今週の予想

 3連休明けの日本市場は、米中通商協議や世界の金融政策を確認するため、もみ合いへ

 9月16日(月)、週末にサウジアラビアの原油関連施設がドローンによって爆撃されたことで、サウジアラビアの原油生産が半減する見通しから、原油が高騰。原油高による景気後退懸念が広がって、NYダウ平均株価は▲142ドルの2万7,076ドルと9日ぶりの反落となりました。

 NYダウが8日続伸後の16日(日本市場は休日)、この動きと為替の動きを受けて、3連休明けの日経平均株価は動くことになりますが、いったん一服してもおかしくないところです。

 チャートを見ると、2018年12月25日の1万9,117円を安値に上昇に転じ、2019年3月4日の2万1,860円、4月24日の2万2,362円、7月25日の2万1,823円と短期の三尊天井を形成。8月6日の2万110円まで下げてからの反発で、9月13日(金)に、3月4日の2万1,860円、7月25日の2万1,823円を突破して2万2,019円まで上昇。終値でも2万1,988円で三尊天井の型を崩しました。残るは4月24日の2万2,362円のみとなっています。

 チャートの型としては、2万2,362円を終値で抜けてくると、普通は三尊天井の崩れ型という一段高の法則があります。ただし、現状では米国株式が最高値に接近しており、日経平均も過熱感が出ているため難しいところです。

 特に、米中通商交渉は話し合いが進むとして期待が高まっていますが、経済的には妥協の余地があっても、根本的には米中の覇権争いですので、トランプ米大統領の言動がどう変化するのか分かりません。

 当初の予想を超えて日経平均が大きく上昇しているのは、米国に続きECB(欧州中央銀行)の金融緩和に示されるように、世界経済の後退リスクの対策として世界的に金融緩和の方向にあり、結果的に金余りで上昇しているのが現状です。米中問題、中国の香港問題、英国のEU(欧州連合)離脱問題など悪材料が現実化すれば、どこかで大きな調整となるのもそう遠いことではないと思われます。すでに買っている人は、利益確定を優先し、目先で買いたい人は、損切りポイントを設定して、短期売買に徹する必要があります。

 17日は、サウジアラビアの原油施設への攻撃による中東情勢の緊迫感や原油高を背景に16日の米国株が下落した流れを受け、前場は早い段階で▲109円の2万1,878円まで下げましたが、その後は、円安、ドル高を支えに上げに転じ、2万2,000円水準でもみ合いました。戻りは限定的ながら、大引けにかけて+13円の2万2,001円と10日続伸となりました。5カ月ぶりの2万2,000円回復でした。

(今週の指標)日経平均株価

 今週は、チャート的には先週末の9月13日に終値2万1,988円となって7月25日の2万1,823円の三尊天井の3番目の山を突破したことで、次の上値は4月24日の2万2,362円となります。しかし、9日続伸となっており、NYダウも最高値に接近して一服がでるところですので、NYダウ、為替の動きを見ながらということになりそうです。また、2万2,200円台からは戻り売りが多く出てくるところですので、2万2,000円を挟んだもみ合いとなる可能性があります。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週のNYダウは、先週まで8日続伸となっていることで、いったん一服してもおかしくないところです。17~18日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、利下げ期待が膨らんでいますが、米中通商協議を巡る不確実性が後退しており、FRB(米連邦準備制度理事会)の高官の多くは、景気減速の兆しが見えない限り、金融政策は現状維持が望ましいとの見解です。これを受けたパウエルFRB議長の今後の金融見通しについての会見が焦点となりそうです。

 (今週の指標)ドル/円

 今週は、米中通商協議での米中対立が後退するとの思惑があり、また、経済指標もこれまでのところ好調な発表が続いているので、ドル/円は底堅い動きが続く可能性があります。

