19年通期の減益見通しも年間配当維持、18年実績は1株3.2HKドル

現地コード 銘柄名
00941

中国移動(香港)

(チャイナ・モバイル)

株価 情報種類

 63.05HKD
(8/9現在)

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 5Gネットワーク整備に伴う設備投資の必要性や19年通期の減益見通しにもかかわらず、チャイナ・モバイルは19年の年間配当を前年並みに維持する方針を明らかにしている。BOCIは19年下期の増収増益を見込み、同社株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に修正。中国3大通信キャリアの投資優先順位を、チャイナ・モバイル、チャイナ・テレコム(00728)、チャイナ・ユニコム(00762)に変更した。

 チャイナ・モバイルの19年6月中間決算は、純利益が前年同期比14.6%減の560億元と、BOCIの予想を9%下回り、市場コンセンサス予想にも届かなかった。うちサービス収入はBOCI予想を0.5%下回る3,510億元で、前年同期比では1.3%の小幅減。主にモバイルARPU(加入者1人当たり月額収入)の低迷が響いた。

 中間期の配当性向は49%。中間配当は1株当たり1.527HKドルに減少する予定だが、経営陣は繰り返し株主利益の保護に言及しており、19年通期の減益見通しが高まる中で、年間配当を前年並みに維持する方針。18年の年間配当は1株当たり3.217HKドル。この水準を維持するのであれば、19年の期末配当は1.690HKドルとなる。

 経営陣はまた、19年下期の売上高、純利益がともに前年同期比でプラス成長を回復するとの見方。サービス収入も通期でプラス成長に転じる見通しを示している。BOCIはこうした情報を踏まえ、19-21年の予想純利益を7.9%、5.3%、4.8%減額修正する一方、サービス収入に関する19年の想定値を据え置き、20年、21年に関しては0.7%、0.8%小幅に上方修正した。19年7-9月に関しては前年同期比6.1%の減益とサービス収入の3.9%増を見込む。なお、モバイル通信市場ではキャリア間競争が激化しているが、経営陣はモバイルARPUの落ち込み幅が19年下期には縮小するとの見方。また、天津市での試験結果を基に、番号ポータビリティによる収益への影響に関しても限定的としている。

 一方、経営陣によれば、19年通期の設備投資は最大1,660億元で、うち5G向けが240億元。5G投資のピークは20-22年に到来する見通しだが、設備投資全体の積み増しは行わず、10%増以下に抑える方針を確認した。19年中に5Gのマクロ基地局5万カ所を設置する方針であり、年末には新たに主要12都市をカバー。全体で50都市とする予定。20年中には330都市に広げる計画を明らかにしている。

 BOCIは19-21年の利益見通しの減額修正に伴い、目標株価を引き下げながらも株価の先行きに対する中立見通しを強気に修正した。リスクオフ環境の中、減益決算や為替変動が見込まれるものの年間配当を維持するとの同社方針が、投資家信頼度を後押しするとの見方だ。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては市場競争の激化や5Gネットワーク投資を背景とする利益率の悪化圧力を挙げた。