今週の予測

米中貿易戦争がさらに悪化しなければ、下値2万200円水準で荒い動きへ

 今週は、先週末の米市場での米中貿易戦争の激化を受けて米株式が大幅下落。為替も一時104円をつける円高になったことで、日経平均株価も大幅下落からスタート。その後は、これまでのように2万円台に近づくと買いが入り、2万円台を下値に荒い動きが想定されます。

 懸念されるのは米中貿易戦争の行方ですが、トランプ米大統領は関税の報復合戦を踏み超えて、中国からの米企業の撤退や生産移転を検討するよう指示。米中対立は深刻化し、株式相場は特に半導体を中心とするハイテク企業の下落は要注意となります。

 一方で、FRB(米連邦準備制度理事会)による9月の追加利下げは、トランプ大統領の圧力もあって実施の可能性が高く、プラス要因とマイナス要因が入り混じって、荒い動きが想定されます。

 日本にとっては日米通商交渉の閣僚級会議がスムーズに終了したことは好材料の一つであり、G7(主要7カ国)首脳会議の無事通過によって、短期的なアク抜け感が出てくる可能性もありますが、上値は限定的といえます。

 特に今週は9月1日の対中制裁関税第4弾の発動が間近に控え、米中両国の政治経済が注目される神経質な相場展開が想定されるため、米株式や中国株が急変動すれば、日本市場も揺さぶられることになります。

(今週の指標)日経平均株価

 今週は、先週末の米国市場の大幅株安と為替の105円台前半の円高を受け、シカゴの日経先物の▲530円の2万190円にサヤ寄せする大幅な下げからスタート。これまでの日経平均は2万円に接近すると買いが入ってしっかりしているので、2万円台(2万200円水準)を安値に、米中貿易戦争の状況を見ながら荒い動きとなる可能性があります。

 米中貿易戦争による経済の悪化と、これを和らげるためのFRBの利下げ期待が入り混じり、相場は荒い動きとなりそうです。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週は、先週末の米中貿易戦争激化懸念を受けて、米中対立が深刻化し、株式相場は軟調な展開が想定されます。特にトランプ大統領は米企業の中国からの撤退と米国への生産移転を検討するよう発表していますので、半導体を中心とするハイテク株の下落に注意する必要があります。

(今週の指標)ドル/円

 今週は、米中貿易戦争の激化、長期化の可能性が高まり、また、FRBによる大幅利下げ観測も出てきたことで、ドルは買いづらく下値を試す場面もありそうです。ただし、29日発表のGDP(国内総生産)改定値や30日発表の7月PCE(個人消費支出)が予想を上回れば大幅利下げが後退し、ドルが買われる場面もあります。1ドル=104.5~106.5円のレンジを想定。

先週の結果

NYダウの反発と円安基調から2万700円台で引けるが上値重い

 先週は、NYダウが14日の800ドルの下落幅に対して、3日間で80%以上の戻りとなったことで、日経平均は買い安心感となり、週始めから戻りを試す動きとなりました。しかし、22日(木)の2万731円までが精一杯で、週の終値では2万710円で引けました。ところが、この日の引け後の米国市場では、NYダウは▲623ドルと大幅下落となり、シカゴの日経先物は▲530円の2万190円と2万円を試す視野に入っています。

 8月19日(月):前週末の米株の大幅上昇と、米株先物の上昇を受け、+171円の2万590円で寄り付くものの、先行き不透明感から上値は+215円の2万633円までで、その後はもみ合って、+144円の2万563円と続伸しました。 

 20日(火):前日のNYダウが債券利回りの上昇を受けて+249ドルの2万6,135ドルまで上昇。3日間で656ドル上昇して、14日(水)の800ドルの下落幅の80%を戻す動きとなったこともあり、日経平均も3日続伸。+114円の2万677円となりました。しかし、この日の日本市場の引け後の米国市場は、イタリアの政治的混乱や米長期金利の低下を嫌気し、NYダウは▲173ドルの2万5,962ドルと、4日ぶりの反落となりました。

 21日(水):日経平均は、イタリアの政情不安や米株安を受けて一時▲194円の2万482円まで下落しましたが、売り一巡後は円高一服とともに下げ渋り▲58円の2万618円と4日ぶりの反落となりました。

 22日(木):前日の米国市場で小売業が好決算を発表したことを好感し、NYダウが+240ドルの2万6,202ドルと大幅反発。これを受けて日経平均も朝方は+112円の2万731円まで上昇するものの、上値重く一時マイナスになる場面もありました。しかし、大引けにかけてやや買いが優勢となって、+9円の2万628円と小幅反発で引けました。

 23日(金):前日の米株は主要3指標まちまちの動きでしたが、▲48円の2万579円と安く寄り付いた後に切り返し、後場には円が対ドルで弱含むとともに、米株価先物が堅調となっていることで薄商いの中、買い気根強く、+82円の2万710円で引けました。

 しかし、引け後の週末の米国市場は、中国が対米報復関税として米国からの輸入品750億ドルに対し10%の追加関税を発表したことで、トランプ大統領も発動済みの第1~3弾の制裁関税を25%→30%へ、第4弾の輸入品は10%→15%に引き上げることを発表。さらに米国企業の中国からの撤退と生産移転の検討を行うよう要請しました。

 まさに米中貿易戦争が激化してきたことで、NYダウは一時▲745ドルの2万5,507ドルまで下げ、▲523ドルの2万5,628ドルで引けました。為替も1ドル=105.26円まで売られ、105.35円で引けたことで、シカゴの日経先物は▲530円の2万190円になりました。