優待投資家・桐谷広人さんと株タレントとしても活動している杉原杏璃さんの対談の後半。今回はそれぞれの投資スタイルや注目している銘柄を教えていただきました。

株価が下がっても我慢をして損切りをしないこと――桐谷

――利益を出すために行っているルールはありますか? 桐谷さんのルールを教えてください。

優待術を話す桐谷さんと杉原さん

桐谷 株価が下がったときは我慢をして損切りをしないというのが私のルール。銘柄を探すときは、配当利回りと優待利回りを合わせて4%を目安にしています。配当は保有している株数に応じて支払われます。たくさん持っていれば配当も多くなります。

 多くの株主優待は単元株(100株)だけを持っている人も、それよりたくさん持っている人も優待内容は同じというのが多いです。

 だからもし同じ銘柄を200株買うのなら、夫婦で100株ずつ買えば、もらえる優待品は2倍になります。また長期保有すると優待内容がグレードアップする長期保有優遇制度もあります。上場銘柄は3,700社くらいあり、優待制度がある会社が約1,500社、そのうちの約400社が長期保有優遇制度を導入しています。

――杉原さんはどのようなルールをお持ちですか。

杉原 私は基本中の基本なのですが、自分の好きなジャンルの銘柄を買う。例えばゲーム関連銘柄や野球関連銘柄です。好きなジャンルでないとしっかり調べずに買ってしまうことがあるので危険です。スマホのゲーム会社を買うときは、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)コロプラ(3668)ミクシィ(2121)などの同業他社と比較します。好きなジャンルなら調べるのも楽しいですよ。 

――アナリストは数字に注目して分析しますが、杉原さんは消費者目線なのですね。

杉原 好きな商品の会社を買うとか。私は優待目的で株を買うことはあまりないのですが、ヤーマン(6630)を買ったら美顔器が届いてうれしかった。そんな予期せぬおまけがつくこともあるので、まずは好きなジャンルの好きな会社を買うことが大事だと思います。

AIを活用した不動産会社に注目しています――杉原

――今はどんな銘柄に注目をしていますか。

桐谷 年初来安値の銘柄です。証券会社の取引ページで調べることができますよ。年初来安値なら、私より前に買った人より私は安く買ってるので、さらに下がっても辛抱できます。

 リンクアンドモチベーション(2170)という株を3年くらい前に買いました。1,000株以上、1年以上保有で1,500円分、2年以上保有で3,000円分、3年以上で4,500円分のクオカードがもらえます。買ってから大きく上昇しましたが、高値から3分の1になったので、さらに買い増しました。

 靴はジーフット(2686)、靴下はタビオ(2668)ですよ。

杉原 私は利益率で勝負するタイプなので、そこまで細かく見たことはないですね。勉強になります。

桐谷 そうそう、バロックジャパンリミテッド(3548)という会社は若い女性向けの衣料の会社ですが、自社店舗で使えるクーポン券2,000円分が年2回もらえます。

杉原 バロックはギャルっぽいお店ですよね。桐谷さんが行かれたとは予想外でした。

桐谷 新宿の店は2階、3階が女性用品、1階が男性用品で、地下がバーゲンセールの品を扱っています。初めて優待券を貰ったときは池袋の女性の専門店に行ったのですが、一番安いのは2,052円の靴下だったので、「2,000円以下のものはないですか」と聞いたら、前回のバーゲンの残り物が入った段ボール箱を出してくれました。見ると3,000円の値札がついたキャミソールが1,200円だったので、それをいただいて……。

杉原 えっ、いただいたんですか? 

――優待券をもらうと、普段行かない店に行く動機付けになりますね。杉原さんが注目している銘柄はどんなものですか。

杉原 私は不動産セクターで、AIを活用した不動産流通ポータルサイトを運営するGA technologies(ジーエーテクノロジーズ、3491)に注目しています。

――どのように探し出すのですか。

杉原 不動産投資に興味があるので物件を探していたら、この会社がAIを活用しているのを知りました。AI関連銘柄として見ても期待が持てます。これから成長する企業を探しています。

――それは初心者でもできますか。

杉原 私もプロではないのでスマホで探しています。

適時開示情報で優待新設銘柄を探しています――桐谷

――桐谷さんは、どのように銘柄を探していますか。

桐谷 適時開示情報で優待新設、優待拡充銘柄を探しています。優待銘柄は個人投資家を大切にしている会社だと思っています。ただし株式投資は余裕資金でやるようにしてください。

――桐谷さんはどんな時に売るのですか。

桐谷 クオカードのように他でももらえる優待品の銘柄であれば、ある程度まで株価が上昇して利回りが下がると、売りますね。

杉原 ここまで上がったら利益確定するというように自分でルールを決めておくといいと思います。私は株式投資を始める前は、お金を減らさないことばかり考えていました。でもそれではお金は増えません。そこで少額でいいので始めてみると、自分に合っている合っていないが判断できると思います。

桐谷 そうですね。

 とりあえず少しのお金で投資してみて、自分に合った投資スタイルを探してみるといいですね。

――好きなジャンルの銘柄を、少額の資金で買ってみるのはいいですね。最後に一言お願いします。

桐谷 株はギャンブルではありません。日本を代表するいい会社がたくさんあります。株式投資は日本経済の発展にも役立ちます。ぜひ5万円くらいで1,000円のクオカードがもらえる銘柄を探して試してください。

杉原 投資は難しいというイメージがありますが、まず楽しみながらやってみてください。私は女性という強みをいかしたジャンルの投資をしてみたい。まずはヤーマンを買い増ししたいですね。

――優待投資家と肉食投資家の投資スタイルは違いましたが、「楽しみながら」は共通点ですね。自分に合う投資スタイルを見つけることが大事だと感じます。ありがとうございました。

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