2011年から「イベント投資」を実践し、30代前半の若さで「億り人」の仲間入りを果たした、まつのすけさんインタビューの中編をお届けします。今回は、年末年始の株価の動きを利用した投資法や株主優待先回り、IPOセカンダリー投資などについて聞きました。

大発会の日に高い初値がついたら迷わず「買い」

──前編では、日経平均株価の季節変動を利用した投資法についてお伺いしました。ほかにイベント投資にはどのようなものがありますか?

「性格的に、売ったり買ったりのゲームっぽい感じが好きで、ついついガマンできずに売買してしまいます。正直(ああ、あの時売らなければよかった…)と思うときもあります(笑)」

 これも日経平均株価の季節特性に目をつけたものですが、年末年始の株価の値動きを利用するものがあります。株式市場における年末の最終取引日を「大納会」、新年の初取引が行われる日を「大発会」というのはご存じだと思います。実はこの両日は特有の動きをするんです。

──というと?

 過去の大納会の日の動きを見ると、株価が下落し、マイナスで終わることが多くなっています。年末から年始にかけて数日間株式市場が休みになりますから、その間の突発的なリスクを抑えるため、売却して手仕舞いする人が多いのだと思います。では、大発会の日はどうかというと、大納会の終値より高い初値がつくケースが多いんです。

──年末に売却した人たちが買い戻す?

 たぶんそういうことでしょう。で、肝心なのはここからなのですが、大発会の日に年末より高い初値がつくと1日上昇を続けることが多いんです。だから、大発会の初値を確認して大納会の終値より高かったら、すぐに初値で買って終値で売るという作戦が有効になるんです。

──なるほど。ちなみに大発会の初値が大納会の終値を下回ることもあるんですか?

 はい、マレにあります。この場合、その日1日パッとしないまま終わることが多いので、逆の手を打つ方法があります。要するに初値で空売りして終値で買い戻すわけです。

──これも理論的根拠にもとづくものではない?

 いわゆるアノマリーというものです。大発会の初値が前年末よりプラスになると、新年ということもあって市場参加者が強気になり、ご祝儀相場的な色合いが強くなるのでしょう。反対にマイナスになるとみんな何となく気弱になり、1日盛り上がらずに終わるんだと思います。でも、これはあくまでも推測であって論理的根拠とはいえません。だから、まともに受け止める人は少ないんです。

──だからこそ、やってみる価値があるのでしょうね。

 そういうことです。1日の値動きを利用する方法なので大きく稼げるわけではありません。でも、手堅い方法ではあるので、試してみる価値はあると思います。このような細かい取引を数多く実践しています。

権利確定日の数カ月前に買い、権利付き最終日に売却する

優待も大好き、というまつのすけさん。クロス取引で優待タダ取りもうよく行う手法。
クロス取引とは、
1.狙っているA社の株の権利付き最終日までにA社の株を「信用売り」
2.さらに同数を「現物買い」
3.そして権利付き最終日の翌日(権利落ち日)に信用売りと現物買いを相殺し、すべての売買を終了
4.信用売りと現物買いを相殺させるため、価格変動によるリスクがないため、低リスクで株主優待の権利を獲得できる。

──他にもありますか?

 これはご存じの方も多いかもしれませんが、「株主優待先回り」と呼ばれる投資法があります。株主優待は「権利確定日」に所定の株数を保有している株主に対して贈呈されます。そのため、人気の高い株主優待を実施している企業の株は権利確定日の数カ月前から買いが増える傾向にあります。優待を取得しようとする個人投資家が買いに走るわけです。

──結果、株価が上昇するのですね?

