米中摩擦が長引く中、外食関連株が好調
米国の対中関税措置と中国の反応が、引き続き株式市場の懸念材料となっています。その中で米時間8月14日にはNYダウ平均株価が800ドル余り急落しました。市場では「米国の長短金利の逆転現象(=景気先行き懸念の高まりとされる)が発生し嫌気された」と説明されましたが、それも元をたどれば長引く米中貿易摩擦に対する悲観の表れとみて良いでしょう。
他方、香港における市民暴動は収まる気配を見せず、日本の貿易措置に対する韓国政府の非難はさらに加速しています。南米のアルゼンチンでは、予備選挙に絡み主要株価指数のメルバル指数が1日で40%以上下落する波乱も見られました。株式市場を取り巻く環境は、不安材料ばかりが目立ち、その状況がなかなか改善されないことを嫌気し、様子見を決め込む投資家も多くなっています。
市場が落ち込む中で、一部の外食関連株が年初来高値を更新しました。以下の2銘柄がその例です。
前者は牛丼の老舗、後者はカレーチェーン運営の有名企業です。株価が2019年最も高い位置まで買われているのですから、まずは「業績好調」を想定することになります。この他、キャンペーンなどの奏功、さらには内需株ということで、外需株ほど米中貿易摩擦を背景とした売りが出なかったことなども考えられます…。
しかし、その理由だけでここまで株価が上昇するのでしょうか? 株式市場全体の環境を勘案すると、それだけではもの足らず、さらに先にこれら企業にとっての好材料を織り込んでいるのでは、と勘繰りたくなります。株価が半年から1年先を見越して動くことは周知の事実です。
好調の理由は「人件費」?
もしかすると、マクロ経済の停滞によって、人件費の高騰、とりわけアルバイト・パートの時給上昇の頭打ちを見込んでいるのかもしれません。この3年間だけを見ても、三大都市圏(首都圏・東海・関西)のアルバイト・パートの平均時給はジリジリと上昇し、現在は1,050円超に達しています(国内シンクタンク調べ)。外食関連株を含む小売株には人件費高騰を嫌気する見方があったのも事実です。
さらに米中貿易摩擦が長期化すれば、世界的なマクロ景気の悪化≒国内人件費上昇の頭打ちを見越し、逆にこれら銘柄が選好される動きになっているのかもしれません。上の大手外食株だけでなく、年初来高値を更新する水準までにはないものの、足元の株価が堅調な動きをしている外食関連株は意外なほど多いのが実際です。
今回は10万円で投資可能な銘柄を参考として挙げてみます。
10万円で投資可能な「外食」関連株
株価データは2019年8月19日終値ベース。
アトム(7412・東証2部)
回転すし店「海鮮アトム」を中心に「にぎりの徳兵衛」、ステーキ店「ステーキ宮」、焼き肉「カルビ大将」、居酒屋「いろはにほへと」など多角化展開しています。
株主優待:100株保有で2,000円相当の食事券年2回、計4,000円相当
・アトムの日足チャート
ヴィア・ホールディングス(7918・東証1部)
2001年に印刷業から業態転換(旧社名:あかつきビーピー)、焼き鳥居酒屋「備長扇屋」をFC(フランチャイズ)開業、外食産業に参入し、その後M&A(企業の合併・買収)を加速させ中華料理、南欧料理、イタリア料理経営の外食企業、刺身居酒屋チェーンなどが傘下にあります。
株主優待:100株保有で5,000円相当の食事券年2回、計1万円相当
・ヴィア・ホールディングスの日足チャート
JFLAホールディングス(3069・JASDAQ)
旧社名アスラポート・ダイニング、発祥社名はプライム・リンク。炭火焼肉酒家「牛角」のエリアフランチャイズ本部の権利取得をスタートに、釜めしと串焼「とりでん」を始めとする多くの企業を傘下に収めています。
株主優待:500株保有で3,000円相当の食事券年2回、計6,000円相当
・JFLAホールディングスの日足チャート
テンアライド(8207・東証1部)
老舗ブランド「天狗」で知られる企業です。「旬鮮酒場天狗」「炭火串焼テング酒場」「和食れすとらん天狗」などを首都圏を中心に全国120店舗展開しています。
株主優待:100株保有で1,000円相当の食事券年2回、計2,000円相当
・テンアライドの日足チャート
ジェイグループホールディングス(3063・マザーズ)
居酒屋「芋蔵」「ほっこり」など飲食店を東海地盤に展開しており、足元、鳥皮焼店「博多かわ屋」の全国FC展開を推進しています。飲食事業に加えブライダル事業、不動産事業などに多角化しています。
株主優待:100株保有で2,000円相当の食事券年2回、計4,000円相当
・ジェイグループホールディングスの日足チャート
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