ジャンル横断で騰落率を見ることで、例えば、株式の上昇と、原油や銅の上昇が同時に起きていれば、先週はリスクをとって運用を活性化させる“リスクオン”のムードがマーケットに漂っていたと考えることができます。この場合、今週も先週同様、リスクオンのムードが続くと考えれば、景気の動向に敏感な銘柄を買ってみてはどうか? などのアイディアが浮かびます。

 また、金の上昇と、株式の下落が同時に起きていれば、リスクオンとは逆の“リスクオフ”のムードが強いため、今週はいったん様子を見ようか? などのアイディアが浮かびます。

 部分的に見ているだけでは浮かびにくい売買のアイディアが、幅広いジャンルの銘柄の騰落を横断的に見渡すことによって浮かんでくるかもしれません。「ジャンル横断・騰落率チェック」を今週の売買のヒントにしてください。

先週のジャンル別騰落率ランキング

 9月末に公表された米国の四半期在庫が予想を下回った大豆(商品)トウモロコシ(商品)、先々週に急落して節目10,000ドルを割った後、8,000ドル近辺で底堅く推移したビットコイン(暗号)が比較的高い上昇率となりました。また、北朝鮮と米国の協議が進展しなかったこと、米中貿易戦争に加えて米欧の貿易問題が噴出したことなどで、リスクを意識するムードが強まり金(商品)も上昇しました。

 一方、米国と中国における景況感を示す複数の経済指標が悪化したことなどを受け、主要な株価指数においては、ハイテク銘柄が中心のナスダック(株式)を除いて下落が目立ちました。また、景況感の悪化による消費減少懸念が浮上したことに加え、サウジの生産の回復、米国の在庫増加などで原油(商品)の下落率が高くなりました。

 

ジャンル横断・騰落率ランキング 9月30日(月)~10月4日(金)まで

※楽天証券のマーケットスピードより楽天証券作成
※株式と商品は「先物」の「期近」、通貨は「楽天FX」を参照
※ビットコインのみCME(シカゴマーカンタイル取引所)の先物価格(期近)
※日経225と中国A50指数を除く株式銘柄はいずれもCMEのE-mini銘柄
※騰落率は、当該週の週足の始値と終値を参照して算出。(終値-始値)/始値

 

今週の見通し

 先週は、独自材料があった大豆(商品)・トウモロコシ(商品)とビットコイン(暗号)を除けば、全体的にはリスクオフのムードが強かったと言えます。そのリスクオフのきっかけとなったのは、米中の経済指標の弱さ、米欧の貿易問題の噴出などですが、今後、このリスクオフのムードがリスクオンに転じるには、これらの材料が好転すること、あるいはこれらを相殺するだけの好材料が必要だと考えられます。

 悪材料を相殺し得る好材料の一つにトランプ米大統領がFRB(米連邦準備制度理事会)にかけている“利下げ圧力”があげられます。米国の景気回復のためにさらなる利下げが必要とする同大統領の発言をきっかけに、市場に利下げを催促する動きが広がれば、経済指標が悪化しても株価が上昇する場合があります。

 今週も引き続き、トランプ大統領がFRBに “利下げ圧力”を書けるかどうかに注目ですが、FRBの議長であるパウエル氏が10月8日(火)、議会で発言する予定です。まずは圧力をかけられている側の発言に注目です。

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