7月に11%増と販売回復が顕著、業界全体を上回る勢いを維持

現地コード 銘柄名
02333

長城汽車

(グレートウォール・モーター)

株価 情報種類

 4.86HKD
(8/9現在)

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 長城汽車の7月の自動車販売台数はBOCIの予想を上回る6万357台。前月比で4.6%減少する半面、前年同月比では11.1%増え、業界全体をアウトパフォームした(BOCIの推計では業界全体で前年同月比小幅減)。1-7月では前年同期比5.3%増と成長を確保した数少ない自主ブランドメーカーの一つとなった。今後は季節要因もあり、販売台数は前月比で増加に転じる見込み。また、比較対象値が高くなる中で、前年同期比の増加も維持する見通しという。利益率に関しては、一段の改善には高利幅モデルの比重拡大や製品アップグレードが必要になるとしつつ、18年7-9月期にすでに底を打ったとの見方。前年の利益実績の低さもあり、19年下期には増益決算が期待できるとした。現行の利益予想は達成可能とみて、19年予想PBR(株価純資産倍率)0.9倍に当たる目標株価を維持。株価の先行きに対する中立見通しを強気に引き上げた。10-12月期の業界全体の復調見通しを考慮した場合、有力な投資選択肢になり得ると指摘している。

 7月の販売台数を車両タイプ別に見ると、主力のSUVが前年同月比13.9%増加し、ピックアップトラックの11.1%減をカバーする形となった。ブランド別では、新規のFシリーズの上乗せと「H6」をはじめとする従来モデルの堅調を受け、「哈弗(Haval)」が15.0%増。「Wey」は2.3%増の7,246台だった。1-7月の販売台数は前年同期比5.3%増の55万3,895台。同社は年初から在庫管理を強化しており、BOCIの推計では、ディーラーレベルの在庫は7月末時点で約10万台だった(1.5-1.6カ月分)。

 一方、SUVのシェア低下に伴う値下げを受け、1台当たりのコア利益は15年から下降トレンドにあったが、18年7-9月にわずか247元まで減少した後に底入れした。利益率は18年10-12月以降、3四半期連続で回復傾向を維持。市場シェアの安定化と製品構成の改善を背景に、1台当たりコア利益は19年4-6月に2,845元まで持ち直した。BOCIは閑散期に当たる7-9月の利益率回復は期待しにくいとしながらも、続く10-12月に関しては一段の改善を見込む。一方、19年上期のコア利益は前年同期比65.3%急減したが、これは前年同期実績の高さが一因。前年数字が下がる下期に関しては、利益成長の達成が可能とみている。

 19年、20年の予想純利益は37億元、44億元。現在株価の19年、20年の予想PERは10.7倍、9.0倍と、ヒストリカル平均値や多くの同業銘柄を上回る水準にあるが、同社のファンダメンタルズは引き続き改善傾向にあり、BOCIは投資家が利益や利益率の回復見通しに焦点を合わせている現状を指摘。利益回復期の初期段階においてはPERより、PBRのほうが実際の価値を反映しやすいとの見方を示している。また、目標株価には19年予想PBR0.9倍をあてはめたが、この数字は16年以来の平均値(1.1倍)を下回るとし、決して過度に強気な数字ではないと説明している。