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これまで日本では、89年に3%の消費税が導入されて以来、その後の税率引き上げの都度、市場に大きな影響が見られました。そこで『消費増税』シリーズとして複数の観点からその影響を取りあげていきたいと思います。今回は、この10月からの『消費増税』について、個人消費が緩やかな増加基調を維持できるかについてレポートします。
【ポイント1】前回『消費増税』では大幅な駆け込みと反動減
増税後は消費低迷が続いた
10月からの『消費増税』(8%→10%)の影響が懸念されています。前回2014年4月の増税(5%→8%)の際は、大幅な駆け込み消費と、その反動で大幅な落ち込みが見られ、その後2016年まで消費の低迷が続きました。
2014年は前年に2020年の東京オリンピック開催が決定し、日銀の追加金融緩和で日経平均株価が7年ぶりに17,000円台を回復した年でしたが、経済は速報値では2四半期連続のマイナス成長となり、2015年に予定されていた『消費増税』は延期されました。その後も消費低迷は続き、増税は再度延期されました。
【ポイント2】軽減税率や経済対策で『消費増税』の影響は一部緩和
足元では大幅な駆け込み消費の動きは見られていません。そのため反動減も小さいと見込まれます。前回増税時に比べ、税率が小幅(3%と2%)であることに加え、初めて飲食料品などを対象とした軽減税率が適用されることなどが背景と見られます。
政府は他にも幼児教育の無償化や年金生活者支援給付金の支給など大規模な経済対策を打ち出しています。増税による約6兆円の負担と同等かそれ以上の負担軽減・受益増になるとの見方もあり、『消費増税』の影響は短期的には予想されるより小さい可能性があります。
【今後の展開】消費は一旦低迷も比較的早い回復を見込む
節約志向や消費者心理の冷え込みには注意が必要
7月の景気ウォッチャー調査では現状判断DI(季節調整値)が大幅に悪化し、節約志向の強まりや米中貿易摩擦による輸出減などの影響が指摘されました。個人消費は緩やかな増加基調を維持してきましたが、増税や景気減速懸念が下押し圧力となり、『消費増税』後の消費は一旦低迷すると見られます。
その後は政府の経済対策効果などにより、消費は比較的早く、2020年年初から回復に向かうと見込んでいます。東京オリンピック開催によって消費者心理が上向くことが期待されることも支援材料です。
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