はじめに

 私は、民事事件や企業法務(主に会社の顧問弁護士)を扱う弁護士を本業にしながら、個人投資家でもあります。特に、企業から優待品が贈られる「株主優待」が大好きです。

 弁護士は職人的な人が多いので、投資をしている人は少ないと思います。私は、弁護士になりたてのころに、大学院でファイナンスMBAを取得し、その大学院の授業の中で株式投資や行動経済学などを教わったので理論面では抵抗なく投資を始めることができました。

 当初は、投資初心者として利回りが高く「株価の安定しているJ-REIT(ジェイ・リート:国内の上場不動産投資信託)」を専門に投資していたのですが、ここ数年は株主優待にはまり、徐々に株主優待銘柄にシフトしています。J-REITは、利回りは高いのですが、基本的には、株主優待がなく地味なのです…。

 現在は株主優待銘柄を中心にJ-REITや太陽光発電システムのインフラファンドも組み入れて全体のポートフォリオを構成しています。

9月のおすすめ銘柄ベスト10

 9月は、優待銘柄が1年で2番目に多く盛り上がる月です。弁護士として「戦略的価値判断」や「使える優待品」の観点で選んだ「9月優待ベスト10」をお伝えします。すべて実際に購入した銘柄です。

第1位 オリックス(8591)

 株主優待は人気のカタログギフトです。オリックスの魅力は、なんといっても「配当利回りの高さ」。9月9日時点で4.5%以上もあります。優待品のカタログギフトは全国名産ふるさとグルメです(ただし3月)。前回の優待時は仙台伊達の牛タンセットをもらって美味しくいただきました。

 最低投資額は約16万円(100株)で全国ふるさと名産ギフトが3月に選べます。9月優待は株主カードとなりますが、野球観戦や水族館でお得に使えます。オリックスは配当利回りも高く優待も充実しているので長期保有タイプです。

第2位 FPG(7148)

 FPGは航空機リースや富裕層向けの不動産小口化商品を扱っている会社です。株主優待はUCギフトカードが保有株数に応じて1,000~5,000円分もらえます。このFPGも、配当利回りが高いです。9月9日時点で4.8%。最低投資額は約55万円(500株)で年に1回UCギフトカードがもらえます。

第3位 ゼンショーHD(7550)

 ゼンショーホールディングスは「すき家」や「なか卯」を展開している会社で、食事券がもらえます。

 弁護士は週に2~3回裁判所に行きます。私の場合は東京地方裁判所ですが、東京地裁の地下にもなんと「すき家」が入っています。お昼を「すき家」で食べることがあるので、使い勝手が高いです。

 最低投資額は約24万円(100株)で1,000円分の食事券が年2回もらえます。500株だと6,000円分の食事券がもらえますので余裕があれば500株まで買い増しをしたいところです。

第4位 ハム軍団:日本ハム(2282)プリマハム(2281)丸大食品(2288)

 これらの銘柄は年間で3,000円相当のハムがもらえます(日本ハムは1,500円×年2回、プリマハムと丸大食品は3,000円×年1回)。私は勝手にハム軍団銘柄と呼んでいます。

 普段の生活では、スーパーマーケットのスライスしたハムしか食べませんが、たまに豪華なハムも食べたくなります。この3銘柄は最低投資額が約40万円前後(100株)で年間3,000円相当のハムがもらえる点は同じなのでまさに甲乙つけがたい銘柄といえます。

 そのため、私は3銘柄とも保有しています。

第5位 トーメンデバイス(2737)

 トーメンデバイスは豊田通商グループの半導体商社です。この会社も配当利回り3.9%もあります(9月9日時点)。

 株主優待は年1回健康オイル詰め合わせやお米券がもらえます。最低投資額は約23万円(100株)ですが、私は200株保有し、おこめ券5枚(お米5キロ分)を手に入れています。

 お米はどの家庭でも必ず買う必需品なので、多少多めにもらっても困ることはありません。おこめ券をもらえる優待銘柄は魅力的です。

 さらに、トーメンデバイスの株主総会に出席したらお菓子がもらえました(2018年度)。こうした隠れた贈りものもあります。

第6位 JBイレブン(3066) 

