19年1-9月期に11%増益、手数料収入が予想以上の伸び

現地コード 銘柄名
00998

中信銀行

(チャイナ・シティック・バンク)

株価 情報種類

 4.37HKD
(10/18現在)

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 中信銀行の19年1-9月期の純利益は前年同期比10.74%増の407億5,000万元と、BOCIの予想を小幅に上回った。手数料収入の伸びとスケールメリットの拡大で、引当前業務純益は同19.8%増。ROAE(平均株主資本利益率)が12.55%と、前年同期を0.11ポイント下回る一方、ROAA(平均資産利益率)は0.89%と、0.02ポイント上向いた。BOCIは安定的な資産の質や、前期比での純利益マージン(NIM)の小幅な上昇、手数料収入の着実な伸びなどを前向きに評価。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 19年7-9月時点で、資産、負債、貸出、預金の増加率はそれぞれ前期比1.0%、0.8%、3.1%、0.4%。4-6月との比較では、資産、負債、預金の伸びが1.5ポイント、1.9ポイント、0.2ポイント、1.2ポイント低下する半面、貸出は0.2ポイント加速した。BOCIは事業規模の拡大ペースが減速した要因として、資産面では融資状況、負債面では銀行間の借入れ動向が影響したとの見方。資産・負債構造の調整を進めるという同行の方針が反映されたとみている。7-9月の純金利マージンは期初と期末の平均で約1.90%。預貸率の上昇や銀行間借入れの増加により、前期比で0.03ポイント改善した。

 資産の質に関する指標は安定的で、6月末の不良債権残高は前期比3.1%増、不良債権比率は前期並みの1.72%。不良債権引当カバー率(不良債権に対する貸倒引当準備金の比率)は174.82%と、前期比で9.65ポイント上昇した。また、同行の慎重な引当スタンスを反映し、減損損失は前年同期比33.7%増の553億元に上った。

 役務取引等利益(正味手数料収入)は1-9月に前年同期比32.08%増と、1-6月比で2.66ポイント加速した。主に銀行カード手数料および代理手数料の伸びが背景。役務取引等利益の伸びは1-3月期に記録的高水準に達した後、4-6月に減速したが、7-9月には安定増を取り戻す形となった。

 一方、9月末時点で、コアTier1(狭義の中核的自己資本)比率、Tier1(中核的自己資本)比率、自己資本比率はそれぞれ8.76%、9.51%、11.82%。前期比では0.18ポイント上昇、0.16ポイント上昇、0.45ポイント低下となった。8月26日にTier 2資本証券の償還を行ったことが、自己資本比率の低下の要因となった。

 BOCIは手数料収入の予想以上の伸びやコスト管理状況の改善を理由に、19年、20年の予想EPSを2.4%、2.3%上方修正した。現在株価の19年予想PBRは0.44倍と、ヒストリカルでも低水準。目標株価を19年予想PBR(株価純資産倍率)0.5倍の水準に据え置き、同行の株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、中国経済の急減速の可能性を挙げている。