 ただし、17~18日のFOMCで追加利下げが決定されると一時的にドルが売られ円高へ傾くことになります。

 チャートを見ると、目先の上値は109円台。もう少し円売りが続く可能性はありますが、トランプ大統領の発言はコロコロ変わるので、これがリスク要因として要注意です。

先週の結果

 先週は、米中通商協議の期待が続き、世界的金融緩和期待で一時2万2,000円台回復

 先週の予測では、リバウンドは継続するが戻りが終われば、週末に向けて様子見となる可能性が高いとしました。しかし、リバウンドは継続し、週末の13日(金)は一時2万2,000円を回復する動きとなりました。目先は2万1,000~2万1,500円台の上値抵抗ゾーンまでの動きを想定。ただし、この中でトランプ大統領の言動に問題なく米中通商協議への期待が広がり、英国と香港の政情不安が落ち着いてくれば、投資家の買いが膨らんできて上値を目指すことになるとしました。

 結果的に、米中通商協議への期待が1週間を通して継続。ECBの金融緩和が決定し、FOMCでの利下げ期待も膨らみ、メジャーSQ(特別清算指数)に向けて上昇し、13日(金)の大引け間際に2万2,019円をつけました。

9月9日(月):日経平均は、先週末のNYダウの上昇、中国人民銀行の預金準備率の引き下げや欧米の金融緩和期待を背景に+14円の2万1,214円で寄り付き、一時+133円の2万1,333円まで上昇して、終値は+118円の2万1,318円で引け、8月1日以来の200日移動平均線を回復しました。

10日(火):前日の米国株式は主要3指標はまちまちの動きでしたが、NYダウは4日続伸となっており、また、寄り前にトランプ大統領の「中国との協議」実施の発言が伝わると一時+119円の2万1,438円まで上昇。その後上値は重くなるものの、円安が支えとなって+73円の2万1,392円と6日続伸となりました。

11日(水):前日のNYダウは5日続伸で、米欧の金融緩和期待を手掛かりに、+74円の2万1,466円で寄り付き、一時+227円の2万1,619円まで上昇し、大引けにかけてもしっかりした動きで+205円の2万1,597円と9ヶ月ぶりの7連騰となりました。 これは2018年11月22日~12月3日以来となります。 上値抵抗ゾーンとした2万1,000~2万1,500円台を突破する水準まで上昇してきましたが、この背景には裁定売り残が多い、SQ接近で買い戻しが入るのと同時に新規の買いも流入している感じがありました。

12日(木):11日の米国市場では、アップルの新型機種、新サービスの発表で+18%の上昇となり、NYダウが6日続伸で2万7,000ドル台を回復したことを好感。日経平均は1ドル=107円台の円安もあって、+163円の2万1,761円で寄り付き、+228円の2万1,825円まで上昇。終値は+161円の2万1,759円と8日続伸となりました。

 この日の日本市場の引け後の米国市場では、トランプ大統領が2,500億ドルの対中関税の25%→30%の引き上げを10月15日までの2週間先送りする(従来10月1日)と発言し、ECB理事会では中銀の預金金利の引き下げ、量的緩和の再度の決定を行ったことで、3指標そろって上昇。NYダウは7日続伸しました。

13日(金):日経平均は、米中通商協議の進展期待やECBの量的緩和の再開で+148円の2万1,907円と買い先行で始まる中、トランプ大統領の「中間層への減税計画」が報道されたことで、先物買いを支えに上げ幅を拡大し、前場は一時+239円の2万1,999円まで上昇しました。後場には2万2,000円に一時接近したことで、一服となりましたが、大引け間際に+260円の2万2,019円と一時2万2,000円を回復し、終値は+228円の2万1,988円と9日続伸で引けました。

 この日の9月メジャーSQ値は2万1,981円でしたが、終値は2万1,988円とSQ値を上回って引けました。 先週は予想を超える強い動きとなりました。米中通商交渉への期待、米国の中間層への減税計画ニュース、ECBの量的緩和の再開、これに来週のFRBのFOMCでの利下げ期待もあって、米株式が3指標とも最高値に近づけば、日本株も買わざるを得ない状況になったと言えます。ただし短期的過熱感が出ており、注意する局面です。

 13日(金)の米株式は、米中関係の改善期待が続き、NYダウは2018年5月以来の8日続伸となり、2019年7月15日につけた終値(2万7,359ドル)の過去最高値まであと139ドルに迫りました。ナスダックはアップルの下落を受け▲17Pの8,176Pと反落で引けましたが、シカゴの日経先物は+70円の2万1,870円でした。