 はい。権利確定日の2~4カ月前から緩やかに株価は上昇します。で、権利付き最終日を過ぎると買う人が激減するので、大きく下落します。そこで権利確定日の2~4カ月前に買い、権利付き最終日前に売却するという作戦が成り立つわけです。

──投資ビギナーでも簡単にできそうですね。

 はい、ただし、株主優待を実施している企業ならどこでもいいというわけではなく、「人気が高い」ということが条件になります。

──それはそうですね。

 人気の高い株主優待を実施している企業だと大きく株価が動くこともあります。1つ例を挙げると、マックスバリュ東海という銘柄があります。イオングループの各店舗で利用できる優待券がもらえるとあって、株主優待ファンには絶大な人気を誇るのですが、この銘柄の権利確定日の4カ月前から権利付き最終日までの株価の推移を見ると、過去10年中(2008~2017年)8年は上昇しています。しかも、2012年などは1,128円から1,415円と25%も上がっています。もちろんほかの要因が加わった可能性もありますが、かなり大きな上昇率と言えるでしょう。

──その10年間、この売買だけ行っていたら資産はそうとう増えたでしょうね。

 はい、約2.5倍に増えた計算になります。

──株主優待はあいかわらず人気ですから、ここ以外にも狙える銘柄はたくさんありそうですね。

 探せば他にも数多く見つかると思いますよ。ただし、この方法もリスクがないわけではありません。例えば株を買った後、業績不振に陥ったり、不祥事が発覚したら、一気に株価は下落します。そういう意味では、たとえ人気のある優待株でも業績のチェックを疎かにしないことが大事でしょう。

あえて不祥事を起こした会社の株を買う

──あといくつか、イベント投資の例を教えてください。

 これは投資ビギナー向きではないかもしれませんが、「IPOセカンダリー」という投資法があります。

──通常のIPOとは違うのですか?

大のポイント好き、ポイントマニアとしても有名なまつのすけさん。さまざまなポイントを駆使して楽しいポイントライフを満喫し、ポイント投資でも収益を挙げている。楽しくお得なまつのすけさんのポイントライフはこちら

 はい、一般にIPOというと新規公開株のことですよね。証券会社に申し込み、当選すると公募価格で新規発行株を購入できる。そして、多くの場合、公募価格より高い初値がつくため、労せずして大金を手にすることができるわけです。でも、残念ながら競争率がかなり高いのです。

──とくに人気銘柄は狭き門ですよね。

 はい。そこで選択肢となるのが「IPOセカンダリー投資」です。これは上場直後、つまり初値がついた後に購入し、さらに上昇するのを待って売却するという方法です。上場した後ですから、当然抽選もなく、誰でも購入できるわけです。

──でも、初値がついた後も上昇するものなのですか。

 それは条件次第です。例えば通常は上場予定日に初値がつきますが、売り注文より買い注文が大幅に多い場合、上場予定日に初値がつかず、翌日に持ち越されることがあります。この場合、「即金規制」といって買い注文に規制がかけられるのですが、即金規制されるような人気銘柄は、初値からさらに上昇するケースが多いんです。そのため、初値で買って翌日売却するとリターンを得られる傾向があります。

 ただし、銘柄によって大きくバラつきがあり、大幅に下落することもあるので、ファンダメンタルズ、ストックオプションやロックアップ(大株主などが、公開後の一定期間、市場で持株を売却しない旨、公開前に契約を交わす制度)の有無、売却しそうな大株主がいるか等も分析する必要があります。

 そしてもう1つ、「不祥事株を狙う」という方法があります。

──不祥事を起こした会社の株? それって暴落するのが普通ですよね?

 そうなんですが、不祥事勃発直後の暴落が底となり、そこから上昇に転じるというケースも珍しくないんです。最近の例を挙げると、不適切会計が問題視されたビックカメラやオリンパス、バリューHR、異物混入騒ぎがあった日本マクドナルドホールディングス、ジェットコースターの事故を起こした東京ドームなどがそれに当たります。

──でも、不祥事がきっかけとなって上場廃止や倒産に至るケースもありますよね。

 はい、それも珍しくありません。ですから、その不祥事が致命的なものなのか、それとも短期間で回復に向かえるレベルのものなのかを慎重に見極める必要があります。1つ目安をいうと、本業を直撃するような不祥事だと深刻な事態に発展する可能性があり、そうでない場合は短期間で回復することが多いと言えるでしょう。一度事が収まったのに、新たなウソが発覚したりしてさらに深刻な事態におちいるといったこともよくあります。その意味では事の経緯をよく観察し、ちょっとでも怪しかったらすぐに売却するといった対応も必要でしょうね。

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