<今日のキーワード>
日経平均株価は、米中対立激化など懸念材料が多いなか、9月3日から10営業日連続で上昇しました。この背景には9月13日の「SQ」(*)に向けて市場で積み上がった『ショートポジション』の買い戻しがあったとみられています。ここではネット裁定残高や空売り比率等の「需給関連指標」に注目して、日本の株式市場の『ショートポジション』の状況と今後の市場への影響について考えてみたいと思います。
【ポイント1】「SQ」を挟んだ上昇は『ショートポジション』の買い戻しが影響
日経平均株価は、9月3日から10営業日連続で計1,381.13円上昇しました。9月13日の「SQ」に向けて市場で積み上がった『ショートポジション』の買い戻しが影響したとみられています。投資家心理が過度に弱気となり、先物売りや空売りなどで『ショートポジション』が積み上がると、その影響でネット裁定残高は減少、空売り比率は上昇、信用売り残高は増加する傾向がありますが、依然としてそうした状況にあります。
【ポイント2】積み上がる『ショートポジション』
ネット裁定残高はマイナス、空売り比率は高水準
「SQ」は通過しましたが、『ショートポジション』は積みあがったままです。ネット裁定残高は9月27日時点で▲4.52億株と極めて低水準にあります。マイナスは、国内大手銀行が破綻・一時国有化された1998年と、英国が欧州連合(EU)離脱を決めた2016年、及び2018年に示現しましたが、6営業日以内に収束しました。今回は74営業日連続で売り超となっており異例な状況となっています。
空売り比率は一般に40%を超えると高水準とされますが、3月5日~10月1日まで140営業日連続で40%超が続いています。また信用売り残高も9月27日現在、昨年末比約+0.34兆円の1.0兆円まで増加しており、現物株の『ショートポジション』も高水準です。
【今後の展開】『ショートポジション』の解消は相場上昇加速要因
『ショートポジション』が積み上がった背景には、米中貿易摩擦など懸念材料が相次ぎ、市場心理が弱気に偏り、先物、現物株にショートが入る一方、日本銀行のETF買いや自社株買いが継続的に入り、想定ほど株価が下落せず、買い戻す機会が少なかったことなどによるとみられます。相場の上昇には外部環境の改善などなんらかの条件が必要ですが、積み上がった『ショートポジション』の買い戻しが上昇を加速させる要因になると考えられます。
*株価指数の先物取引やオプション取引などを、決済期日で決裁するための「特別清算指数」
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。