【今日のまとめ】

  1. 米国で住宅が売れなくなっている
  2. 住宅ローン金利は低いままだ
  3. 住宅価格の上昇で消費者の手に届かなくなりつつある
  4. 一方、住宅の供給は減っていない
  5. その結果、売れ残りの在庫が増えている
  6. ハリケーンは目先の需給改善要因
  7. 中期的には住宅市場の暗転を警戒すること

 

住宅が売れなくなっている

米国で住宅が売れなくなっています。下は中古住宅販売件数です。

※件、季節調整後、年率換算 出所:セントルイスFRB

新築一戸建て住宅にもかげりが見えています。

※千件、季節調整後、年率換算 出所:セントルイスFRB

 

なぜ住宅販売の動きが鈍った?

住宅販売が鈍化した理由ですが、金利上昇ではありません。

※%、30年固定 出所:セントルイスFRB

ここ数年、米国の住宅価格がジワジワと上昇してきたことで、消費者の手に届かなくなってきていることが原因だと思います。

※2000年1月を100として 出所:セントルイスFRB

 

止まらない住宅の建設

その一方で住宅着工件数は、ほぼ横ばいです。

※千件、季節調整後、年率換算 出所:セントルイスFRB

つまり販売は鈍化しているのに建設は止まっていないのです。

その結果、住宅の売れ残りが増えています。

※月次販売数の何か月分に相当するかで表示 出所:セントルイスFRB

 

ハリケーンは住宅関連市場の救世主?

 先頃テキサス州ヒューストンを襲ったハリケーン「ハービー」でたくさんの住宅が浸水しました。またフロリダ州には大型のハリケーン「イルマ」が上陸しています。

これらのハリケーンにより、影響を受けた地域では住宅の修繕や建て替え需要が増えると思われます。

つまり住宅市場が暗転しそうになっていた矢先に、需給関係を改善するイベントが起こったのです。したがって、短期的には住宅が米国経済の足を引っ張る元凶にはならないと思います。しかし中期的にはだぶつき感が出ているので注意が必要です。