米10年・2年金利が一時逆転。米景気に不安広がり、NYダウ・日経平均下落

 先週の日経平均株価は、1週間で266円下落して、2万418円となりました。以下3点が嫌気されました。

【1】米中の対立が泥沼化し解決の糸口が見えないこと
【2】14日のニューヨーク市場で米長期金利(10年国債利回り)が一時1.57%まで低下し、2年債利回り(1.61%)を下回ったこと
【3】米10年・2年金利の逆転が米景気後退の予兆ととられ、14日のNYダウが前日比800ドル安と急落

NYダウ・日経平均株価の推移比較:2018年末~2019年8月16日

注:2018年末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

 2019年に入ってから、米中対立が緩和するか激化するか、トランプ発言によって思惑が変わり、世界の株式市場が振り回されています。1~4月まで、米中協議の「合意が近い」とのトランプ発言を受け、世界株高が進みました。ところが合意はできず、5月に米国が対中制裁関税を強化すると、世界的に株が急落しました。

 6~7月は、トランプ米大統領が再び中国との合意を目指すとの思惑が広がり、世界的に株が反発しました。ところが、8月に入り、トランプ大統領が対中制裁第4弾を9月1日より発動すると発表すると、世界株安となりました。

10年・2年金利逆転は米景気後退の予兆?

 14日のニューヨーク市場で米長期金利(10年国債利回り)が一段と低下し、一時1.57%をつけました。その時点で、2年債利回り(1.61%)を下回りました。
米10年金利と2年金利の逆転は、過去には米景気後退の予兆となったことが多かったことから、逆転した直後、米国株に売りが増え、14日のNYダウは前日比800ドル安となりました。

米10年・2年・3カ月金利の推移:2018年1月2日~2019年8月16日

 ただし、米10年・2年金利が逆転した後、必ず、米景気が後退に向かうというわけではありません。やや悲観が先行し過ぎた感があります。8月16日には、米10年金利は低下し過ぎ(10年国債は買われ過ぎ)との見方も出て、10年金利は反発し、2年金利との逆転は解消しました。これを見て、16日のNYダウは、前日比306ドル高の2万5,886ドルと、買い戻されました。

今週の日経平均は、反発して始まった後、上値が重くなる展開か

 16日に米長期(10年)金利が反発し、NYダウが306ドル高となったことを受け、今週の日経平均は上昇して始まると予想されます。ただし、米中対立がエスカレートする不安が残っている間は、上値の重い展開が続きそうです。

日経平均は二番底模索中

 日経平均は、昨年末に一番底(12月26日に一時1万8,948円)をつけましたが、目先、二番底を模索する展開となりそうです。この下落局面は、長期投資で日本株の買い場になるとの判断を、再度、強調したいと思います。

日経平均の推移:2015年1月5日~2019年8月16日

注:楽天証券経済研究所が作成

 簡単に、2015年以降の流れを振り返ります。

【1】2015年末~2016年初に、世界的に景気停滞
日本も景気後退ぎりぎりまで景気が悪化しました。ただし、結果的に景気後退には至らず、2016年後半から世界的に景気が回復し、日本の景気も回復に向かいました。
この景況変化を反映し、日経平均は2015年に「二番天井」をつけて急落し、2016年に「二番底」をつけて急反発しました。

【2】2018年末~2019年にかけて世界的に景気悪化
 2018年末から、景気の悪化が鮮明となってきました。日経平均は、景況悪化を受けて、2018年には、二番天井をつけて急落しました。ただし、私は2020年には景気が回復に向かうと予想しています。それを反映し、2019年の年末にかけて日経平均が上昇トレンドに入ると予想しています。今は、2019年の景気悪化を織り込む最終局面と判断しています。

 日経平均は2018年末に、一番底をつけたと見ています。現在、二番底を模索中です。秋には二番底をつけた後、上昇トレンドに戻ると予想しています。
 
 今、世界的な株安、景気悪化を受けて、悲観が広がっています。日経平均は短期的にどこまで下がるか、見通しにくい状況です。私は、この下落局面で、リスクをとって積極的に日本株を買っていって報われると判断しています。まずは、大型の高配当利回り株で、予想利回り4%以上のものから買うべきと考えます。

 

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