米国企業の7-9月期決算は引き続き堅調です。金融・経済情報を提供するファクトセットによると、S&P500の4割の企業が決算を公表し、このうち市場予想に対して売上高が上回った企業が64%、利益が上回った企業が80%です(2019年10月25日時点)。
公表された決算の動向を見ると、米国の消費関連やクラウド関連で堅調さが目立ちます。消費関連企業では、マクドナルド(MCD)の決算が軟調となったものの、外食のチポトレ・メキシカン・グリル(CMG)、P&G(PG)、ビザ(V)が市場予想を上回りました。
クラウド関連では、インテル(INTC)とマイクロソフト(MSFT)の決算が市場予想を上回り、2社ともクラウドサービスの需要拡大やデータセンター投資の恩恵を示唆する内容でした。インテルはパソコン向けが減収となったものの、通信サービスプロバイターやクラウド向けが伸びてデータセンターセグメントが増収となりました。マイクロソフトはクラウドサービスの「Azure」が引き続き前年同期比6割以上の増収率で拡大しました。
マイクロソフトの製品サービス別前年同期比増収率
一方、製造業の決算は軟調なものが目立ち、キャタピラー(CAT)、3M(MMM)は見通しを下方修正しました。しかし現在は米中貿易戦争の解決に向けた楽観的な見方が広がっていることから、今後、むしろ押し目買いの対象になるとみられます。特にキャタピラーは、テレフォンカンファレンスにおいて、来期に不透明な状況が続いたとしても「在庫調整やリードタイムの短縮化を進めることにより、私たちは良いポジションに立っていると考えている」「2020年の状況がポジティブでもネガティブでも、私たちは準備ができている」と述べており、マネジメント体制にも安心感が持てる状況と考えています。
なお、アマゾン・ドット・コム(AMZN)の決算は市場予想を下回るネガティブサプライズとなり株価は下落しましたが、販売実績は堅調に推移しており、利益を圧迫する要因が翌日配達やAWS(アマゾン ウェブ サービス)に対する投資等成長を目指したものであることから、長期目線では引き続き投資妙味があると考えています。
アマゾン・ドット・コムのセグメント別増収率の推移
単位:百万ドル
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