7月13日 
17年4-6月期決算プレビュー:テンセントや宝尊電商を有力視

2017年4-6月期の決算発表シーズンが7月後半に幕を開けるが、BOCIは中国インターネット・セクターの業績の焦点として、◇モバイルゲーム市場の先行き見通しや旗艦ゲームタイトルの持続可能性、◇医療広告の一掃や大型スポーツイベントの剥落(昨夏はリオ五輪開催)による広告市場への影響、◇ライブストリーミング市場のユーザー拡大を支えている製品イノベーションの成果、◇ネット通販市場の競争激化――などを指摘している。また、政策面では過去1カ月間、メディア、ライブストリーミング、ゲーム関連の新たな規制強化が相次いだことに言及した。個別銘柄に関しては、長期成長期待が続くテンセント(00700)と、国内の消費アップグレードを追い風とする米ナスダック上場の宝尊電商(Baozun:米証券コードBZUN US)の目標株価を引き上げ、いずれも株価の先行きに対して強気見通しを付与した。香港上場銘柄ではテンセントのほか、キングソフト(03888)、ネットドラゴン(00777)、IGG(00799)の株価の先行きに対して強気の見方を明らかにしている。

 

オンラインゲーム部門では、テンセントと畅游(CYOU US)は「天龍八部」、「Contra:Return」などの老舗タイトルの寄与で、4-6月期の売上高が前期を上回る見通し。一方、「陰陽師」が減速傾向にあるナスダック上場の網易(Netease:NTES US)と「JXオンライン」が1-3月期に予想外の好調を示していたキングソフトが、前期比で減収する見込みという。うちテンセントの4-6月のスマホゲーム売り上げについて、BOCIは前期比13%増、前年同期比53%増を見込み、その理由として新規タイトルの寄与や旗艦タイトル「王者栄耀」(Honor of Kings)の堅調を挙げた。「王者栄耀」を対象とした規制強化の影響について、BOCIは現時点では限定的との見方。ただ、この先、オンラインゲームを標的とした新規制が導入されるか見極める必要があるとしている。

 

一方、オンライン広告部門においては、一回性要因や偶発要因が影響する可能性が高い。BOCIは昨夏のリオ五輪による反動減を予想し、百度(Baidu:BIDU US)や新浪微博(Weibo:WB US)への影響を見込む。また、百度に関しては医療関連事故とそれに絡む政策調整が響くとみている。

 

ライブストリーミング部門の業績は製品イノベーション効果によるサプライズの可能性がある。BOCIは3月にアプリのアップグレードを終えた陌陌科技(MOMO US)が「年末までに月間アクティブユーザー1億人」を達成する可能性が高いとした。

 

ネット通販部門では引き続き市場競争が激しく、BOCIはVishop(唯品会:VIPS US)などの小規模事業者の苦戦を予想している。この分野では国内外の有力ブランドと連携している宝尊電商が、消費アップグレードによる恩恵を受けやすいとの見方。また、最大手アリババグループ(BABA US)に関しては売上高の力強い伸びが続くとみている。