【ポイント1】『消費増税』後の内閣府試算は2019年度+0.9%
7月に発表された内閣府「2019年度年央試算」では、日本経済は当面弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続く中、各種政策の効果もあって、個人消費や設備投資など内需を中心とした景気回復が期待される、と述べられています。その結果、『消費増税』後の2019年度実質GDP成長率は前年度比+0.9%、2020年度は同+1.2%程度が見込まれています。
各種政策の効果としては、増税による6兆円弱の家計負担増に対し、軽減税率や教育無償化、年金額改定などにより4兆円超、その他ポイント還元や国土強靭化特別枠で1.5兆円の負担減が見込まれ、増税分はほぼオフセットされることになります。
【ポイント2】過去2回の増税では経済成長率はいずれも鈍化
3%から5%の増税(97年4月1日)の際は、97年度実質経済成長率は前年度比0%、98年度は同▲0.9%となりました。増税の影響の他、アジア通貨危機や金融機関の破綻などが影響しました。
5%から8%の増税(14年4月1日)の際は、14年度の実質GDP成長率が同▲0.4%と、リーマンショック直後の09年度以来、5年ぶりのマイナス成長に転じました。
【今後の展開】米中貿易摩擦の影響や各国政治の不確実性の高まりに留意
今回の増税では、内需は政策対応で支えられることが見込まれますが、海外要因には注意が必要です。米中貿易摩擦問題は、両国の歩み寄りが見られ10月に予定される閣僚級通商協議が期待されていますが、予断は許しません。中国経済も更に減速する可能性があります。また、英国の欧州連合(EU)離脱問題やイラン情勢など不確実性の高まりに留意することが必要と考えます。
弊社では、日本経済は米中貿易摩擦など不透明な外部環境と、『消費増税』が重石となり、暫く低迷すると予想しており、2019年度実質GDP成長率を前年度比+0.6%、2020年度は同+0.4%を見込んでいます。追加の経済対策の効果や米中貿易摩擦の事態安定のタイミングなどから、景気低迷を脱するのは2020年4-6月期以降と見ています。
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