今週の予想

 週半ば米国株式の大幅下落と円高を受け2万1,500円を下回って引ける

 先週は、米国の主要経済指標が相次いで悪化。株価が大幅下落となったことで、米国経済の景気減速懸念が高まり、FOMC(米連邦公開市場委員会)による10月の追加利下げ観測が浮上しました。

 そんな状況の中で、今週10日から米中閣僚級協議が開催されます。

 ここでは、10月15日実施予定で中国に対する2,500億ドル(約27兆円)分の制裁関税を25%→30%に引き上げる構想がある他、12月15日には制裁関税「第4弾」の残りを発動することになっています。そのため15日までに何らかの合意がなければ、貿易戦争が再燃する可能性もあります。

 また、この閣僚級協議では知的財産保護などが改めて論じられる予定であり、対中制裁関税の拡大を回避する歩み寄りができるかどうかにかかっています。もし、何らかの前向きな合意ができれば、米国株式は素直に上昇する可能性は高いと思われます。そうなると、日経平均株価も底堅い動きが想定されることになります。

 また、今週の日経平均は、連日ノーベル賞の発表が予定されているため、個別株の物色に向かいそうです。

(今週の指標)日経平均株価

 今週の予測は、日経平均は10日から開催予定の米中閣僚級協議の合意内容の程度次第で、上下動が大きくなる可能性があります。

 米国市場は10月のFOMCの追加利下げ観測が下値サポート要因になりそうですが、日本株にとって、日米金利差縮小は円高要因となるため、期待はできないところです。

 今週は2万1,000円台を下値にもみ合う展開となりそうです。

チャート上の引線(B)の追加説明

 これまで2016年2月12日の1万4,865円、6月24日の1万4,864円とダブル底をつけて反発に転じ、11月9日の1万6,111円を安値にトランプ相場がスタートしました。これは上昇トレンド(A)となります。この中で2018年1月23日の2万4,129円、10月2日の2万4,448円と二山形成し、ここをピークに反落となり、上昇トレンド(A)を切って12月25日の1万9,117円で当面の底打ちとなりました。これでトランプ米大統領の当選後の日本株への影響はいったん終わることになります。

 その後、1万9,117円を底値に戻りに転じ、2019年3月4日の2万1,860円、4月24日の2万2,362円、7月25日の2万1,823円と三尊天井を形成し、下落。ここでは8月6日の2万110円で踏みとどまって、三尊天井の3月4日の2万1,860円と7月25日の2万1,823円を突破しましたが、4月24日の2万2,362円には届かず、9月19日の2万2,255円まで上昇して反落となっているところです。

 今、短期的なチャートの形は、12月3日の2万2,698円を上値の基点とし、12月25日の1万9,117円を下値の基点とする三角もち合いになっています。この中でもみ合いが続くのか、それとも9月19日の2万2,255円を突破し、さらに4月24日の2019年の高値、2万2,362円を超えるのか、注目点です。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週は、先週の経済指標の悪化を受けて、FOMCでの10月利下げ実施が有力との見方が多いようです。これは株価のサポート要因になります。当面のポイントは今週開かれる米中閣僚級協議の内容にかかっており、何らかの合意がなされれば、株価の上昇要因となります。今週は方向性をめぐって高値圏でのもみ合いとなりそうです。

(今週の指標)ドル/円

 今週は、先週の米国市場で、経済指標の悪化から株式が大幅下落したことで追加利下げ観測から、ドル/円は一時106.5円までドルが売られ、円高となりました。

 先週末には、9月米雇用統計は強弱入り交じる結果となって、ややドルが買い戻されました。今月、FOMCの追加利下げ観測は高まっており、ドルは底堅い動きとなりそうです。しかし、ドル/円については日米金利差が縮小するため、大きな円安とはなりにくいでしょう。1ドル=106~108円のレンジを想定しています。

先週の結果

 今週は、週半ば米株式の大幅下落と円高を受け2万1,500円を下回って引ける

 FRB(米連邦準備制度理事会)が米国経済は良好との見方を維持していたところ、経済指標の悪化が次々と発表され、NYダウ平均株価は一時3日間で1,000ドル以上も下げる場面がありました。これを受けて日経平均は、10月2日(水)は▲106円の2万1,778円、3日(木)は一時▲501円の2万1,277円まで下げて、▲436円の2万1,341円で引けました。週末は2万1,276円まで下げて反発し、+68円の2万1,410円で引け、2万1,500円を回復できませんでした。ただし、日本市場の引け後の米国市場では利下げ期待から米株が大幅上昇し、シカゴの日経先物は+215円の2万1,535円と2万1,500円台を回復しています。

9月30日(月):前週末の対中投資制限の報道を受けて、米株安となっていたことで▲85円の2万1,793円で寄り付き、後場になると銘柄入替えに絡む売りが重しとなって、一時▲212円の2万1,666円まで下げ幅を拡大。しかし、終値は▲123円の2万1,755円と続落しました。

10月1日(火):前日の米国市場で前週末、検討と報道された対中投資制限報道をトランプ大統領が否定したことで、米国株式は反発。これを受けて日経平均は、1ドル=108円台への円安進行もあり、一時+182円の2万1,938円まで上昇。引けにかけては上値が重くなり、+129円の2万1,885円と3日ぶりの反発となりました。 しかし、この日の引け後の米国市場では、注目の9月ISM製造業指数が47.8と10年ぶりの低水準となり、2カ月連続で好不況の分かれ目である50を下回ったことで、米国の景気減速懸念が高まり、NYダウは▲343ドルの2万6,573ドルと急反落となりました。

2日(水):1日のNYダウの動きを受けて日経平均は▲140円で寄り付き、一時▲160円の2万1,725円まで下げましたが、後場には日銀のETF(上場投資信託)買いが入って下げ渋り、▲106円の2万1,778円と反落しました。 この日の引け後の米国市場では、前日に続いて重要経済指標の1つである9月ADP雇用者数も前月の数値や予想も下回ったことで、米国経済の悪化懸念が続き、▲494ドルの2万6,078ドルと大幅続落となり、2日間で▲838ドルの下げでした。

3日(木):日経平均は、米国株安と107円台への円高進行を受けて▲356円の2万1,422円で寄り付き、一時▲501円の2万1,277円まで下落。売り一巡後は安値圏での横ばい状態が続き、終値は▲436円の2万1,341円と大幅続落しました。この日の引け後の米国市場は、朝方は9月ISM非製造業指数が3年ぶりの低水準となって、NYダウは一時▲335ドルまで下げましたが(3日間で1,000ドル以上を上回る下げ)、ここで追加利下げの期待が大きく高まり、一気に反転して+122ドルの2万6,201ドルと3日ぶりの反発となりました。

4日(金):日本市場は、NYダウは反発したものの、利下げ期待は円高要因のため106円台後半の円高を嫌気して一時▲65円の2万1,276円まで下げていましたが、目先の円高を織り込むとプラスに転じて+68円の2万1,410円で引けました。

 引け後の米国市場では、9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数は+13.6万人と市場予想の+14.5万人を下回ったものの、8月分が上方修正され失業率は3.5%と1969年5月の3.4%以来の50年4カ月ぶりの低水準になったことで、米国経済の景気悪化懸念が後退。これに利下げ期待が加わったことで、株式は主要3指標そろって大幅上昇となり、NYダウは+372ドルの2万6,573ドルと続伸しました。シカゴの日経先物は+215円の2万1,535円と2万1,500円台を回復しています。