 JBイレブンは飲食店コンサルティング等を行っている会社で株主優待はグルメ杵屋、元気寿司などで使える食事券がもらえます。

 私の場合には自宅近所のショッピングセンター内に「杵屋」や「そじ坊」があり、休日などに家族でよく食べに行くのでここの食事券はその必要性が高いのです。

 最低投資額は約9万円(100株)で年に2回食事券1,000円分がもらえます。500株だと5,000円分の食事券がもらえるので余裕があればこの銘柄も500株まで買い増しをしたいところです。

第7位 チムニー(3178)

 チムニーは「はなの舞」、「さかなや道場」を展開している会社で優待券は食事券。

 私が担当する顧問先の近くに、「はなの舞」があり、ランチを利用することがあります。500円割引の食事券を使って、おトクに食べられて美味しさも倍増です笑。

 最低投資額は約24万円(100株)で5,000円分の食事券が年2回もらえます。余裕があれば500株まで買い増しすれば1万5,000円の食事券がもらえます。

第8位 本多通信工業(6826)

 本多通信工業は電子部品コネクタの製造販売の会社です。優待品は安曇野産りんごジュースセットが年1回もらえます。

 この会社は、本社は東京ですが安曇野工場があるので地元の名産ということで安曇野産りんごジュースなのだと思います。

 この会社も配当利回り4.4%もあります(9月9日時点)。りんごジュースをもらうための最低投資額は約24万円(500株)です。ちなみに100株でも3年以上保有すればクオカードがもらえます。

 私はお酒を飲まない代わりにスイーツなどの甘いもの好きなので裁判で証人尋問などをやって疲れた後に糖分補給のためにジュースなどを飲んでいます。

第9位 ステップ(9795)

 ステップは神奈川県内で学習塾を展開している会社です。株主優待はこの会社のオリジナルのクオカードがもらえます。

クオカードコレクションの一部

株主優待品の中で、クオカードは定番ですが、デザインを工夫している会社が結構あります。
 クオカードはコンビニや本屋で使えるので、使い勝手もよいのですが、いつの間にか、いろいろな会社のオリジナルクオカードをコレクションで集めるようになっていました。

 実は私が大学生のときにこのステップの塾で講師補助のアルバイトをしていたことがあり、懐かしくてこの会社の株を買いました。

 最低投資額は約14万円(100株)で年1回クオカードがもらえます。配当利回りも2.7%(9月9日時点)とまあまあ優秀です。

 このステップのクオカードも私のクオカードコレクションに追加する予定です。

第10位 日信工業(7230)

 この会社はブレーキシステムとアルミ製品を扱っている会社です。株主優待は軽井沢ロースハムと苺ジャムが年2回もらえます。

 この会社は本社が長野県なので地元名産ということで軽井沢のハムとジャムになっているのだと思います。

 最低投資額は約42万円(300株)で、3,000円相当のハムとジャムがもらえます。配当利回りも3.2%(9月9日時点)と優秀です。

 私は朝食でパンを食べることが多く、ジャムが必需品です。いいジャムは、なかなかの値段がするので、ありがたく食べています。

優待弁護士の銘柄選び

 弁護士としての戦略的判断は、まずは「配当利回りの高さ」。なぜなら利回りが高いということは配当で現金がたくさんもらえます。私は優待品も好きですが、現金も大好きだからです。

 次に「優待品」を見ています。日常的な行動スタイルの中で自然に使える「食事券」が好きです。「カタログギフト」や「名産品」は単純に直感的に欲しいと思ったら選びます。「クオカード」はオリジナルデザインであれば、コレクションにする、という選び方をしています。もちろん優待利回りや配当利回りも確認をしています。

優待弁護士の失敗談

 以前、証券会社のサイトの「優待基準」を確認して株を購入しました。ただ、その後、なかなか優待が届かない。おかしいと思って、会社のウェブサイトの優待情報を調べたところ、直前に半年以上前から株を保有していることという条件が追加されていました。私は権利確定日1カ月前に買っていたので、この条件を満たしていなかったのです。

 この事件が起きてから優待基準を確認するときは証券会社のサイトだけではなく、会社のウェブサイトも調べるようにしています。株主優待は、頻繁に変更が行われます。権利確定日1カ月前になっていきなり廃止されたり、基準が変更されたりすることもあります。皆さんも優待基準はこまめに確認するようにしましょう。