今週の予想
今週は戻りがあっても上値は限定的。米株、為替次第で下値を試す動きへ
日経平均株価は、先週までは3週連続下落。下げ幅も約1,200円超だったため、目先はリバウンド場面があってもおかしくありませんが、上値は限定的と言えます。
チャート上の上値のフシは、「幻のSQ」となっている9日(金)の8月SQ(特別清算指数)値2万855円、その上は2万1,046円で、チャートで2018年12月25日の1万9,117円からの上昇トレンドを切った売り転換です。
これまでは、米中貿易摩擦の激化・長期化への懸念を発端に、世界経済後退という「懸念」による下落、先週はこの「懸念」が具体化してきました。
第1にドイツの4-6月期のGDP(国内総生産)の伸び率がマイナスになったこと、第2に英国でも米国に続き、景気後退のシグナルといわれる長短金利の逆転現象が起こったこと、アルゼンチンが所得税減税を発表しても通貨下落に歯止めがかからないこと、香港のデモが実体経済に悪影響を与え、中国の武力制圧があれば、中国と西欧諸国の関係が悪化することなど、悪材料が続出しています。
目先は、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での追加利下げ観測が出ており、米国経済を支えようとする動きになります。しかし、世界的な経済後退を食い止めるサポートにはなりにくい状況になってきています。
今週は以上のことを背景にして、国内外の金融政策の先行きや経済指標などが注目されることになります。海外の情勢次第では、日経平均株価は一段と下げる展開があり得ます。目先は2万円が意識されるところです。
19日(月)は、先週末の米株高と円安を受けて+171円の2万590円で寄り付き、一時+215円の2万633円まで上昇したものの、買い先行後は上値重く、先行き不透明感から上値を追う状況はなく、手控えムードの中、動意薄で+144円の2万563円で引けました。出来高は9億4,993万株、売買代金は1兆5,433億円と薄商いの中で、今週は材料の出た銘柄や好決算銘柄への個別物色中心となりそうです。
(今週の指標)日経平均株価
先週まで日経平均は3週連続の下げで1,200円を超える下げ幅となっており、多少リバウンドの場面があってもおかしくありませんが、相場環境を考えると、戻りを入れながら下値を試す動きが想定されます。
米中貿易摩擦は、短期的な妥協はあっても長期化へ向かい、24日開催予定のG7(先進7カ国)首脳会議では、香港デモ問題による中国と西側諸国の不協和音が出てくると、相場の上値はますます重くなります。
また、9月の米国のFOMCで追加利下げの話が出てくると米国株は上昇。その時、日経平均もツレ高する場合はあるでしょうが、上値は限定的と言えます。
チャートを見ても2018年12月25日の1万9,117円からの上昇トレンド(B)を切っており、2万1,000円水準が大きなフシになりました。
(今週の指標)NYダウ平均株価
中国やドイツの低調な経済指標を受け、先週から世界経済減速懸念が高まっています。
トランプ米大統領が9月実施予定の対中関税についてクリスマス関連品目の関税延期を決定したものの、中国は対決姿勢を強めており、投資家心理は改善できません。
当面は各国の景気対策の動向や経済指標に敏感に反応する相場展開となりやすく、今後の利下げ見通しや貿易摩擦問題が注目となります。
NYダウは大きな上下動を繰り返しながら下値を切り下げる動きとなってきています。
(今週の指標)ドル/円
今週は、再びドルが弱含む展開となりそうです。
米国は景気後退に向かうとの見方が広がっており、経済指標がこれまで以上に注目され、利下げの示唆を待つことになります。23日にはFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の演説があり、利下げスタンスの継続が示されれば、年初来安値の1ドル=104.80円や、トランプ政権発足後の安値104.56円が目先の下値メドとして意識されます。104.5~107円のレンジを想定しています。
先週の結果
NYダウの大きな上下動に連動し、2万~2万700円の中を上下動
先週は、NYダウが大きな上下動を繰り返しました。14日に米国の長短金利の逆転で景気後退が意識され、NYダウが今年最大の下げ幅の▲800ドルの2万5,479ドルに。日経平均も▲470円の2万184円まで下落しました。その後は米国経済指標が予想を上回るものが多く、米株式は反発に転じ、日経平均も落ち着く動きとなりました。
13日(火):12日の米国市場は人民元安が続き、米中貿易摩擦の激化の思惑からNYダウは▲391ドルの2万5,896ドルと、2万6,000ドル割れとなったことを嫌気し、日経平均は▲252円の2万432円で寄り付くと、一時▲315円の2万369円まで下落。終値は▲229円の2万455円と、3日ぶりの大幅反落で2万500円を割り込みました。
14日(水):13日の米国市場でトランプ大統領がクリスマス商戦に影響する品目について対中関税を12月15日まで延期するとしたことで、NYダウは一時+530ドルまで上昇。これを受け、日経平均も+241円の2万697円まで反発。終値では+199円の2万655円となりました。
この日の引け後の米国市場では、中国とドイツの経済指標が悪化して、世界的な景気減速懸念が強まり、さらに米30年債利回りが過去最低を記録。米10年債利回りと2年債利回りが逆転し、米国景気の後退が意識されました。このため、NYダウは今年最大下げ幅の▲800ドルの2万5,479ドルの急反落となりました。
15日(木):日経平均は全面安となり、▲330円の2万324円で寄り付き、一時▲470円の2万184円まで下落。しかし、1ドル=105円を割り込まず、時間外の米株価先物が上昇していたことで下げ幅を縮小し、▲249円の2万405円で引けました。日経平均の2万円が下値として意識され、一段と売り込む動きにはなりませんでした。
16日(金):前日の米国市場では、7月の小売売上高が予想を上回り、好調な個人消費が好感され、NYダウは+99ドルの2万5,579ドルと反発。これを受けて、日経平均は朝方▲81円の2万323円で寄り付き、▲105円の2万300円まで下げたものの持ち直し、プラスに転じました。後場には一時+60円の2万465円まで上昇し再びマイナス圏入りしましたが、持ち直して+13円の2万418円で引けました。
引け後の米国市場は、景気後退を強める要因となった債権利回りが上昇したことで、米株の買い戻しが強まり、NYダウは一時+350ドルまで上昇して、終値は+306ドルの2万5,886ドルで引けました。シカゴの日経先物は為替が106円台半ばまでの円安進行となったことで+175円の2万565円でした。
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