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政府によれば、2019年10月の『消費増税』の目的は社会保障の充実・安定化と財政の健全化にあります。今回の『消費増税』などを盛り込んだ内閣府の最新の「中長期の経済財政に関する試算」では、基礎的財政収支(PB)が、政府のメインシナリオで2027年度に黒字化するとの試算が示された一方、より実勢に近い経済成長率を前提としたシナリオでは2028年度に至っても黒字化しないとの試算が示されました。
【ポイント1】『消費増税』の目的は社会保障の充実・安定化と財政の健全化
2019年10月の『消費増税』は、政府によれば、「幅広く国民各層に社会保障の安定財源の確保のための負担を求めることにより、社会保障の充実・安定化と財政健全化の同時達成を目指すもの」です。
消費税率の引き上げ分は社会保障のために使われることになっています。少子高齢化が急速に進行し、社会保障費が増え続ける中、消費税という安定的な財源を確保することで、社会保障の拡充を図るとしています。
【ポイント2】政府は2027年度にPBが黒字化と試算するが…
内閣府は7月に最新の「中長期の経済財政に関する試算」を公表しました。その中では、2019年10月の『消費増税』やそれに伴う軽減税率の実施、幼児教育の無償化などを前提としたうえで、政府が財政健全化の指標として重視する国・地方のPBなどの試算が示されました。
政府のメインシナリオである「成長実現ケース(2020年代前半にかけて、実質2%程度、名目3%程度を上回る経済成長率が実現)」では、2027年度にPBがGDP比で+0.2%となり、黒字化するとしています。
一方、「ベースラインケース(経済成長率が中長期的に実質1%程度、名目1%台半ば程度で推移)」では、PBのGDP比が、今回の試算期間の最終年度となる2028年度に至っても▲1.1%と、黒字化しない見通しとなっています。
【今後の展開】着実な財政健全化には歳出の見直しや構造改革なども必要か
「成長実現ケース」の現実化には、国内経済が足元の実勢以上の好況を維持する必要がありますが、そのためには、国内経済に影響を与える海外経済も良好な環境が長期にわたって続くことが条件になると思われます。
国内外の景気の良し悪しにあまり左右されず着実に財政健全化を進めるためには、『消費増税』に加え、歳出の見直しや、潜在成長率を高める構造改革などにも踏み切る必要がありそうです。
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