事業継承問題に絡む「自社株」は生前に対策しておく

 親の財産を把握するために、相続財産のリストアップであげる内容について見ていきます。

【有価証券や金融資産】

 上場会社の株式、自営会社の株式、投資信託、小切手、手形、国債、社債、外債など。上場株式は、銘柄/株数/名義人/証券会社/現時点での株価/株券の保管場所などが知りたい情報です。

 国債や社債などは、種類・名称/証券番号/購入先窓口・担当者/連絡先/おおよその評価額/証券の保管場所など。親が経営する自社の株式については、会社名/発行株数/株主名と持ち株数/現時点での株価など。自社株は事業継承の問題とも絡んできます。親が誰を後継者に考えているかなど、生前に必ず話し合っておきましょう。

【一般動産】

 一般動産とは、「暖房装置、冷房装置、昇降装置、昇降設備、電気設備、給排水設備、消火設備、浴そう設備等(一定のものを除く)」と規定されていますが、分かりやすく言うと、自家用車や事業用重機、家財など、生活や事業で用いる道具や設備のことです。ただし、一般的な車や家具、衣類などを細々と挙げてもキリがないので、相続の際に問題になりそうな資産価値のあるものだけをピックアップします。

 たとえば、1台何百万円もする高級外車や農業用トラクター、事業用の特殊車両、畜産動物などです。相場が分かるものは、それを参考にすれば大体の評価が分かります。相場が分からないものについては、税理士や買取業者など専門家の意見が参考になります。

資産価値が高くなりがちな「権利に要注意

【カードポイントやマイレージなど】

 クレジットカードのポイントやマイレージなども財産の一つです。利用額や利用頻度が多いと意外に高額に貯まっている場合もあります。カード会社名/カード番号/連絡先などが控えてあると、親が万一、紛失や盗難にあった際にも安心です。

 ちなみに、クレジットカードのポイントは、名義人本人しか使えないとするカード会社が多いようです。マイレージは名義人の死後6カ月以内に手続きをしないと失効してしまうことが多いようです。

【権利】

 ゴルフ会員権、スポーツクラブ会員権、リゾート会員権、電話加入権、特許権、著作権など。特にゴルフ会員権、スポーツクラブ、リゾート会員権などは、資産価値が高くなりがちです。普段ゴルフなどしない親でも、節税対策の一環として購入している場合もあります。

 次回も、相続財産のリストアップであげる内容について見ていきます。

(大久保 栄吾/税理士法人大久保会計 税理士)

※この記事は2016年1月29日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。

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