3月決算企業の第1四半期決算が出そろいました。決算発表をきっかけに急落する銘柄も多数出現しましたが、果たして買うべき? 見送るべき?

決算発表で急落する銘柄・今回も続出

 8月も中旬を過ぎ、決算発表シーズンが終わりました。今回は3月決算企業の第1四半期決算に加え、6月決算企業の本決算、9・12月決算企業の四半期決算が発表となり、まさに3カ月に1度訪れる決算のピークとなりました。

 決算発表シーズンといえば、決算の内容を受けて株価が急騰する銘柄、急落する銘柄が多数生じることが風物詩となっています。今回も、その動きをする銘柄が数多くありました。

 そして、決算発表により株価が急落した銘柄を買い向かう投資家も存在するのが事実です。

急落銘柄を「買う」投資家の思考

 急落した銘柄を買う投資家の思考、それは「株価が大きく値下がりして割安になった」と考えているからです。

「確かに決算発表の内容は期待していたほどではなかった。とはいえ、ここまで売られなくてもよいのでは? という水準にまで株価が下がっている、長い目で見て株価上昇が期待できる株を安く買うことができるのだから買い向かうべき」と考えています。

 中には、どこからどう見ても好決算なのに、株価が急落してしまう銘柄も珍しくありません。こうした銘柄は彼らにとっては「買い」の選択肢しか考えられないのです。

急落銘柄を買うことによるリスクは?

 しかし、株価が急落している銘柄を、手放しで「割安」と喜んで買っても大丈夫なのでしょうか?

 確かに、一時的な業績の落ち込みを嫌気して株価が過剰反応し、明らかに下げ過ぎと思われるケースも少なくありません。こうしたケースであれば、急落したところを買い向かえば報われるでしょう。

 しかし、決算発表をきっかけにして株価が急落した後も、株価の下落が止まらないこともかなり頻繁に生じているのが事実です。

 つまり、株価急落後に反発する銘柄と、株価急落後も下落が止まらない銘柄とが実際に存在するのです。

 もし、反発する銘柄と下落を続ける銘柄を事前に見極めることができるのであれば、前者の銘柄のみを株価急落時に買い仕込めばよいことになります。

 しかし、個人投資家が、上昇に転じる銘柄のみを見極めることは事実上不可能に近いと筆者は思います。

 現に、株価が急落した銘柄を買い向かった結果、その後も株価が下げ止まらず、多額の含み損を抱えた塩漬け株をつくってしまう個人投資家が後を絶ちません。

急落銘柄をどうするか

 筆者は決算発表で株価が急落した銘柄をどうしているかと言うと、原則としては手を出すことはしません。

 なぜなら、それらの銘柄は、ほぼ間違いなく株価が25日移動平均線を割り込んで下降トレンドになっているからです。

 もちろん、株価急落時に買い向かうことで成功することもあるでしょう。しかし筆者は、株価急落後も株価下落が止まらないリスクを重視し、基本的に手出ししていないのです。

 株価急落時に手を出すというクセをつけると、株式マーケットが大暴落となったとき、取り返しのつかない損失を被ってしまう恐れがあるのも理由の1つです。

 株価が大きく値下がりしたときに買い向かう投資家は、割安と判断して買い向かっていると思います。そこからさらに株価が下落しても、割安度が高まるわけですから売却する必要性を感じないのです。しかしそれは、株価の下落により塩漬け株が生じてしまう原因となってしまいます。

例外的に買う場合でも「損切り」は必須

 ですから、基本的には25日移動平均線を超えて上昇トレンドになるまで手を出すことはしません。

 ただ、例外的に「さすがにこれは売られすぎだろう」と感じるときは、株価急落後少し反発したところで買い、安値を割り込んだら損切りとしています。

 例えば株価が2,000円まで値下がりした後2,050円まで反発したところで買い、2,000円を割り込んだら損切り、というようにです。

 いずれにせよ、損切りラインをあらかじめ設定したうえで買うことにより、絶対に塩漬け株を作らないことを筆者は重視しています。

 筆者は、株価急落を買い向かった結果、塩漬け株に苦しんでいる個人投資家を数多く見てきました。同じ轍を踏まないよう、株価急落銘柄を買うとしても、必ず損切りルールを設定し、それを遵守するようにしてください。