7-9月期の決算発表は、市場予想に対して堅調なスタートを切りました。金融・経済情報を提供するファクトセットによると、2019年10月18日(金)までにS&P500構成銘柄のうち約15%が7-9月期決算を公表しました。そのうち、市場予想に対して売上高が上回った企業は64%、EPS(1株当たり利益)が上回った企業は84%で、いずれも過去5年平均の割合を上回りました。

利益が市場予想を上回り、かつ業績見通しを引き上げた企業

 特に決算が好調だった企業としては、上記2銘柄が挙げられます。ユナイテッド・エアラインズHDに関しては、米国内や南米の航空需要が堅調で、PRASM(有効座席マイル当たりの旅客収入)が前年同期比1.7%増となりました。内訳は、国内便が2.1%増、大西洋方面が0.8%増、南米方面が7.2%増、太平洋方面が3.4%減。

 競合のデルタ航空(DAL)も太平洋方面が苦戦、国内線、南米方面については堅調な決算を公表しています。太平洋方面の落ち込みについては、香港のデモや、米中貿易戦争の影響によるものと考えられます。

好調決算となった銀行業

 銀行業界の決算もポジティブサプライズになりました。消費者向けのサービスが堅調で、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーを例にとると、消費者及び地域向け銀行サービス事業の純収益が前年同期比7.3%増となりました。その内訳では、住宅ローンやクレジットカード関連が伸びました。

玉虫色決算

 注目されていたネットフリックスの決算は玉虫色でした。米国内の視聴契約の純増数が市場予想を下回った一方、海外の純増数と利益は市場予想を上回りました。今後競合が増えるなか(Disney+, Apple TV+, HBO Max等)、同社がどう立ち回るのか見極める必要がありそうです。

注目決算

 好決算企業の中で特に筆者が注目したのは、インテュイティブサージカルです。7-9月期決算では、売上高、利益共に市場予想を上回りました。腹腔手術等を支援する「ダ・ヴィンチ」というロボットを展開しており、3次元立体画像を見ながら正確に手術することができるため、需要が堅調に増加しています。高齢化が進む日本など世界でも展開しており、長期的に事業を拡大できる企業と考えられます。

ダ・ヴィンチシステム設置台数の推移

単位:台
出所:会社資料より楽天証券作成