今週の予想

日米の金融政策をにらむ展開を想定

 今週は、日米の金融政策をにらむ展開が想定されます。

 FRB(米連邦準備制度理事会)が30日からのFOMC(米連邦公開市場委員会)で、日銀が31日に金融政策決定会合で追加の金融緩和を具体的に打ち出すのかどうかが焦点となります。

 FRBはFOMCで今年3回目の追加利下げを打ち出す可能性は高いとされています。それは米国の主要経済指標の一部(9月小売売上高の5カ月ぶりのマイナス、9月鉱工業生産、9月耐久財受注など)が悪化してきているため、景気減速の見方が出ているからです。

 日銀は今のところ、一時2万3,000円と株価が堅調なため、ここで金融緩和となるか分かりませんが、今週は3連休を控え、週後半には一服感が生まれやすいでしょう。日経平均の指数は直近の3週間で約1,389円上昇しており、スピード調整があってもおかしくないものの、決算が米中貿易戦争の影響をそれほど受けていなければ、下値は限定的と言えます。

 今の上昇要因は、外国人の先物への買い戻し、企業の自社株買い、裁定取引の解消先物売りと現物買いという裁定解消売り、さらに日銀のETF(上場投資信託)買いによるもので、いずれ役割が終われば消える上昇要因と言えます。これは、個人投資家が将来の株価の成長を見越して投資するという環境ではないということです。ほとんどの個人投資家は、なぜ自分の株だけが上がらないのかと思っているのはそのためです。

(今週の指標)日経平均株価

 今週は、FRBによる30日の追加の金利引下げや31日の日銀の金融政策決定会合での追加の金融緩和が打ち出されるかが注目です。

 米国の企業決算は好調で株価の堅調さを支えていますが、本格化する日本企業の決算が米中貿易摩擦にどれくらい影響を受けたかに注目です。基本的にチャートの動きは上向きですが、直近の3週間で約1,389円上昇しており、一服感が生まれやすい状況にあります。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 先週に引き続き、今週も高値圏のもみ合いが基本ですが、背後には米中通商協議の部分的合意への期待感、好調な企業業績、FRBによるFOMCでの30日の追加利下げ観測があります。これらの実現が高まれば、NYダウは7月16日の史上最高値2万7,398ドルが視野に入ってきます。その場合、チャートからは上向きの三尊天井の形を抜けることになりますが、一気に抜けなければ、当面の目先の天井となる可能性もあります。

(今週の指標)ドル/円

 今週は、月末にFOMCで今年3回目の追加利下げの可能性があるため、これを意識したドル売り、円買いがやや強まる可能性があります。利下げの確率は、米国の主要経済指標の一部(9月小売売上高、9月鉱工業生産、9月耐久財受注)の悪化から景気減速の見方が出ており、追加の金利引き下げの可能性は高いと見られています。

 一方で、英国が10月31日にEU(欧州連合)からの合意なき離脱を強行する可能性がなくなり、リスク回避の円高が抑制されることになります。

先週の結果

先週は、米株式堅調もあり、日経平均は5日続伸で年初来高値更新続く

 堅調な米株式の上昇と108円台後半の円安を好感し、日経平均は上を目指す動きとなり、5日続伸で年初来高値更新が続きました。戻り売りが強いゾーンを根強い買いと買い戻しの圧力により、累積出来高の少ない「真空地帯」に入ってきたことも上昇の要因と言えます。

10月21日(月):前週末の米株下落が2銘柄(ボーイング社とJ&J)の悪材料によるものだったことで、NYダウは▲255ドル(このうち2銘柄で▲227ドル)でしたが、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)は+30円の2万2,490円となっていたことで、+48円の2万2,541円で寄り付き、後場には一時+88円の2万2,581円まで上昇。+56円の2万2,548円で引けました。翌22日は即位礼正殿の儀を控え、手掛かり材料に乏しく、売買代金、出来高とも低水準でした。200日移動平均線が上向いてきたので下値は堅くなってきています。

22日(火):日本市場は休場。 

23日(水):22日の米国市場は英国のEU離脱への不透明性を嫌気して下落していたものの、日経先物は上昇していたことで、+70円の2万2,629円で寄り付き、一時▲91円の2万2,457円まで下落するも米中通商協議の進展期待が支えとなって持ち直し、終値は+76円の2万2,625円と3日連続の年初来高値更新となりました。 

24日(木):23日の米株高を受けて買い先行となり、+100円の2万2,725円で寄り付くと高値圏でのもみ合いとなり、後場に+155円の2万2,780円まで上昇して、終値は+125円の2万2,750円と4日続伸で年初来高値でした。 

25日(金):前日の米株式がまちまちの動きだったことで+2円の2万2,753円で寄り付き、一時+69円の2万2,849円まで上昇するも利益確定売りが出て、前場は▲3円の2万2,747円と5日ぶりの反落となりました。しかし、後場になると強含みの動きとなり、前日終値近辺でもみ合った後、+49円の2万2,799円と5日続伸となり、年初来高値の更新が続きました。

 引け後の米国市場は、好決算が続き米中通商協議でライトハイザーUSTR(米国通商代表部)代表とムニューシン米財務長官が、中国の劉鶴副首相と電話会談を行い、一定分野で最終合意が近づいたと伝わったことで、主要3指標そろって上昇。特にS&P500種指数は過去最高値に迫りました。シカゴの日経先物は+55円の2万2,825円でした。