純資産価値)を12.98HKドルに据え置き、目標株価を小幅に下方修正した。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、原油急落の可能性、海外での大型プロジェクトが遅延する可能性を挙げている。