日経平均は連日で年初来高値更新
祝日を挟んで4営業日だった先週の国内株市場ですが、週末10月25日(金)の日経平均株価終値は2万2,799円でした。週足ベースでは3週連続の上昇、前週末終値(2万2,492円)からは307円高です。しかも、週を通じて4営業日連続で年初来高値を更新しています。
株価水準の変化だけをたどってみれば強気になっている印象ですし、以前より注目していた2018年12月3日の高値(2万2,698円)をも上抜けてきました。このまま年末株高に向けて、2万3,000円台乗せや2018年10月の高値(2万4,448円)まで上昇するとの声も聞こえてくるようになっていますが、まずは下の図1で足元の状況から探っていきます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年10月25日取引終了時点)
先週の日経平均の値動きをローソク足で振り返ってみると、週初は先週の株価水準辺りからヒゲの長い線が続いていましたが、週末にかけての「窓」空けによって一段高となっています。懸念していた前週までの「三空」による下方向への意識も跳ね返した格好です。
この値動きについて、25日移動平均線を基準としたエンベロープに重ね合わせてみると、前回のレポートで指摘した+3%のラインにほぼ沿っていることが分かります(下の図2)。
■(図2)日経平均のエンベロープ(25日MA基準)(2019年10月18日取引終了時点)
図1と図2からは、短期的には上方向への意識が継続していると見て良さそうです。問題なのは株価が上昇した際の勢いと余地についてです。
2万3,000円まで上昇余地あり。決算とイベントでどうなる?
そこで、週足チャートで中長期的なトレンドの状況も確認してみます。
■(図3)日経平均(週足)の線形回帰トレンド(2019年10月25日取引終了時点)
上の図3は2016年6月を起点とした線形回帰トレンドです。5本の線全体は右肩上がりになっていて上昇トレンドが継続していますが、足元の株価は8月の弱気ゾーンから反発し、中心線に回復しつつあるところに位置しています。
最近まで年初来高値をつけていた4月下旬の時は、この中心線辺りまで株価が上昇した後に株価の調整局面を迎えていますし、足元の中心線の株価水準はちょうど2万3,000円辺りになりますので達成感が出やすく、このまま上抜けしていくのか、それともひとまず売りが出るのかが注目されます。
そのため、今週も上昇が続いた場合には2万3,000円までの余地がありそうですが、そこが「到達点」なのか「通過点」なのかが試されることになりそうです。
また、冒頭でも触れた通り、日経平均は連日で年初来高値を更新してきましたが、東証1部の売買代金自体は2兆円に届かなかった日もあり、薄商いによる「閑散に売りなし」と言える状況でした。引き続き今週も日米の企業決算が相次ぐ他、FOMC(米連邦公開市場委員会)や日銀会合なども控えていますので、イベントをきっかけに売買が盛り上がれるかも注目されます。
とりわけFOMCについては利下げが行われるとの見通しが大勢を占めていますが、米国株市場を見てみると、S&P500などの株価指数が再び最高値圏にあるため、予想通り利下げが行われても次回以降のFOMCで打ち止めになるのではという受け止め方をされれば、下落に転じる可能性もサブシナリオとして用意しておく必要があります。
警戒しておくべき国内の動き
さらに、国内でも気になる動きがあります。下の図4は、週足の日経平均と、日経平均ダブルインバース型ETF(1357)の信用残の推移です。
■(図4)日経平均(週足)と日経平均ダブルインバース型ETF(1357)の信用残の推移(2019年10月25日取引終了時点)
日経平均ダブルインバース型ETF(1357)は、日経平均に連動して価格が変動するETFで、「日経平均が下落すると価格が上昇する」、「日経平均の値動きに対する連動性の比率が2倍になっている」という特徴があります。
つまり、「日経平均が今後下落する」と見込んだ時に買って、その見込み通りとなれば利益が出るタイプのETFになります。
図4を見ても分かるように、日経平均ダブルインバース型ETFの信用買い残がある程度積み上った後に日経平均が下落に転じることが多い傾向があるのですが、10月18日時点での買い残高が6,500万口まで積み上っていて、過去最大規模になっています。
ここ最近の日経平均の値動きの大きさに比べると、信用買い残の増え方が異常とも言えるペースになっているだけに、一応警戒しておく必要がありそうです。
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